short story
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初詣で賑わう境内には、伝統的な尺八や和太鼓の音が厳かに鳴り響く。
賽銭を握り、列を成している鈴緒の前へ一歩一歩近づいた。
「名無しサン、なんでその金額なんっスか?」
握りしめているお賽銭をチラリと見遣った浦原が、なんとなしに訊ねてきた。
私が握っているのは、百円玉1枚・五円玉が3枚だ。
「良い御縁がありますように、の語呂合わせですよ。」
「十円じゃダメなんっスか?」
「十円玉は『縁遠い』と掛けられるので、あまりお賽銭向きではないそうです」
まぁただの語呂合わせだからどこまで信憑性があるのか疑問だが、踏まないが吉だろう。
昔祖父母に教えて貰った蘊蓄を話せば「なるほど、じゃあボクもそうしましょ」と言って、小銭入れから賽銭をそろりと変更した。
生粋の商売人だからか、そういう験担ぎはしっかりしている。彼らしいといえば彼らしい。
「というか『良い御縁』なら隣にいるじゃないっスかぁ」
「色恋沙汰以外でもご縁は大事でしょう?」
軽く肘で小突いてくる浦原を呆れた様子で見上げれば、それは少し情けないくらいに緩みきった表情で破顔する彼の笑顔。
……その笑顔は反則だと思います。
「お願いするのは『浦原さんとずっと仲良くいられますように』じゃないんっスか?」
「違いますよ。家内安全無病息災。勿論、お仕事も頑張れますように・です」
ピシャリと否定すれば「ちぇ、」と言いながらお賽銭を投げる浦原の横顔。
それに、
「神様にお願いするより、浦原さんに直談判した方がご利益ありそうですし。」
二礼二拍手一礼で手短に済ませ、呆気に取られている浦原の腕を軽く引く。
不意打ちを食らった顔は数秒で消え失せ、新年早々蕩けるような笑顔を綻ばせた。
「それもそうっスね。」
「そうでしょう?」
January magic
「名無しサン、今年もよろしくお願いしますっス」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
神様にお願いする必要なんて、きっとない。
誰より何より、貴方が一番なのだから。
賽銭を握り、列を成している鈴緒の前へ一歩一歩近づいた。
「名無しサン、なんでその金額なんっスか?」
握りしめているお賽銭をチラリと見遣った浦原が、なんとなしに訊ねてきた。
私が握っているのは、百円玉1枚・五円玉が3枚だ。
「良い御縁がありますように、の語呂合わせですよ。」
「十円じゃダメなんっスか?」
「十円玉は『縁遠い』と掛けられるので、あまりお賽銭向きではないそうです」
まぁただの語呂合わせだからどこまで信憑性があるのか疑問だが、踏まないが吉だろう。
昔祖父母に教えて貰った蘊蓄を話せば「なるほど、じゃあボクもそうしましょ」と言って、小銭入れから賽銭をそろりと変更した。
生粋の商売人だからか、そういう験担ぎはしっかりしている。彼らしいといえば彼らしい。
「というか『良い御縁』なら隣にいるじゃないっスかぁ」
「色恋沙汰以外でもご縁は大事でしょう?」
軽く肘で小突いてくる浦原を呆れた様子で見上げれば、それは少し情けないくらいに緩みきった表情で破顔する彼の笑顔。
……その笑顔は反則だと思います。
「お願いするのは『浦原さんとずっと仲良くいられますように』じゃないんっスか?」
「違いますよ。家内安全無病息災。勿論、お仕事も頑張れますように・です」
ピシャリと否定すれば「ちぇ、」と言いながらお賽銭を投げる浦原の横顔。
それに、
「神様にお願いするより、浦原さんに直談判した方がご利益ありそうですし。」
二礼二拍手一礼で手短に済ませ、呆気に取られている浦原の腕を軽く引く。
不意打ちを食らった顔は数秒で消え失せ、新年早々蕩けるような笑顔を綻ばせた。
「それもそうっスね。」
「そうでしょう?」
January magic
「名無しサン、今年もよろしくお願いしますっス」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
神様にお願いする必要なんて、きっとない。
誰より何より、貴方が一番なのだから。