short story
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はてさて、彼女はいつ気づくだろうか。
「浦原さん、おはようございます…」
寝入った名無しは、中々滅多なことでは起きない。
危機管理能力が足りない…のではなく、それは浦原が昨晩散々啼かせて弄んで可愛がったせいではあるのだが。
珍しく浦原の方が早く起き、腕の中でスヤスヤと寝息を立てている名無しを見て、ついつい…そう、『ついつい』出来心でつけてしまったのだ。
それはひとつ、ふたつ。
気がつけば肌蹴た胸元から鎖骨まで。はたまた服では絶対に隠れない首筋も。
(いやいや、柔らかくて甘くていい匂いする名無しサンの肌が悪いんっスよ)
可愛らしく身動ぎする寝姿を見れば、止まらなくなってしまった。
おかげで独占欲の痕が至る所についてしまったわけなのだが…さぁ大変。
マジマジと眺めていると愛しの彼女が目を覚ましてしまい、冒頭に戻る。
「おはようございます。まだ眠そうっスねぇ」
「…昨晩、何時に、寝ましたっけ…」
「三時くらいっスかね」
「そりゃ眠いですよ……」
散々貪ったのだから、彼女の抗議は尤もだろう。
今は朝の六時。つまり睡眠時間は大体三時間ほどだ。
眠いと訴えるのも当然の意見だ。
「たまには朝ごはん作るの、鉄裁サンにお願いしたらどうっスか?」
「……でも、」
「ボクから上手いこと言っておきますからぁ。ね?」
子供をあやすように腕の中へしまい込みトントンと背中を擦れば、徐々に重くなっていく薄い瞼。
柔らかそうな睫毛がうつらうつらと上がったり下がったりしている。
…もちろん、浦原の角度からは胸元に散った赤い痕もバッチリ見えているのだが。
「…じゃあ、今日だけ…」
「そうっスね。ゆっくり二度寝しちゃってください」
そう言って髪を何度か撫でれば、数分後には聞こえてくる穏やかな寝息。
子供のように無防備に、しかし身体つきはしっかり大人で。
先程浦原が刻んだ真っ赤な痕も昨晩散々味わった躰も、まだハッキリと味を覚えている。
幼い寝顔と、浦原の知っている事実のギャップに目眩を覚えた。
しかし、朝から崩れそうになる理性を辛うじて繋ぎ止める。
『ここで安眠妨害したら本当に嫌われそうだ』と正論を自分に言い聞かせて。
「…さて、どうやって誤魔化しますかねぇ」
大なり小なり咲いてしまった紅い花に目を落としながら、浦原は名無しを抱きしめたままそっと呟いた。
15.痕跡
(いっそ恥ずかしがる彼女を見るのも、また一興かもしれない)
「浦原さん、おはようございます…」
寝入った名無しは、中々滅多なことでは起きない。
危機管理能力が足りない…のではなく、それは浦原が昨晩散々啼かせて弄んで可愛がったせいではあるのだが。
珍しく浦原の方が早く起き、腕の中でスヤスヤと寝息を立てている名無しを見て、ついつい…そう、『ついつい』出来心でつけてしまったのだ。
それはひとつ、ふたつ。
気がつけば肌蹴た胸元から鎖骨まで。はたまた服では絶対に隠れない首筋も。
(いやいや、柔らかくて甘くていい匂いする名無しサンの肌が悪いんっスよ)
可愛らしく身動ぎする寝姿を見れば、止まらなくなってしまった。
おかげで独占欲の痕が至る所についてしまったわけなのだが…さぁ大変。
マジマジと眺めていると愛しの彼女が目を覚ましてしまい、冒頭に戻る。
「おはようございます。まだ眠そうっスねぇ」
「…昨晩、何時に、寝ましたっけ…」
「三時くらいっスかね」
「そりゃ眠いですよ……」
散々貪ったのだから、彼女の抗議は尤もだろう。
今は朝の六時。つまり睡眠時間は大体三時間ほどだ。
眠いと訴えるのも当然の意見だ。
「たまには朝ごはん作るの、鉄裁サンにお願いしたらどうっスか?」
「……でも、」
「ボクから上手いこと言っておきますからぁ。ね?」
子供をあやすように腕の中へしまい込みトントンと背中を擦れば、徐々に重くなっていく薄い瞼。
柔らかそうな睫毛がうつらうつらと上がったり下がったりしている。
…もちろん、浦原の角度からは胸元に散った赤い痕もバッチリ見えているのだが。
「…じゃあ、今日だけ…」
「そうっスね。ゆっくり二度寝しちゃってください」
そう言って髪を何度か撫でれば、数分後には聞こえてくる穏やかな寝息。
子供のように無防備に、しかし身体つきはしっかり大人で。
先程浦原が刻んだ真っ赤な痕も昨晩散々味わった躰も、まだハッキリと味を覚えている。
幼い寝顔と、浦原の知っている事実のギャップに目眩を覚えた。
しかし、朝から崩れそうになる理性を辛うじて繋ぎ止める。
『ここで安眠妨害したら本当に嫌われそうだ』と正論を自分に言い聞かせて。
「…さて、どうやって誤魔化しますかねぇ」
大なり小なり咲いてしまった紅い花に目を落としながら、浦原は名無しを抱きしめたままそっと呟いた。
15.痕跡
(いっそ恥ずかしがる彼女を見るのも、また一興かもしれない)