うさ耳パニック!(中編)
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十二番隊への定期連絡。
月に二度ほど、現世での魂葬や虚退治の報告をするのが名無しの現世に常駐する条件だ。
いつも通り報告した後、マユリと少し話し、他の隊の人達とも顔を合わせば話をし、いつも通り現世へのんびりとした足取りで帰った。
その日は鉄裁が食事を作ってくれているので、彼の手料理に舌づつみを打ちながら、浦原達に尸魂界の様子を報告した。
風呂に入って、本を読んで、布団で微睡むように寝た。
そう、いつも通り一日を終えたはずだった。
次の日、悲劇は起こった。
「なっ、なな…っ」
思わず叫びたくなる声を手で抑え、目を白黒させる。
洗面台の前に立ってワナワナと震える名無しは、顔面蒼白だ。
「いかがなされた、名無し殿……、…名無し殿?」
同じく早起き組の鉄裁も思わずフリーズする。
理由は簡単。彼女の頭から、立派なウサミミが生えていたからだ。
うさ耳パニック!#01
「……何ですかね、コレ」
「耳、ですな」
「待って、東京ディズ●ーリゾートじゃないのよ?みんな大好き空座町…こんなハッピーイースター的なカチューシャ…」
グイッ
「いてててて!うっそ、本物」
「先程からピクピク動いておられるぞ」
「斬ったら痛いと思います?」
「でしょうな」
鉄裁から冷静な判断を下された。やっぱりそうか。
とりあえず、羽織っていたパーカーのフードをかぶる。
…少しモコモコしている気がするが、耳は隠れた。よし。
「これ浦原さんが義骸にイタズラしている可能性は」
「無きにしも非ず、ですな」
「…あ。でも昨日…マユリさんから珍しくお茶も出されたし…平子さんから怪しい色の飴も貰ったんですよね」
「どれも怪しさ満点ですな」
「そうなんですよ。一概に浦原さん疑うのも…いや、でもこれを見てあの人絶対触ってくるだろうし」
何にせよ、見せるのは得策じゃなさそうだ。
今日はフードを被って過ごすことにしよう。
「愛らしいですぞ」
「私もね、雨ちゃんとかに生えてるなら同じ感想を持ったでしょうけど。
性的に危険な男が近くにいるのでそうも言っていられないんですよ。仮に危なくなかったとしても、新しい玩具見つけた顔するでしょうね」
「それは間違いありませんな」
鉄裁の全面同意を即答で得られてしまった。
「なるべく協力いたしましょう」
「ありがとうございます…」
尻の方にも違和感があるが、もう放っておこう。気にしたら負けだ。
***
「ふぁ…おはよぉございます…」
浦原が眠たい目を擦りながら居間に現れる。
いつもは大抵名無しが起こすが、なるべくバレるリスクを減らすためだ。今日はジン太に起こしてもらった。
「おはようございます。浦原さん、ご飯よそってるので食べちゃってください」
彼が来る前に食卓に食事を用意しておいた。
なるべく接触を減らすためだ、我ながら完璧の作戦。
「んー…名無しサン、充電。」
後ろから不意に抱きつかれる。
思わず大きく肩が跳ねた。ついでにうさ耳もフードの下で跳ねた。
「なっ、なな…っ」
「?…今日、なんでパーカーのフード、被ってるんっス?」
「ね……寝癖!寝癖が凄かったんです!後で髪を直そうかと思って!」
「あー…髪細いと大変っスねぇ…」
いつまで抱きついているつもりだろう。
肩に顎を乗せるのをやめて欲しい。近い。恥ずかしい。何より、危険だ。
「さ…冷めちゃいますよ。ご飯。」
「んー…頂きます、っス」
明け方まで研究室に篭っていたらしく、とても眠そうだ。おかげでバレなかった。本当に危ない。
鉄裁と目を合わせて、手で小さく二人でセーフ、とジェスチャーする。
「…あの、浦原さん」
「なんっスかぁ?」
「私に何か、謝らなければいけないこと、ありません?」
名無し殿、それはストレートすぎでは!
そんな鉄裁の心の声が聞こえてきた気がする。
いや、何事も直球が一番早い。
一番疑わしき人物は、目の前のマッドサイエンティストその1なのだ。
「んんー…名無しサンの寝顔を伝令神機の待受にしてることとか?」
「は?いつの間にしたんですか」
「この間、コタツで寝てた時っス」
言いたいことは山程あるが、とりあえずぐっと言葉を飲み込む。
この男が犯人だったとして、そう簡単に白状しないだろう。
伝令神機の音が台所に鳴り響く。
朝から虚だ。本当にご苦労なことだ。
「ちょっと行ってきます」
いそいそと自室にわざわざ戻る。
義骸を抜け出せば、義骸にはウサギの耳は生えていなかった。
つまり。
「死神のこの姿にうさ耳って、情けなさすぎる」
部屋でひとり嘆いた。
なんだ、この情けない姿は。
いや、でも今は急ぐ時だ。浦原に見つかる前に外へ出なければ。
抜け殻になった義骸をそっと布団に横たわらせ、名無しは虚退治に出かけて行った。
…うさ耳を生やしたまま。
月に二度ほど、現世での魂葬や虚退治の報告をするのが名無しの現世に常駐する条件だ。
いつも通り報告した後、マユリと少し話し、他の隊の人達とも顔を合わせば話をし、いつも通り現世へのんびりとした足取りで帰った。
その日は鉄裁が食事を作ってくれているので、彼の手料理に舌づつみを打ちながら、浦原達に尸魂界の様子を報告した。
風呂に入って、本を読んで、布団で微睡むように寝た。
そう、いつも通り一日を終えたはずだった。
次の日、悲劇は起こった。
「なっ、なな…っ」
思わず叫びたくなる声を手で抑え、目を白黒させる。
洗面台の前に立ってワナワナと震える名無しは、顔面蒼白だ。
「いかがなされた、名無し殿……、…名無し殿?」
同じく早起き組の鉄裁も思わずフリーズする。
理由は簡単。彼女の頭から、立派なウサミミが生えていたからだ。
うさ耳パニック!#01
「……何ですかね、コレ」
「耳、ですな」
「待って、東京ディズ●ーリゾートじゃないのよ?みんな大好き空座町…こんなハッピーイースター的なカチューシャ…」
グイッ
「いてててて!うっそ、本物」
「先程からピクピク動いておられるぞ」
「斬ったら痛いと思います?」
「でしょうな」
鉄裁から冷静な判断を下された。やっぱりそうか。
とりあえず、羽織っていたパーカーのフードをかぶる。
…少しモコモコしている気がするが、耳は隠れた。よし。
「これ浦原さんが義骸にイタズラしている可能性は」
「無きにしも非ず、ですな」
「…あ。でも昨日…マユリさんから珍しくお茶も出されたし…平子さんから怪しい色の飴も貰ったんですよね」
「どれも怪しさ満点ですな」
「そうなんですよ。一概に浦原さん疑うのも…いや、でもこれを見てあの人絶対触ってくるだろうし」
何にせよ、見せるのは得策じゃなさそうだ。
今日はフードを被って過ごすことにしよう。
「愛らしいですぞ」
「私もね、雨ちゃんとかに生えてるなら同じ感想を持ったでしょうけど。
性的に危険な男が近くにいるのでそうも言っていられないんですよ。仮に危なくなかったとしても、新しい玩具見つけた顔するでしょうね」
「それは間違いありませんな」
鉄裁の全面同意を即答で得られてしまった。
「なるべく協力いたしましょう」
「ありがとうございます…」
尻の方にも違和感があるが、もう放っておこう。気にしたら負けだ。
***
「ふぁ…おはよぉございます…」
浦原が眠たい目を擦りながら居間に現れる。
いつもは大抵名無しが起こすが、なるべくバレるリスクを減らすためだ。今日はジン太に起こしてもらった。
「おはようございます。浦原さん、ご飯よそってるので食べちゃってください」
彼が来る前に食卓に食事を用意しておいた。
なるべく接触を減らすためだ、我ながら完璧の作戦。
「んー…名無しサン、充電。」
後ろから不意に抱きつかれる。
思わず大きく肩が跳ねた。ついでにうさ耳もフードの下で跳ねた。
「なっ、なな…っ」
「?…今日、なんでパーカーのフード、被ってるんっス?」
「ね……寝癖!寝癖が凄かったんです!後で髪を直そうかと思って!」
「あー…髪細いと大変っスねぇ…」
いつまで抱きついているつもりだろう。
肩に顎を乗せるのをやめて欲しい。近い。恥ずかしい。何より、危険だ。
「さ…冷めちゃいますよ。ご飯。」
「んー…頂きます、っス」
明け方まで研究室に篭っていたらしく、とても眠そうだ。おかげでバレなかった。本当に危ない。
鉄裁と目を合わせて、手で小さく二人でセーフ、とジェスチャーする。
「…あの、浦原さん」
「なんっスかぁ?」
「私に何か、謝らなければいけないこと、ありません?」
名無し殿、それはストレートすぎでは!
そんな鉄裁の心の声が聞こえてきた気がする。
いや、何事も直球が一番早い。
一番疑わしき人物は、目の前のマッドサイエンティストその1なのだ。
「んんー…名無しサンの寝顔を伝令神機の待受にしてることとか?」
「は?いつの間にしたんですか」
「この間、コタツで寝てた時っス」
言いたいことは山程あるが、とりあえずぐっと言葉を飲み込む。
この男が犯人だったとして、そう簡単に白状しないだろう。
伝令神機の音が台所に鳴り響く。
朝から虚だ。本当にご苦労なことだ。
「ちょっと行ってきます」
いそいそと自室にわざわざ戻る。
義骸を抜け出せば、義骸にはウサギの耳は生えていなかった。
つまり。
「死神のこの姿にうさ耳って、情けなさすぎる」
部屋でひとり嘆いた。
なんだ、この情けない姿は。
いや、でも今は急ぐ時だ。浦原に見つかる前に外へ出なければ。
抜け殻になった義骸をそっと布団に横たわらせ、名無しは虚退治に出かけて行った。
…うさ耳を生やしたまま。