short story
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「名無しサン、今日は何の日でしょーう?」
穏やかな昼下がり。
鉄裁は買い出しに、雨とジン太は学校だ。
昨日は某ポケットモン〇ターの、イーブイの日。明日は勤労感謝の日、祝日だ。
…何かあったか?まぁどうでもいいか。
「んー分かりません。」
「あ。今、考えるの面倒くさいって思いました?」
「そんなとこです。」
大抵、浦原が…こう胡散臭い、ご機嫌な笑顔の時はロクなことを考えていない。
経験上名無しはよく知っていた。
「ちょっとは考えて欲しいっス。」
「…いい猫の日、とか?」
「あーニャンニャンだからっスか。当たりっスけど、惜しい。」
…浦原の口から『ニャンニャン』という単語が出てくるとは。
惜しい・ということは、彼が望んでいた正解ではないのだろう。
「ほら、役所とか行ったり?記念日になっちゃったり?」
「確定申告ですか?」
「それはもう少し先っス」
考えるのが面倒になってきて、名無しは小さく溜息をつく。
みかんを剥くので忙しいのだ。家事の合間のこの時間くらいゆっくりさせて欲しい。
「正解は『いい夫婦の日』っス~」
「へー。」
「ちょっと名無しサン、反応!もうひと息欲しいっス!」
コタツに入っている名無しの周りを、構ってほしそうにしている時の犬のようにグルグル回る浦原。
反応、と言われても。
「だって私達はまだ夫婦じゃないですもん」
特に関係ない日だ。
あぁ。みかんが美味しい。
ひと房ひと房、筋を取って口へ放り込めば、甘酸っぱい柑橘味が口いっぱいに広がる。
やはりコタツにはみかんは欠かせない。
「浦原さんも食べますか…って、何変な顔してるんです?」
「いや。だって。名無しサン、プロポーズみたいなこと言うから」
彼の口元は完全に緩み切っている。
それを手で抑えているが、分かってしまう程にユルユルで、珍しく赤面していた。
…プロポーズ?なんのことだろう。
『だって私達はまだ夫婦じゃないですもん』
まだ。…まだ?
………………………………あ。
「う、うわ、わわわ!それは!言葉のあやというか!」
「えっ!言葉のあやだったんっスか!?」
頬に熱が集まるのが嫌でも分かる。
穏やかだった心拍数は一気に跳ね上がり、胸が苦しいくらいだ。
いや、あやじゃない。あやじゃないけど!
「う、ぐ…っ…違い、ます、けど、」
「ええー、詳しく聞きたいっス~」
コタツに入っている名無しの後ろから、抱き竦めるようにくっついてくる浦原。
背中と、彼の胸板越しに、この心臓の鼓動が伝わるのではないのかと、余計に頬が熱くなるのが嫌でも分かった。
「あーもー!言葉の、ままです!」
「むぐ、」
後ろからくっついてくる浦原の口にみかんをひと房入れてやれば、名無しの肩に顎を乗せて咀嚼し始める。
少し伸びた無精髭が少し擽ったい。今日はちゃんと剃ってもらおう。
1122の日!
(…ところでいい猫の日が惜しい、って…どういうことだろう?)
その答えは、11月22日の夜。
私は身をもって知ることになるのは――また別の話。
穏やかな昼下がり。
鉄裁は買い出しに、雨とジン太は学校だ。
昨日は某ポケットモン〇ターの、イーブイの日。明日は勤労感謝の日、祝日だ。
…何かあったか?まぁどうでもいいか。
「んー分かりません。」
「あ。今、考えるの面倒くさいって思いました?」
「そんなとこです。」
大抵、浦原が…こう胡散臭い、ご機嫌な笑顔の時はロクなことを考えていない。
経験上名無しはよく知っていた。
「ちょっとは考えて欲しいっス。」
「…いい猫の日、とか?」
「あーニャンニャンだからっスか。当たりっスけど、惜しい。」
…浦原の口から『ニャンニャン』という単語が出てくるとは。
惜しい・ということは、彼が望んでいた正解ではないのだろう。
「ほら、役所とか行ったり?記念日になっちゃったり?」
「確定申告ですか?」
「それはもう少し先っス」
考えるのが面倒になってきて、名無しは小さく溜息をつく。
みかんを剥くので忙しいのだ。家事の合間のこの時間くらいゆっくりさせて欲しい。
「正解は『いい夫婦の日』っス~」
「へー。」
「ちょっと名無しサン、反応!もうひと息欲しいっス!」
コタツに入っている名無しの周りを、構ってほしそうにしている時の犬のようにグルグル回る浦原。
反応、と言われても。
「だって私達はまだ夫婦じゃないですもん」
特に関係ない日だ。
あぁ。みかんが美味しい。
ひと房ひと房、筋を取って口へ放り込めば、甘酸っぱい柑橘味が口いっぱいに広がる。
やはりコタツにはみかんは欠かせない。
「浦原さんも食べますか…って、何変な顔してるんです?」
「いや。だって。名無しサン、プロポーズみたいなこと言うから」
彼の口元は完全に緩み切っている。
それを手で抑えているが、分かってしまう程にユルユルで、珍しく赤面していた。
…プロポーズ?なんのことだろう。
『だって私達はまだ夫婦じゃないですもん』
まだ。…まだ?
………………………………あ。
「う、うわ、わわわ!それは!言葉のあやというか!」
「えっ!言葉のあやだったんっスか!?」
頬に熱が集まるのが嫌でも分かる。
穏やかだった心拍数は一気に跳ね上がり、胸が苦しいくらいだ。
いや、あやじゃない。あやじゃないけど!
「う、ぐ…っ…違い、ます、けど、」
「ええー、詳しく聞きたいっス~」
コタツに入っている名無しの後ろから、抱き竦めるようにくっついてくる浦原。
背中と、彼の胸板越しに、この心臓の鼓動が伝わるのではないのかと、余計に頬が熱くなるのが嫌でも分かった。
「あーもー!言葉の、ままです!」
「むぐ、」
後ろからくっついてくる浦原の口にみかんをひと房入れてやれば、名無しの肩に顎を乗せて咀嚼し始める。
少し伸びた無精髭が少し擽ったい。今日はちゃんと剃ってもらおう。
1122の日!
(…ところでいい猫の日が惜しい、って…どういうことだろう?)
その答えは、11月22日の夜。
私は身をもって知ることになるのは――また別の話。