short story
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彼女は、朝と夜。欠かさず牛乳を飲んでいる。
高校で行われた身体測定の前日は妙にそわそわしていたところから察するに、身長を伸ばしたいのだろう。
ルキアよりは大きく、織姫よりは小さい。
日本人女性の平均身長で考えれば、小さい部類に入る。
「そんなに背丈欲しいんっスか?」
風呂上がりにコップ一杯の牛乳を飲み干す名無しに対して、ボクは頬杖をつきながら何となしに訊ねた。
「そりゃそうですよ。身長があればその分リーチも長くなるし、力もつきますから」
「そりゃまた色気のない…。誰の受け売り……って多分阿散井サンでしょうね」
「浦原さん、エスパーですか?」
図星だったらしく、コップ片手に笑う名無し。
流し台にガラスコップをそっと置き、『カルシウムたっぷり!』と謳い文句が書かれた牛乳パックを冷蔵庫に仕舞った。
安っぽいキャッチコピーに釣られて、その牛乳を選んだのは想像にかたくない。意外とそういうところは単純だ。
しかし……
「名無しサン。残酷なこと言うようで申し訳ないんっスけど、もう成長期は過ぎてるんじゃないっスか?」
「ひ、酷い!まだ希望はありますよ!」
「そうっスか?まぁ、ボクとしてはこのくらいの身長が可愛らしくていいんっスけど」
死神になった年齢も、実年齢もおおよそ18歳だ。俗に言う成長期はほぼ終わりだろう。
それでも希望を捨てきれないあたりは、諦めの悪い彼女らしいと言えば『らしい』。
ぷりぷり怒る名無しを宥めるように抱きしめれば、それはもうすっぽりと両腕に収まった。
細くて小さくて。あぁ、このままずっと隠しておきたいくらい可愛い。
「…せめて170cmは…」
「ええ……それは肉体改造するレベルじゃないっスか」
「涅隊長に頼まないと無理っスよ、それは」と返せば、きゅっと眉を寄せて本気で悩み始めた。
あのマッドサイエンティストに肉体改造させるなんて、正気ではないだろう。
……ん?ボクが言えた義理じゃないだろう、って?
まぁ、それは置いておいて。
兎に角。
お望みの身長になるには、今の背丈から20cm近く伸ばす必要がある。
まさに『高望み』というやつだ。
(名無しサンが170cm…いや想像つかないっスね…)
ボクなりのメリット挙げるとすれば、目が合いやすくなって、キスがしやすくなるくらいか。
…………ん?キス?
「ははぁん、そういうことっスか。」
「?、なんです?」
「いやね。松本サンが置いていった雑誌に『キスしやすい身長差』とか書いていたな〜と思い出しまして。」
分かりやすすぎる。
腕の中で強ばる両肩。
ヒュッと一瞬止まる呼吸。
その表情は見れないが、恐らく情報を処理しきれないパソコンの如くフリーズしているのだろう。
「おや、図星っスかぁ?」
「ちちち、違っ…!これはあくまで、死神として鍛えるため、」
その記事に思い当たる節があるのだろう。
慌ててこちらを見上げてきた顔は、思わず笑ってしまう程に真っ赤に染まっていた。
何っスか、この生き物。可愛い。
腰を曲げて覆い被さるように口付けを落とせば、やわらかくて甘い唇に触れる。
何度も何度も、啄むように落とせば次第に夢中になってしまう。
まるでそう。これはキスの雨だ。
「ボクがこうすればキスできるんですから、問題ないんじゃないっスか?」
「〜〜ッう、浦原さん、ヘルニアになっても知りませんから!」
ふぃと視線を逸らす可愛い恋人を見下ろしながら、「その時は介護をお願いするっス」とボクは満足げに笑うのだった。
秘密の身長差
最初は純粋に身長が欲しかった。
強くなるには大きい身体を手に入れるのが手っ取り早いと思ったから。
死神になってから……もとい、晴れて恋人になった後は…まぁ、その、キスしやすい、身長くらいは欲しくなった。
けれど残念ながら、浦原さんは身長が高い。
183cmって何。『普通っスよ〜』とか何とか、嫌味もなしに言ってくるものだから、ちょっとムカついたのも事実。
キスしやすい身長差は12cm。
つまるところ171cmは高望みだろうけど、せめて
(…えっちしやすい25cm差くらいにはしたいな)
…………なんて、絶対口が裂けても言えないけれど。
高校で行われた身体測定の前日は妙にそわそわしていたところから察するに、身長を伸ばしたいのだろう。
ルキアよりは大きく、織姫よりは小さい。
日本人女性の平均身長で考えれば、小さい部類に入る。
「そんなに背丈欲しいんっスか?」
風呂上がりにコップ一杯の牛乳を飲み干す名無しに対して、ボクは頬杖をつきながら何となしに訊ねた。
「そりゃそうですよ。身長があればその分リーチも長くなるし、力もつきますから」
「そりゃまた色気のない…。誰の受け売り……って多分阿散井サンでしょうね」
「浦原さん、エスパーですか?」
図星だったらしく、コップ片手に笑う名無し。
流し台にガラスコップをそっと置き、『カルシウムたっぷり!』と謳い文句が書かれた牛乳パックを冷蔵庫に仕舞った。
安っぽいキャッチコピーに釣られて、その牛乳を選んだのは想像にかたくない。意外とそういうところは単純だ。
しかし……
「名無しサン。残酷なこと言うようで申し訳ないんっスけど、もう成長期は過ぎてるんじゃないっスか?」
「ひ、酷い!まだ希望はありますよ!」
「そうっスか?まぁ、ボクとしてはこのくらいの身長が可愛らしくていいんっスけど」
死神になった年齢も、実年齢もおおよそ18歳だ。俗に言う成長期はほぼ終わりだろう。
それでも希望を捨てきれないあたりは、諦めの悪い彼女らしいと言えば『らしい』。
ぷりぷり怒る名無しを宥めるように抱きしめれば、それはもうすっぽりと両腕に収まった。
細くて小さくて。あぁ、このままずっと隠しておきたいくらい可愛い。
「…せめて170cmは…」
「ええ……それは肉体改造するレベルじゃないっスか」
「涅隊長に頼まないと無理っスよ、それは」と返せば、きゅっと眉を寄せて本気で悩み始めた。
あのマッドサイエンティストに肉体改造させるなんて、正気ではないだろう。
……ん?ボクが言えた義理じゃないだろう、って?
まぁ、それは置いておいて。
兎に角。
お望みの身長になるには、今の背丈から20cm近く伸ばす必要がある。
まさに『高望み』というやつだ。
(名無しサンが170cm…いや想像つかないっスね…)
ボクなりのメリット挙げるとすれば、目が合いやすくなって、キスがしやすくなるくらいか。
…………ん?キス?
「ははぁん、そういうことっスか。」
「?、なんです?」
「いやね。松本サンが置いていった雑誌に『キスしやすい身長差』とか書いていたな〜と思い出しまして。」
分かりやすすぎる。
腕の中で強ばる両肩。
ヒュッと一瞬止まる呼吸。
その表情は見れないが、恐らく情報を処理しきれないパソコンの如くフリーズしているのだろう。
「おや、図星っスかぁ?」
「ちちち、違っ…!これはあくまで、死神として鍛えるため、」
その記事に思い当たる節があるのだろう。
慌ててこちらを見上げてきた顔は、思わず笑ってしまう程に真っ赤に染まっていた。
何っスか、この生き物。可愛い。
腰を曲げて覆い被さるように口付けを落とせば、やわらかくて甘い唇に触れる。
何度も何度も、啄むように落とせば次第に夢中になってしまう。
まるでそう。これはキスの雨だ。
「ボクがこうすればキスできるんですから、問題ないんじゃないっスか?」
「〜〜ッう、浦原さん、ヘルニアになっても知りませんから!」
ふぃと視線を逸らす可愛い恋人を見下ろしながら、「その時は介護をお願いするっス」とボクは満足げに笑うのだった。
秘密の身長差
最初は純粋に身長が欲しかった。
強くなるには大きい身体を手に入れるのが手っ取り早いと思ったから。
死神になってから……もとい、晴れて恋人になった後は…まぁ、その、キスしやすい、身長くらいは欲しくなった。
けれど残念ながら、浦原さんは身長が高い。
183cmって何。『普通っスよ〜』とか何とか、嫌味もなしに言ってくるものだから、ちょっとムカついたのも事実。
キスしやすい身長差は12cm。
つまるところ171cmは高望みだろうけど、せめて
(…えっちしやすい25cm差くらいにはしたいな)
…………なんて、絶対口が裂けても言えないけれど。