short story
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「浦原さん。こんな所で寝ていると風邪引きますよ?」
炬燵に入ったまま、まるで萎れた何かのように机にうつ伏している男が一人。
寝間着に着替えているところから察するに、大方『一休み』と炬燵に入った途端力尽きたのだろう。
それも仕方ない。今日の夕方まで商店の奥の研究室に缶詰状態だったのだから。
だからといって、風邪を引きそうなこの状況を放っておく程、名無しは冷徹でもなかった。
「んんん…あと5分…いや、10分だけ…っス…」
起きているのか起きていないのか。
曖昧な、それでいて子供じみた我儘を言い始める彼を見下ろし、名無しは小さく溜息をつく。
さて、どうしたものか。
無理矢理コタツから引き抜くのは、まぁ出来なくもない。
しかし成人男性――しかも細い割にはしっかりと筋肉の重さがある浦原を二階の寝室に連れていくのは至難の業だ。
鉄裁がいれば容易なのだろうが、生憎彼はもう寝床についてしまっていた。
となれば、浦原自身の足で布団に向かってもらわねばならない。
「駄目ですよ、お布団に入りましょう?」
「…………眠いっス…」
それは知っている。見ての通りだ。
こんな駄々を捏ねる姿を、彼の知人達が見ればなんて言うだろう。
はたまた、彼の偉業だけを知っている死神が見れば何を思うだろう。
…まぁ浦原のことをよく知っている親しい間柄の人が見れば『またか。』と呆れるのだろうが。
「…………今なら、」
考えあぐねた末、名無しがポソリと口を開く。
まだ辛うじて意識があるのなら、恐らく食いつくであろう条件を添えて。
「布団でちゃんと寝るなら、私という抱き枕付きですけど。」
究極の交換条件だ。
いや、こんな眠たいのなら夜伽はないだろうが、それでも自らこの提案をするのは些か恥ずかしい。
それが例え、付き合ってからしばらく経つ恋仲だったとしても、だ。
無言のままムクリと起き上がる浦原。
これ以上は、説明不要だろう。
ギフト・ミー
(あぁ、これに味をしめなければいいんだけど、)
浦原の匂いでいっぱいの布団の中で、しっかり両腕に抱きすくめられたまま。
おやすみ三秒で寝てしまった浦原の寝顔を眺めながら、名無しはぼんやりと思うのであった。
そんなまだ少し肌寒い、春も近づく深夜の一幕。
炬燵に入ったまま、まるで萎れた何かのように机にうつ伏している男が一人。
寝間着に着替えているところから察するに、大方『一休み』と炬燵に入った途端力尽きたのだろう。
それも仕方ない。今日の夕方まで商店の奥の研究室に缶詰状態だったのだから。
だからといって、風邪を引きそうなこの状況を放っておく程、名無しは冷徹でもなかった。
「んんん…あと5分…いや、10分だけ…っス…」
起きているのか起きていないのか。
曖昧な、それでいて子供じみた我儘を言い始める彼を見下ろし、名無しは小さく溜息をつく。
さて、どうしたものか。
無理矢理コタツから引き抜くのは、まぁ出来なくもない。
しかし成人男性――しかも細い割にはしっかりと筋肉の重さがある浦原を二階の寝室に連れていくのは至難の業だ。
鉄裁がいれば容易なのだろうが、生憎彼はもう寝床についてしまっていた。
となれば、浦原自身の足で布団に向かってもらわねばならない。
「駄目ですよ、お布団に入りましょう?」
「…………眠いっス…」
それは知っている。見ての通りだ。
こんな駄々を捏ねる姿を、彼の知人達が見ればなんて言うだろう。
はたまた、彼の偉業だけを知っている死神が見れば何を思うだろう。
…まぁ浦原のことをよく知っている親しい間柄の人が見れば『またか。』と呆れるのだろうが。
「…………今なら、」
考えあぐねた末、名無しがポソリと口を開く。
まだ辛うじて意識があるのなら、恐らく食いつくであろう条件を添えて。
「布団でちゃんと寝るなら、私という抱き枕付きですけど。」
究極の交換条件だ。
いや、こんな眠たいのなら夜伽はないだろうが、それでも自らこの提案をするのは些か恥ずかしい。
それが例え、付き合ってからしばらく経つ恋仲だったとしても、だ。
無言のままムクリと起き上がる浦原。
これ以上は、説明不要だろう。
ギフト・ミー
(あぁ、これに味をしめなければいいんだけど、)
浦原の匂いでいっぱいの布団の中で、しっかり両腕に抱きすくめられたまま。
おやすみ三秒で寝てしまった浦原の寝顔を眺めながら、名無しはぼんやりと思うのであった。
そんなまだ少し肌寒い、春も近づく深夜の一幕。