伝令神機レボリューション
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尸魂界では空前のブームが起きていた。
現世で言うところの『ガラケー』だった伝令神機が『スマートフォン』化し、指令の受信だけでなく、通信手段としての進化によって様々な事が利便的になった。
予定の管理から写真・映像の記録、更に近い内、通貨である『環』も電子マネー決済のようになる……らしい。
『ほら、瀞霊廷もほぼ更地になっちゃったし。いい機会だから新しい風でも吹き込んじゃおっかな、って』
…と、新総隊長である京楽が言い出したのが発端だ。
余談だがスマートフォン型の伝令神機は浦原が案を出し、原型を作り、量産体制を技術開発局で整えた。
本来ならばマユリが指揮を執るところだが、残念ながら『全ての通信機器に盗聴機能を付けるヨ』と言い出した為、浦原へお鉢が回ってきた、というわけだ。
阿近が頭を抱えたのは言うまでもない。
何故なら原型の開発特許を取ってしまえば、技術開発局の予算が…言い方が下世話だが『ガッポリ』『ザクザク』『ウッハウハ』だったのだから。
ちなみに完成品を見た一護は『iPh〇neじゃねーか』と突っ込み、石田に至っては『……それは特許と言っていいのかい?』と呆れていた。
――話を戻そう。
そんなこんなで『スマホ』なるものが尸魂界で普及され、現世のスマートフォンとなんら遜色ない機能があるとすれば、流行るもの。
『ソーシャルゲーム』
所謂、ソシャゲである。
その中でも全死神に流行っていたのが、実在する死神を『キャラクター』にし、アクションRPGで遊ぶゲームだった。
基本無料プレイ。
勿論、課金もある。
開発費など差っ引いた売上は、瀞霊廷の復興費に充てられるらしい。
まぁそんな大義名分をなしにしても、流行る理由はある。
全男性死神の憧れである松本乱菊の水着からハロウィン衣装まで。
更にエプロン姿のものも実装されている。
これは檜佐木や射場をはじめとする男性死神達が重課金待ったナシだった。
では女性死神にはどうだろう。
高嶺の花である朽木白哉の洋装。一部のお姉様方が倒れてしまいそうな幼い頃の姿。挙げれば枚挙に遑がない。
一般女性死神の方々には『技術開発局ありがとう!』と絶賛されたらしい。
余談だが朽木白哉を上回る人気が日番谷冬獅郎だった。
犬耳から洋装。更にコアなファンが涙を流しながら手を合わせたものが『大紅蓮氷輪丸を完成させ、少し老けた日番谷冬獅郎』だ。
ショタ白哉・老けた日番谷の情報の出処は――大隷書回廊にでも問い合わせて欲しい。
ちなみに本人達は頭を抱えていた。
そんなこんなで、日々の業務の合間でのんびり(?)流行っているこのゲームだが――
「名無しサン、しないンっスか?」
「してますよ、一応。普段はログインくらいしかしていませんけど」
つまり、話題になんとなくついていけるくらい、といったところか。
「されているならボクと一緒のグループに入りましょうよ〜」
「遠慮しておきます。あまり一生懸命しているわけではないのでご迷惑お掛けしますし、一人でのんびりします。」
取り付く島もない。
浦原の誘いもサラッと躱し、取り込んだ洗濯物を片付けるため居間から立ち上がる。
両手にはいっぱいの、丁寧に畳まれたフェイスタオルとバスタオル。
畳を歩けばぺたぺたと鳴る、どこか幼い足音が遠ざかるのを確認して、浦原は卓袱台へちらりと視線を落とした。
悪い事だと、わかっている。
けれど好奇心は止められない。
気になる。
非常に、気になる。
お互い隠すつもりがない伝令神機のパスワードを6桁入力して、ゲームを起動する。
『なんで瀞霊廷が作ったゲームなのに俺が声を当てるんだよ!』と文句を言っていた一護。
そんな彼の声で吹き込まれたタイトルコールを経て、ホーム画面を見れば。
確かに、程々に育てられたキャラが第一部隊に三体編成されていた。
しかしどうも違和感がある。
あの負けず嫌いの彼女が、こんか中途半端な育成をするだろうか?
最高レアリティまで育てているものの、レベルは最大値まで育てきっていない。
更にいえば『キャラクターガチャ』なるものが引ける石が、かなりの数で溜まっている。
コツコツ貯蓄するのが得意な名無しらしいといえば、彼女らしいのだが――。
小さく首を傾げながら、第二編成を見る。
それを見た途端浮かんでいた疑問が風に攫われるように消し飛び、浦原は思わず口元を押えた。
――チーム効果、というものがある。
共通の項目があるキャラクターを編成すれば、ボーナスステータスが付与されるという仕組みだ。
例えば隊長格だけで編成すれば『護廷十三隊・隊長』。
藍染・市丸・東仙で編成すれば『恐るべき野望』。
……などなど、様々な恩恵が受けられるのだ、が。
チームスキル『発明の彗眼』。
編成されているキャラクター全員が、鏡で毎日見る顔だった。
CGでデフォルメされてはいるが、それは紛れもなく自分――つまり、浦原喜助で。
レベルも最大値まで育て、強化するのは難しいと言われる必殺技レベルもコツコツ育てている。
つまりは、そういうことだ。
(…………えーーー、ボクの名無しサン可愛すぎやしませんか……)
恋人がコソコソと『浦原喜助』を使ってプレイしている。
気恥しいような、むず痒いような、複雑な気分だ。
……まぁ、頬が緩むのは不可抗力ということにしておこう。
発明の彗眼
「?、浦原さん、何ニタニタして…………あーーー!何勝手に見てるんですか!」
「だってぇ」
「だってもヘチマもありません!返してください!アンインストールします!」
「だ、ダメっス!ボクを捨てないでください!」
現世で言うところの『ガラケー』だった伝令神機が『スマートフォン』化し、指令の受信だけでなく、通信手段としての進化によって様々な事が利便的になった。
予定の管理から写真・映像の記録、更に近い内、通貨である『環』も電子マネー決済のようになる……らしい。
『ほら、瀞霊廷もほぼ更地になっちゃったし。いい機会だから新しい風でも吹き込んじゃおっかな、って』
…と、新総隊長である京楽が言い出したのが発端だ。
余談だがスマートフォン型の伝令神機は浦原が案を出し、原型を作り、量産体制を技術開発局で整えた。
本来ならばマユリが指揮を執るところだが、残念ながら『全ての通信機器に盗聴機能を付けるヨ』と言い出した為、浦原へお鉢が回ってきた、というわけだ。
阿近が頭を抱えたのは言うまでもない。
何故なら原型の開発特許を取ってしまえば、技術開発局の予算が…言い方が下世話だが『ガッポリ』『ザクザク』『ウッハウハ』だったのだから。
ちなみに完成品を見た一護は『iPh〇neじゃねーか』と突っ込み、石田に至っては『……それは特許と言っていいのかい?』と呆れていた。
――話を戻そう。
そんなこんなで『スマホ』なるものが尸魂界で普及され、現世のスマートフォンとなんら遜色ない機能があるとすれば、流行るもの。
『ソーシャルゲーム』
所謂、ソシャゲである。
その中でも全死神に流行っていたのが、実在する死神を『キャラクター』にし、アクションRPGで遊ぶゲームだった。
基本無料プレイ。
勿論、課金もある。
開発費など差っ引いた売上は、瀞霊廷の復興費に充てられるらしい。
まぁそんな大義名分をなしにしても、流行る理由はある。
全男性死神の憧れである松本乱菊の水着からハロウィン衣装まで。
更にエプロン姿のものも実装されている。
これは檜佐木や射場をはじめとする男性死神達が重課金待ったナシだった。
では女性死神にはどうだろう。
高嶺の花である朽木白哉の洋装。一部のお姉様方が倒れてしまいそうな幼い頃の姿。挙げれば枚挙に遑がない。
一般女性死神の方々には『技術開発局ありがとう!』と絶賛されたらしい。
余談だが朽木白哉を上回る人気が日番谷冬獅郎だった。
犬耳から洋装。更にコアなファンが涙を流しながら手を合わせたものが『大紅蓮氷輪丸を完成させ、少し老けた日番谷冬獅郎』だ。
ショタ白哉・老けた日番谷の情報の出処は――大隷書回廊にでも問い合わせて欲しい。
ちなみに本人達は頭を抱えていた。
そんなこんなで、日々の業務の合間でのんびり(?)流行っているこのゲームだが――
「名無しサン、しないンっスか?」
「してますよ、一応。普段はログインくらいしかしていませんけど」
つまり、話題になんとなくついていけるくらい、といったところか。
「されているならボクと一緒のグループに入りましょうよ〜」
「遠慮しておきます。あまり一生懸命しているわけではないのでご迷惑お掛けしますし、一人でのんびりします。」
取り付く島もない。
浦原の誘いもサラッと躱し、取り込んだ洗濯物を片付けるため居間から立ち上がる。
両手にはいっぱいの、丁寧に畳まれたフェイスタオルとバスタオル。
畳を歩けばぺたぺたと鳴る、どこか幼い足音が遠ざかるのを確認して、浦原は卓袱台へちらりと視線を落とした。
悪い事だと、わかっている。
けれど好奇心は止められない。
気になる。
非常に、気になる。
お互い隠すつもりがない伝令神機のパスワードを6桁入力して、ゲームを起動する。
『なんで瀞霊廷が作ったゲームなのに俺が声を当てるんだよ!』と文句を言っていた一護。
そんな彼の声で吹き込まれたタイトルコールを経て、ホーム画面を見れば。
確かに、程々に育てられたキャラが第一部隊に三体編成されていた。
しかしどうも違和感がある。
あの負けず嫌いの彼女が、こんか中途半端な育成をするだろうか?
最高レアリティまで育てているものの、レベルは最大値まで育てきっていない。
更にいえば『キャラクターガチャ』なるものが引ける石が、かなりの数で溜まっている。
コツコツ貯蓄するのが得意な名無しらしいといえば、彼女らしいのだが――。
小さく首を傾げながら、第二編成を見る。
それを見た途端浮かんでいた疑問が風に攫われるように消し飛び、浦原は思わず口元を押えた。
――チーム効果、というものがある。
共通の項目があるキャラクターを編成すれば、ボーナスステータスが付与されるという仕組みだ。
例えば隊長格だけで編成すれば『護廷十三隊・隊長』。
藍染・市丸・東仙で編成すれば『恐るべき野望』。
……などなど、様々な恩恵が受けられるのだ、が。
チームスキル『発明の彗眼』。
編成されているキャラクター全員が、鏡で毎日見る顔だった。
CGでデフォルメされてはいるが、それは紛れもなく自分――つまり、浦原喜助で。
レベルも最大値まで育て、強化するのは難しいと言われる必殺技レベルもコツコツ育てている。
つまりは、そういうことだ。
(…………えーーー、ボクの名無しサン可愛すぎやしませんか……)
恋人がコソコソと『浦原喜助』を使ってプレイしている。
気恥しいような、むず痒いような、複雑な気分だ。
……まぁ、頬が緩むのは不可抗力ということにしておこう。
発明の彗眼
「?、浦原さん、何ニタニタして…………あーーー!何勝手に見てるんですか!」
「だってぇ」
「だってもヘチマもありません!返してください!アンインストールします!」
「だ、ダメっス!ボクを捨てないでください!」