short story
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「名無しサン、構ってくださいっス」
「まずその手をのけて頂けません?」
スキンシップじゃなくてセクハラ
研究が行き詰まったのだろう。のっそりと穴蔵から出てくる熊のように、浦原が重い足取りで研究室内から出てきた。
洗濯物を畳んでいた私の背後に座り込み、後ろから思いきり抱きつかれた。…こっちは家事をしているのに、お構い無しだ。
ただ抱きついてくるだけなら、何も言わない。疲れているのだろうと大目に見よう。
しかしこの、太腿や胸のギリギリを触る手は如何なものかと。
そして冒頭の台詞に至る。
「くたびれたっス」
「お疲れ様です」
「だから癒しを求めに来ました」
「昨日作ったパンナコッタなら冷蔵庫に入ってますよ」
「甘いものより名無しサンがいいっス」
「じゃあこのスキンシップのように見せかけたセクハラをやめてください」
ぺし、と軽く手を叩くと、後ろからしょんぼりした空気を出される。
…セクハラしている自覚はあるらしい。
「………浦原さん。」
最後の一枚を畳み終わり肩越しに振り返れば、背中に凭れ掛かる浦原の金髪が見えた。
ぐてんと力ない姿を見る限り、これは結構重症かもしれない。
「…ほら、」
両手を広げれば、暗かった表情があからさまに明るくなる。
主人を見つけた大型犬のように、正面から思い切り抱きつかれた。というより、浦原の方が大きいので覆い被られた、と言った方が正しいかもしれない。
大きな背中に手を回して、よしよしと羽織越しに撫でれば、肩口に匂い付けするように顔を埋められる。無精髭が少し痛い。
「10分だけですよ。次は私、お風呂掃除するんですから」
「15分。」
「…10分。」
「えー…20分…」
増えてるじゃないですか。
そう言いかけた言葉をぐっと飲み込み、名無しは諦めたように息をひとつ吐いた。
つくづく我ながら呆れるが、本当にこの人に対して甘い気がする。
「まずその手をのけて頂けません?」
スキンシップじゃなくてセクハラ
研究が行き詰まったのだろう。のっそりと穴蔵から出てくる熊のように、浦原が重い足取りで研究室内から出てきた。
洗濯物を畳んでいた私の背後に座り込み、後ろから思いきり抱きつかれた。…こっちは家事をしているのに、お構い無しだ。
ただ抱きついてくるだけなら、何も言わない。疲れているのだろうと大目に見よう。
しかしこの、太腿や胸のギリギリを触る手は如何なものかと。
そして冒頭の台詞に至る。
「くたびれたっス」
「お疲れ様です」
「だから癒しを求めに来ました」
「昨日作ったパンナコッタなら冷蔵庫に入ってますよ」
「甘いものより名無しサンがいいっス」
「じゃあこのスキンシップのように見せかけたセクハラをやめてください」
ぺし、と軽く手を叩くと、後ろからしょんぼりした空気を出される。
…セクハラしている自覚はあるらしい。
「………浦原さん。」
最後の一枚を畳み終わり肩越しに振り返れば、背中に凭れ掛かる浦原の金髪が見えた。
ぐてんと力ない姿を見る限り、これは結構重症かもしれない。
「…ほら、」
両手を広げれば、暗かった表情があからさまに明るくなる。
主人を見つけた大型犬のように、正面から思い切り抱きつかれた。というより、浦原の方が大きいので覆い被られた、と言った方が正しいかもしれない。
大きな背中に手を回して、よしよしと羽織越しに撫でれば、肩口に匂い付けするように顔を埋められる。無精髭が少し痛い。
「10分だけですよ。次は私、お風呂掃除するんですから」
「15分。」
「…10分。」
「えー…20分…」
増えてるじゃないですか。
そう言いかけた言葉をぐっと飲み込み、名無しは諦めたように息をひとつ吐いた。
つくづく我ながら呆れるが、本当にこの人に対して甘い気がする。