short story
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長い長い長期休暇。
しがない駄菓子屋の浦原商店も『まぁ売上なんてあってないようなもんっスからァ』と店主の一声で長期休暇になった。
かと言って、名無しの死神業は別段ゴールデンウィークだから休める訳でもなく、逆に忙しくなる訳でもなく。
『通常営業』という言葉がピッタリだ。
しかし店前の掃除や、店番がないとなればいつもより手が空くもので。
折角出来た時間だ。有効活用するべきだろう、と彼女が取りかかったことは……
「名無しサン、折角のんびりする時間出来たのに…」
「こういう時にしなくちゃ、いつするんですか」
庭の本格的な草むしりから始まり、駄菓子を陳列している什器の掃除。
普段中々できない掃除を日毎に分けて取り掛かる名無しを見て、感心するやら呆れるやら。
今日はどうやら浦原商店のワンボックスカーを洗車するらしい。
春に飛来してきた黄砂や花粉で汚れてしまい、お世辞も綺麗とは言えない車体にホースのシャワーヘッドを向ける名無し。
バケツに泡立てた洗車用のシャンプーに、拭き取り用のクロス。カーワックスまで用意しているあたり、几帳面さが垣間見れた。
「えー…どこかに遊びに行ったりとか」
「人混みになりますもん。どうせならのんびり出来る日にお出かけしたいです。」
まぁ浦原としては、ただ彼女とイチャイチャしたいだけなのだが。
しかし外出を提案したらご覧の有様だ。
確かに理には適っている。どこに出掛けるにしても、いつもの数倍の人混みを覚悟する必要があるだろう。
「そんなァ。身も蓋もないっスよぉ」
「まぁそうなんですけど。
…ほら。次の何でもない日の天気いい日に、ドライブでもしましょう?」
ふかふかのスポンジに泡をたっぷり纏わせて。
商業用のバンを『ぽん』と一撫でして、名無しがはにかんだように笑う。
つまるところ、これは。
次の、デートのお誘い。
「……そうと決まれば、トコトン綺麗にしましょっかぁ」
「あれ?浦原さんも手伝ってくれるんですか?」
「そりゃもう。」
商業用ワンボックスカーでドライブなんて、雰囲気も情緒もあったものではないが、彼女からしたら大した問題ではないらしい。
ちょっと乗り心地が悪い車のシートでも、なんてことない行き先でも、
あなたといる時間が一番の幸福
「浦原さん。海、見に行きたいです。」
「いいっスねぇ。お昼に海鮮丼とかどうっスか?」
そんな何気ない会話をするだけで満たされる私を(ボクを)
あぁ、なんて現金な生き物なんだろう・と、誰か笑ってほしい。
しがない駄菓子屋の浦原商店も『まぁ売上なんてあってないようなもんっスからァ』と店主の一声で長期休暇になった。
かと言って、名無しの死神業は別段ゴールデンウィークだから休める訳でもなく、逆に忙しくなる訳でもなく。
『通常営業』という言葉がピッタリだ。
しかし店前の掃除や、店番がないとなればいつもより手が空くもので。
折角出来た時間だ。有効活用するべきだろう、と彼女が取りかかったことは……
「名無しサン、折角のんびりする時間出来たのに…」
「こういう時にしなくちゃ、いつするんですか」
庭の本格的な草むしりから始まり、駄菓子を陳列している什器の掃除。
普段中々できない掃除を日毎に分けて取り掛かる名無しを見て、感心するやら呆れるやら。
今日はどうやら浦原商店のワンボックスカーを洗車するらしい。
春に飛来してきた黄砂や花粉で汚れてしまい、お世辞も綺麗とは言えない車体にホースのシャワーヘッドを向ける名無し。
バケツに泡立てた洗車用のシャンプーに、拭き取り用のクロス。カーワックスまで用意しているあたり、几帳面さが垣間見れた。
「えー…どこかに遊びに行ったりとか」
「人混みになりますもん。どうせならのんびり出来る日にお出かけしたいです。」
まぁ浦原としては、ただ彼女とイチャイチャしたいだけなのだが。
しかし外出を提案したらご覧の有様だ。
確かに理には適っている。どこに出掛けるにしても、いつもの数倍の人混みを覚悟する必要があるだろう。
「そんなァ。身も蓋もないっスよぉ」
「まぁそうなんですけど。
…ほら。次の何でもない日の天気いい日に、ドライブでもしましょう?」
ふかふかのスポンジに泡をたっぷり纏わせて。
商業用のバンを『ぽん』と一撫でして、名無しがはにかんだように笑う。
つまるところ、これは。
次の、デートのお誘い。
「……そうと決まれば、トコトン綺麗にしましょっかぁ」
「あれ?浦原さんも手伝ってくれるんですか?」
「そりゃもう。」
商業用ワンボックスカーでドライブなんて、雰囲気も情緒もあったものではないが、彼女からしたら大した問題ではないらしい。
ちょっと乗り心地が悪い車のシートでも、なんてことない行き先でも、
あなたといる時間が一番の幸福
「浦原さん。海、見に行きたいです。」
「いいっスねぇ。お昼に海鮮丼とかどうっスか?」
そんな何気ない会話をするだけで満たされる私を(ボクを)
あぁ、なんて現金な生き物なんだろう・と、誰か笑ってほしい。