short story
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「名無しサン、すきって10回言ってください〜」
ニヤニヤ…いや、ニタニタという表現がピッタリなくらい、目の前の店主は満面の笑みを浮かべていた。
これはアレだ。小学生がよくやる、10回クイズ的な。手袋を逆から読ませて6回殴られる的な。
繰り返し言えば『キス』という単語になるからか。
何時までも(良くいえば)童心を忘れない浦原に、呆れるやら、辟易するやら。
…ん?呆れるも辟易も、意味は殆ど同じ?その通りですけど。
ただ、いつものようにムキになっても仕方ない。
ここは逆にギャフンと言わせてみたい。
ならば、
「優しい目がすき。」
「へ?」
「秋の芒みたいな色の、柔らかいくせっ毛の髪がすき」
「ちょ、名無しサン?」
「何か作ってる時の、真剣な横顔がすき」
「そうじゃなくて、ですね」
…おお。
私も無茶苦茶恥ずかしいけど、これは効果ありでは。
珍しく狼狽えながら、目の前の男が頬を染めているではないか。
内心ガッツポーズをして、逆に私が照れていることを悟られないよう、大きくひとつ深呼吸。
一呼吸で全部言えるように。普段言えないことを、全部。全部。
「大きくて指が長くて、色んなものを作れる手がすき」
「名前を呼んでくれる時の、あたたかい声がすき」
「子供みたいな、かわいい寝顔がすき」
まだまだ挙げればキリがない。
歩いてる時、歩調を合わせてくれるところとか、頬を撫でる時のやさしい指先だとか。
星の数ほどあるのは当たり前だ。
結局のところ、私は
「少し猫背の、大きくて広い背中がすき」
「強くてかっこいいところがすき。」
「嬉しそうな、ふわっとした笑顔がすき」
彼のことが、全部全部すきなのだから。
ぽかんと呆気に取られた浦原の唇に、うんと背伸びして、キスをひとつ。
どうだ。これがお望みなんでしょう?
「…たまに見せてくれる照れた顔も、ぜーんぶ好きですよ」
どうだ、してやったり。
いつも私が振り回されているのだ。たまにはいいだろう。
あぁ、頬が限界だ。
頭を空っぽにして隠していた羞恥心が、体温に変わって熱を灯していく。
踵を返して浦原に背を向けて。
さて、洗濯物を取り込みに行くかと歩を進めようとした、けれど。
すきすきkiss
「名無しサン、まだボクが言ってないっスよぉ」
「ぐぇっ」
後ろから力いっぱい抱きしめられ、色気の欠けらもない声が腹から溢れた。
無遠慮に見上げれば、珍しく赤くなった浦原の顔。
しかし笑顔はいつもの『関わったら面倒くさい』時のもので。
「ちゃんと名無しサンのすきなところ、ぜーんぶ教えて差し上げますね。お布団で。」
「いやいやいや、結構です…ってなんでお布団なんですか!」
「一晩で言いきれないからっス。」
「本音は?」
「勃ったからっス。」
「う、うわぁ…!まさかのストレート…」
こんなはずではなかった。
けど、まぁ。なんだ。
珍しく、彼の照れた顔が見れたから、よしとしようか。
ニヤニヤ…いや、ニタニタという表現がピッタリなくらい、目の前の店主は満面の笑みを浮かべていた。
これはアレだ。小学生がよくやる、10回クイズ的な。手袋を逆から読ませて6回殴られる的な。
繰り返し言えば『キス』という単語になるからか。
何時までも(良くいえば)童心を忘れない浦原に、呆れるやら、辟易するやら。
…ん?呆れるも辟易も、意味は殆ど同じ?その通りですけど。
ただ、いつものようにムキになっても仕方ない。
ここは逆にギャフンと言わせてみたい。
ならば、
「優しい目がすき。」
「へ?」
「秋の芒みたいな色の、柔らかいくせっ毛の髪がすき」
「ちょ、名無しサン?」
「何か作ってる時の、真剣な横顔がすき」
「そうじゃなくて、ですね」
…おお。
私も無茶苦茶恥ずかしいけど、これは効果ありでは。
珍しく狼狽えながら、目の前の男が頬を染めているではないか。
内心ガッツポーズをして、逆に私が照れていることを悟られないよう、大きくひとつ深呼吸。
一呼吸で全部言えるように。普段言えないことを、全部。全部。
「大きくて指が長くて、色んなものを作れる手がすき」
「名前を呼んでくれる時の、あたたかい声がすき」
「子供みたいな、かわいい寝顔がすき」
まだまだ挙げればキリがない。
歩いてる時、歩調を合わせてくれるところとか、頬を撫でる時のやさしい指先だとか。
星の数ほどあるのは当たり前だ。
結局のところ、私は
「少し猫背の、大きくて広い背中がすき」
「強くてかっこいいところがすき。」
「嬉しそうな、ふわっとした笑顔がすき」
彼のことが、全部全部すきなのだから。
ぽかんと呆気に取られた浦原の唇に、うんと背伸びして、キスをひとつ。
どうだ。これがお望みなんでしょう?
「…たまに見せてくれる照れた顔も、ぜーんぶ好きですよ」
どうだ、してやったり。
いつも私が振り回されているのだ。たまにはいいだろう。
あぁ、頬が限界だ。
頭を空っぽにして隠していた羞恥心が、体温に変わって熱を灯していく。
踵を返して浦原に背を向けて。
さて、洗濯物を取り込みに行くかと歩を進めようとした、けれど。
すきすきkiss
「名無しサン、まだボクが言ってないっスよぉ」
「ぐぇっ」
後ろから力いっぱい抱きしめられ、色気の欠けらもない声が腹から溢れた。
無遠慮に見上げれば、珍しく赤くなった浦原の顔。
しかし笑顔はいつもの『関わったら面倒くさい』時のもので。
「ちゃんと名無しサンのすきなところ、ぜーんぶ教えて差し上げますね。お布団で。」
「いやいやいや、結構です…ってなんでお布団なんですか!」
「一晩で言いきれないからっス。」
「本音は?」
「勃ったからっス。」
「う、うわぁ…!まさかのストレート…」
こんなはずではなかった。
けど、まぁ。なんだ。
珍しく、彼の照れた顔が見れたから、よしとしようか。