short story
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「名無しサン、何食べてるんっスか?」
問うてみたものの、見れば分かる。
机の上には、マユリに提出する報告書。ボールペン。
飲みかけのお茶が半分ほど入ったマグカップの隣には、ころりと赤い飴玉だ。
個包装を開けて口に放り込む仕草を見ていたのだから、飴玉を頬張っているのは知っている。
「リンゴ味の飴玉ですよ。最近、瀞霊廷に新しく飴屋さんが出来まして。おひとつ食べてみますか?」
「いいんっスか?じゃあおひとつ。」
ころころ飴玉を口内で転がしながら、白く細い指が飴玉の個包装をつまみ上げる。
――それを見て何か思いついたのだろう。
ちょっといたずらっぽい笑みを小さく浮かべ、名無しは飴玉を後ろ手で隠した。
ごそり、ごそりと揺れる体。
数秒間を置いて、目の前に突き出されたのは、拳が二つ。
「飴はどっちに入っているでしょーうか。」
珍しく、年相応よりも幼い笑顔を浮かべ、機嫌よく笑う名無し。
ちょっと意地悪く上がった口角も、弓形に細められた目元も、真っ先に可愛いと思ってしまうのは重症だろうか。
「えー、どっちっスかねぇ〜」
「なんと!当たったらもう一つ差し上げます!」
ノリがいい深夜の通販番組のナレーションのようだ。
自信満々な表情で手を差し出す彼女が、愛しくて仕方ない。どうしてくれようか、この生き物。
「じゃあ、当てますよ」
「はい。ドンと来い。」
わくわくした表情。
ソワソワした空気。
まるで遊んでもらえると分かった時の子犬のようだ。
可愛いなぁ、愛おしいなぁ。
内心ほくそ笑みながら、突き出された両手を同時に掴む。
思い切り引き寄せ、先程から魅惑的にモニョモニョ動いてる唇へ、深く深く口付けた。
目にも鮮やかな砂糖菓子も魅力的だが、浦原の一番のご馳走はやはり桜色の唇だ。
甘い、甘い、リンゴ味。
きちんと果汁を使っているのか、安っぽい甘味料の味ではなく、ちゃんと甘酸っぱい果実の味がした。
甘くて、柔らかくて。
蕩けそうで、ほどけそうな接吻。
頬袋に入っていた、少し小さくなってしまった飴。
それを舌で絡めとり、散々口内を堪能したあと名残惜しく唇を離した。
「ん、は…っ、」
「正解したんで、これは貰っていきますね」
名無しの右手の指を解けば、ころりと出てくる個包装された飴玉。
正解したらもう一つ。
そういう約束だったはず。
CANDY POP!
「そうじゃない…こうじゃなかったはずなのに…!」
不満そうな顔でぷりぷり怒る名無しは、林檎のように真っ赤だったとか。
問うてみたものの、見れば分かる。
机の上には、マユリに提出する報告書。ボールペン。
飲みかけのお茶が半分ほど入ったマグカップの隣には、ころりと赤い飴玉だ。
個包装を開けて口に放り込む仕草を見ていたのだから、飴玉を頬張っているのは知っている。
「リンゴ味の飴玉ですよ。最近、瀞霊廷に新しく飴屋さんが出来まして。おひとつ食べてみますか?」
「いいんっスか?じゃあおひとつ。」
ころころ飴玉を口内で転がしながら、白く細い指が飴玉の個包装をつまみ上げる。
――それを見て何か思いついたのだろう。
ちょっといたずらっぽい笑みを小さく浮かべ、名無しは飴玉を後ろ手で隠した。
ごそり、ごそりと揺れる体。
数秒間を置いて、目の前に突き出されたのは、拳が二つ。
「飴はどっちに入っているでしょーうか。」
珍しく、年相応よりも幼い笑顔を浮かべ、機嫌よく笑う名無し。
ちょっと意地悪く上がった口角も、弓形に細められた目元も、真っ先に可愛いと思ってしまうのは重症だろうか。
「えー、どっちっスかねぇ〜」
「なんと!当たったらもう一つ差し上げます!」
ノリがいい深夜の通販番組のナレーションのようだ。
自信満々な表情で手を差し出す彼女が、愛しくて仕方ない。どうしてくれようか、この生き物。
「じゃあ、当てますよ」
「はい。ドンと来い。」
わくわくした表情。
ソワソワした空気。
まるで遊んでもらえると分かった時の子犬のようだ。
可愛いなぁ、愛おしいなぁ。
内心ほくそ笑みながら、突き出された両手を同時に掴む。
思い切り引き寄せ、先程から魅惑的にモニョモニョ動いてる唇へ、深く深く口付けた。
目にも鮮やかな砂糖菓子も魅力的だが、浦原の一番のご馳走はやはり桜色の唇だ。
甘い、甘い、リンゴ味。
きちんと果汁を使っているのか、安っぽい甘味料の味ではなく、ちゃんと甘酸っぱい果実の味がした。
甘くて、柔らかくて。
蕩けそうで、ほどけそうな接吻。
頬袋に入っていた、少し小さくなってしまった飴。
それを舌で絡めとり、散々口内を堪能したあと名残惜しく唇を離した。
「ん、は…っ、」
「正解したんで、これは貰っていきますね」
名無しの右手の指を解けば、ころりと出てくる個包装された飴玉。
正解したらもう一つ。
そういう約束だったはず。
CANDY POP!
「そうじゃない…こうじゃなかったはずなのに…!」
不満そうな顔でぷりぷり怒る名無しは、林檎のように真っ赤だったとか。