short story
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珍しい。
そうとう疲れが溜まっていたのだろうか、コタツにうつ伏せて浦原が眠っている。
いつもより少し伸びた無精髭に、暫く研究室で缶詰になっていたせいだろう。癖のある金髪は少しベタついていた。
(あぁ、もう。起きたら風呂に入ってもらわなくちゃ)
コタツの魔力に取り憑かれたのか、それとも一息つこうとしたのか。
足を入れた途端に力尽きたのだろう、黒い羽織を纏った背中はふくふくと丸くなっていた。
そうでなくとも普段から猫背気味の背中だ。
コタツに入ったまま机にうつ伏せて寝ている姿は、まさに『おつかれ』といった様相だった。
ふと、演技でもないが『過労死』という単語が脳裏に過ぎる名無し。
インテリを自称する割には、他の死神の追随を許さない鍛え方をしている浦原に限って、まさか過労死なんてことはないとは思うが…
「…………まさか死んでないよね?」
ノルディック柄の、冬らしい毛布を掛けようとして一瞬手が止まる。
いや、だってまさか。
数秒考えた後、そっと生存確認をしてみる。
丸まった背中にピタリと耳を当て、力強い鼓動に耳を傾けた。
今はゆるりと緩んでいる――それでもしっかりと厚みのある背筋越しに、生を刻む音が確かに聞こえてくる。
誰にも聞こえないくらいの小さな吐息でそっと息を吐く名無し。
まぁ浦原だって過労死するレベルで研究に没頭したりはしないだろう。…多分。
握ったままの毛布をそっと肩にかけて音もなく立ち上がる。
本当はコタツで寝るなんて風邪を引く原因…と分かっているのだけど、一時間程このままにしておいてあげよう。
「お疲れ様です、浦原さん。」
01.鼓動
名無しが台所へ向かった足音に耳を傾けたまま、浦原はうっすら目を開ける。
気づかないわけがない、起きないわけがない。身体へ染み付いてしまった気配に敏感になる習慣は、そうそうなくなるはずもないのだから。
寝てる間にキスしてくれるのか・はたまた優しく揺り起こされるのか。
浮上してきた意識の中でそっと期待に胸を踊らせていたら、まさかの鼓動確認。
羽織と作務衣越しの、僅かな重み。
無意識のうちに背中へ全神経を集中させてしまい、耳の柔らかな凹凸もリアルに感じた。
(背中に、耳を、押し当てるって、)
そんな生存確認の方法って。
いや多分ボクに対してだけだろう、そんなやり方をとるのは。
普通脈を測ったり、呼吸を確認するとか、もっとあるだろう。
非合理な方法なのに、ついドキドキしてしまった。
だって、まるでそれは、甘えてくるような仕草で、
(あーーー、本当にもう。名無しサン好き。)
寝たフリをしたポーカーフェイスの下で、悶絶する駄菓子屋店主が約一名。
そうとう疲れが溜まっていたのだろうか、コタツにうつ伏せて浦原が眠っている。
いつもより少し伸びた無精髭に、暫く研究室で缶詰になっていたせいだろう。癖のある金髪は少しベタついていた。
(あぁ、もう。起きたら風呂に入ってもらわなくちゃ)
コタツの魔力に取り憑かれたのか、それとも一息つこうとしたのか。
足を入れた途端に力尽きたのだろう、黒い羽織を纏った背中はふくふくと丸くなっていた。
そうでなくとも普段から猫背気味の背中だ。
コタツに入ったまま机にうつ伏せて寝ている姿は、まさに『おつかれ』といった様相だった。
ふと、演技でもないが『過労死』という単語が脳裏に過ぎる名無し。
インテリを自称する割には、他の死神の追随を許さない鍛え方をしている浦原に限って、まさか過労死なんてことはないとは思うが…
「…………まさか死んでないよね?」
ノルディック柄の、冬らしい毛布を掛けようとして一瞬手が止まる。
いや、だってまさか。
数秒考えた後、そっと生存確認をしてみる。
丸まった背中にピタリと耳を当て、力強い鼓動に耳を傾けた。
今はゆるりと緩んでいる――それでもしっかりと厚みのある背筋越しに、生を刻む音が確かに聞こえてくる。
誰にも聞こえないくらいの小さな吐息でそっと息を吐く名無し。
まぁ浦原だって過労死するレベルで研究に没頭したりはしないだろう。…多分。
握ったままの毛布をそっと肩にかけて音もなく立ち上がる。
本当はコタツで寝るなんて風邪を引く原因…と分かっているのだけど、一時間程このままにしておいてあげよう。
「お疲れ様です、浦原さん。」
01.鼓動
名無しが台所へ向かった足音に耳を傾けたまま、浦原はうっすら目を開ける。
気づかないわけがない、起きないわけがない。身体へ染み付いてしまった気配に敏感になる習慣は、そうそうなくなるはずもないのだから。
寝てる間にキスしてくれるのか・はたまた優しく揺り起こされるのか。
浮上してきた意識の中でそっと期待に胸を踊らせていたら、まさかの鼓動確認。
羽織と作務衣越しの、僅かな重み。
無意識のうちに背中へ全神経を集中させてしまい、耳の柔らかな凹凸もリアルに感じた。
(背中に、耳を、押し当てるって、)
そんな生存確認の方法って。
いや多分ボクに対してだけだろう、そんなやり方をとるのは。
普通脈を測ったり、呼吸を確認するとか、もっとあるだろう。
非合理な方法なのに、ついドキドキしてしまった。
だって、まるでそれは、甘えてくるような仕草で、
(あーーー、本当にもう。名無しサン好き。)
寝たフリをしたポーカーフェイスの下で、悶絶する駄菓子屋店主が約一名。