short story
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「浦原さん、まつ毛ついてますよ」
彼の頬骨辺りについた長い睫毛を指でそっと払えば、私は少し目を見開いた。
「わ。浦原さん、頬すっごいひんやりしてる」
「そうっスか?」
「はい。」
手の甲で頬に当てればひやりとした冷たさに、ほうと息をついてしまった。
「そんなに低体温でしたっけ?」
「高くはないっスね。名無しサン、お子様体温ですもんねぇ」
「冬は重宝するでしょう?」
ぬるくなってきた頬から手を離し、浦原の腕をそっと掴む。
薄い皮膚の下には、立派な筋肉がついた腕。
普段も七分袖の作務衣だからか、あまり日に焼けてない白い肌が尚一層冷ややかに感じさせた。
「あぁぁ〜ひんやりする…いいなぁ、この腕ください…」
「なんだか猟奇的な響きっスね」
確かに。
それこそ斬魄刀をもつようになってしまったから、さっきの発言はシャレにならない。
「お腹周りとか冷たいんですか?」
「どうでしょうねぇ。触ってみます?」
冗談っぽく笑う浦原を尻目に、遠慮なく作務衣の裾から手を入れる。
「ちょ、名無しサン?」と声をかけられるが、無視しておこう。
今はそんなことより涼が欲しい。
「はぁ〜…ひんやりする…」
「あの、名無しサン。」
「なんですか」
「胸、当たってますけど、誘ってるんっスか?」
「…………」
横から浦原の腹回りに抱きつけば、必然的にタックル、もとい抱きつくような格好になる。
いくら彼が細身とはいえ、腹部の冷やかな体温を堪能するには腕を回す必要があった。
だからといって、
「誘ってません。」
「ええ〜」
不満そうな声をあげている割には表情は緩みきっている。
彼のこんな風に緩みきった笑顔ばかり最近見ている気がする。
いや、昔のようにどこか張り詰めた雰囲気よりはよっぽどいいのだけれど。
ひんやりした体温を楽しんでいたが、妙な気を起こされるのも癪だ。
そっと腕を解こうとしたら彼の大きな手で腕を掴まれた。
「なんですか?」
「もう少しこのままでもいいじゃないっスかぁ。ほら、名無しサンから抱きついてきてくれるなんて滅多にないんっスもん」
これでも嬉しいんっスよ。
そう言いながら今度はすっぽりと腕の中に抱き抱えられた。
彼の作務衣と襟から覗く胸板で視界がいっぱいに埋め尽くされる。
同じ洗濯洗剤と柔軟剤を使っているのに、鼻腔を擽る香りは間違いなく『浦原の匂い』だった。
「もう、浦原さん暑いです。」
「その分、ボクで涼めばいいじゃないっスかぁ」
そうは言うものの服の中に入れている手に触れる体温は、私が温めてしまったせいか人肌らしい温度になりつつある。
正直、もう涼しくもないしひんやりもしていない。むしろ暑い。
けれど背中にしっかりと回された腕を振り払う気にもなれず、私は黙って彼の胸板に顔を埋めた。
低体温シンドローム
夏は、冷やかな彼の体温が恋しくなる。
彼の頬骨辺りについた長い睫毛を指でそっと払えば、私は少し目を見開いた。
「わ。浦原さん、頬すっごいひんやりしてる」
「そうっスか?」
「はい。」
手の甲で頬に当てればひやりとした冷たさに、ほうと息をついてしまった。
「そんなに低体温でしたっけ?」
「高くはないっスね。名無しサン、お子様体温ですもんねぇ」
「冬は重宝するでしょう?」
ぬるくなってきた頬から手を離し、浦原の腕をそっと掴む。
薄い皮膚の下には、立派な筋肉がついた腕。
普段も七分袖の作務衣だからか、あまり日に焼けてない白い肌が尚一層冷ややかに感じさせた。
「あぁぁ〜ひんやりする…いいなぁ、この腕ください…」
「なんだか猟奇的な響きっスね」
確かに。
それこそ斬魄刀をもつようになってしまったから、さっきの発言はシャレにならない。
「お腹周りとか冷たいんですか?」
「どうでしょうねぇ。触ってみます?」
冗談っぽく笑う浦原を尻目に、遠慮なく作務衣の裾から手を入れる。
「ちょ、名無しサン?」と声をかけられるが、無視しておこう。
今はそんなことより涼が欲しい。
「はぁ〜…ひんやりする…」
「あの、名無しサン。」
「なんですか」
「胸、当たってますけど、誘ってるんっスか?」
「…………」
横から浦原の腹回りに抱きつけば、必然的にタックル、もとい抱きつくような格好になる。
いくら彼が細身とはいえ、腹部の冷やかな体温を堪能するには腕を回す必要があった。
だからといって、
「誘ってません。」
「ええ〜」
不満そうな声をあげている割には表情は緩みきっている。
彼のこんな風に緩みきった笑顔ばかり最近見ている気がする。
いや、昔のようにどこか張り詰めた雰囲気よりはよっぽどいいのだけれど。
ひんやりした体温を楽しんでいたが、妙な気を起こされるのも癪だ。
そっと腕を解こうとしたら彼の大きな手で腕を掴まれた。
「なんですか?」
「もう少しこのままでもいいじゃないっスかぁ。ほら、名無しサンから抱きついてきてくれるなんて滅多にないんっスもん」
これでも嬉しいんっスよ。
そう言いながら今度はすっぽりと腕の中に抱き抱えられた。
彼の作務衣と襟から覗く胸板で視界がいっぱいに埋め尽くされる。
同じ洗濯洗剤と柔軟剤を使っているのに、鼻腔を擽る香りは間違いなく『浦原の匂い』だった。
「もう、浦原さん暑いです。」
「その分、ボクで涼めばいいじゃないっスかぁ」
そうは言うものの服の中に入れている手に触れる体温は、私が温めてしまったせいか人肌らしい温度になりつつある。
正直、もう涼しくもないしひんやりもしていない。むしろ暑い。
けれど背中にしっかりと回された腕を振り払う気にもなれず、私は黙って彼の胸板に顔を埋めた。
低体温シンドローム
夏は、冷やかな彼の体温が恋しくなる。