short story
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
アレが、出た。
むしろ古い家屋だというのに今まで出なかった方が奇跡だろう。
掃除をきちんとしていたとしても、やはり出るものは出る。
「う」
珍しく名無しの悲鳴が響き渡った。
キミとボクの殲滅戦
「どしたんっスか、名無しサン……って、何してるんスか」
義骸を脱ぎ捨て、死覇装の姿の名無し。
先程の声といい只事ではなさそうだ。何せ、目が本気だ。
「ヤツが出たんですよ。」
斬魄刀まで持ち出して、何をするつもりなのだろう。
……虚?いや、霊圧は感じないし――
浦原の背後からカサッと僅かな音が立つ。
それと同時に、
「そこ!」
浦原の毛先を掠める、鬼道。
鬼道は鬼道でも破道の九十・黒棺だ。
流石の浦原もこれには面食らった。
「……ちっ。外しましたか。ヤツのすばやさは隠密機動もビックリですね…」
「ちょっと、名無しサン!?ボクの髪の毛ちょっと持っていかれましたけど!?」
「詠唱破棄してるんで大丈夫ですよ。」
鬼道の九十番台を完全詠唱破棄で扱えるようになったのを褒めるべきか、否か。
いや、範囲が極小とはいえ高威力の鬼道は鬼道だ。
こんなものを家の中で使われてしまっては倒壊待ったナシだ。
「…で、何を仕留めようと?」
「例のアイツですよ。」
「アイツ?」
「名前を言ってはいけないアイツです。」
どこのヴォルデ〇ートだ。
「もしかして、」
「いやぁぁ!いた!!」
羽音と同時に、浦原にしがみつく名無し。
黒い羽織がシワになるとか、思ったより勢いよく抱きつかれてちょっと痛いとか、色々あるが……
(役得!)
当たっている。
胸が、当たっている。
しかも普段自分から抱きついてくれない名無しが、しがみついてくれている。
これを役得と言わずしてなんと言う。
――カサッ
足元に、微かな気配。
霊圧はゼロ。もちろん虚ではない。
しかし大抵の人物は忌み嫌い、台所によく出現する、黒いアレ。
見つけたら全力で始末する人が殆どだろう。
……目の前の恋人は些か全力過ぎる気もしないが、可愛いのでよしとしよう。
「あぁ、ゴキブリっスか。」
ひゅっ
ドサッ
ぷちっ。
ジン太がテーブルの上に置いていた、読みかけのジャンプを手に取り、床を徘徊するGに落とした浦原。
無情にもそのジャンプを、なんと上から足で踏み潰した。
下敷きになったアレの末路は……お察しと言ったところか。
「名無しサン、仕留めましたよ……って、あれ?」
怯えて抱きついてきていた名無しは、まさしく脱兎のごとく逃げ出していた。
「………浦原さん。後の掃除はアルコール消毒までよろしくお願いします。あと足は絶対風呂で洗って来てくださいね。」
義骸を抱えて逃走する名無し。
残されたのは……Gの死骸と、振り回された浦原と、犠牲になったジン太のジャンプ。
その晩。
ジン太の『あぁぁぁ!まだ読みかけだったのに!!オレのジャンプ!』という悲鳴が上がるのは、また別の話。
むしろ古い家屋だというのに今まで出なかった方が奇跡だろう。
掃除をきちんとしていたとしても、やはり出るものは出る。
「う」
珍しく名無しの悲鳴が響き渡った。
キミとボクの殲滅戦
「どしたんっスか、名無しサン……って、何してるんスか」
義骸を脱ぎ捨て、死覇装の姿の名無し。
先程の声といい只事ではなさそうだ。何せ、目が本気だ。
「ヤツが出たんですよ。」
斬魄刀まで持ち出して、何をするつもりなのだろう。
……虚?いや、霊圧は感じないし――
浦原の背後からカサッと僅かな音が立つ。
それと同時に、
「そこ!」
浦原の毛先を掠める、鬼道。
鬼道は鬼道でも破道の九十・黒棺だ。
流石の浦原もこれには面食らった。
「……ちっ。外しましたか。ヤツのすばやさは隠密機動もビックリですね…」
「ちょっと、名無しサン!?ボクの髪の毛ちょっと持っていかれましたけど!?」
「詠唱破棄してるんで大丈夫ですよ。」
鬼道の九十番台を完全詠唱破棄で扱えるようになったのを褒めるべきか、否か。
いや、範囲が極小とはいえ高威力の鬼道は鬼道だ。
こんなものを家の中で使われてしまっては倒壊待ったナシだ。
「…で、何を仕留めようと?」
「例のアイツですよ。」
「アイツ?」
「名前を言ってはいけないアイツです。」
どこのヴォルデ〇ートだ。
「もしかして、」
「いやぁぁ!いた!!」
羽音と同時に、浦原にしがみつく名無し。
黒い羽織がシワになるとか、思ったより勢いよく抱きつかれてちょっと痛いとか、色々あるが……
(役得!)
当たっている。
胸が、当たっている。
しかも普段自分から抱きついてくれない名無しが、しがみついてくれている。
これを役得と言わずしてなんと言う。
――カサッ
足元に、微かな気配。
霊圧はゼロ。もちろん虚ではない。
しかし大抵の人物は忌み嫌い、台所によく出現する、黒いアレ。
見つけたら全力で始末する人が殆どだろう。
……目の前の恋人は些か全力過ぎる気もしないが、可愛いのでよしとしよう。
「あぁ、ゴキブリっスか。」
ひゅっ
ドサッ
ぷちっ。
ジン太がテーブルの上に置いていた、読みかけのジャンプを手に取り、床を徘徊するGに落とした浦原。
無情にもそのジャンプを、なんと上から足で踏み潰した。
下敷きになったアレの末路は……お察しと言ったところか。
「名無しサン、仕留めましたよ……って、あれ?」
怯えて抱きついてきていた名無しは、まさしく脱兎のごとく逃げ出していた。
「………浦原さん。後の掃除はアルコール消毒までよろしくお願いします。あと足は絶対風呂で洗って来てくださいね。」
義骸を抱えて逃走する名無し。
残されたのは……Gの死骸と、振り回された浦原と、犠牲になったジン太のジャンプ。
その晩。
ジン太の『あぁぁぁ!まだ読みかけだったのに!!オレのジャンプ!』という悲鳴が上がるのは、また別の話。