short story
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
街を歩けば振り返らない人はいない。
アイスブルーの瞳に、時折見せる人懐こい笑顔。
サラリと柔らかい猫毛のような銀髪は、四季折々の景色の中でも一際映える眩さだ。
06.視線
(あ、ほら。)
女の子二人がダンテを指さしながらはしゃいでいる。
凄くわかる。共感すら覚える。
けど、
(なんだかなぁ)
日本人の自分から見れば、街を行き交う欧米女性はみんな美人に見えて仕方がない。
だから時折思ってしまうのだ。
釣り合っていないのではないのか・と。
(そんなことを言ってもダンテさんを困らせるだけだしなぁ)
なんて子供じみた嫉妬だろうか。
なんだかそれが無性に恥ずかしくて、アイスクリーム屋さんの前で無邪気にアイスを選んでいるダンテの後ろで小さく息をついた。
「名無し。」
指先で軽く手招きされ、ショーケースの前まで案内されれば、
「わ、わっ!」
「何にされますか?お嬢様・ってな」
アイスのショーケースとダンテに挟まれ、私の頭上に影が落ちる。
とどのつまり私の背後からダンテが覆いかぶさっているような形になる・と言えばいいのだろうか。
私を何かから隠すような格好に、思わず目を白黒させてしまった。
「あの、ダンテさん?」
「何だよ」
「ち、近い、です」
涼しい季節柄だから別に暑いというわけではない。
ただ、頬が熱い。
嬉しい・恥ずかしい・照れくさいと三拍子が見事に揃い、頬に呆気なく血が上ってしまう始末だ。
「仕方ないだろ、お前の近くを通る野郎共がチラチラチラチラと名無しを見てるんだからよ」
「へ。」
それはアジア人が珍しいからでは。
言いかけた言葉。
それはダンテの「どいつもこいつも可愛い可愛いって、んなことは一番俺が知ってるんだよ」とボヤきに近い文句に掻き消された。
「あ、あの」
「ん?」
「……もしかして、嫉妬ですか?」
自意識過剰だったらどうしよう・と一抹の不安を抱えながらやんわり問えば、「そりゃそうだろ」と然もありなん、といった様子で返された。
「わ、私も、」
「ん?」
「…さっきからダンテさんを見た女の子達がはしゃいでて、ちょっとモヤモヤしてました…」
「すみません」と小さく頭を下げながら白状すれば、それはもう満面の笑みを浮かべるダンテ。
「名無しも嫉妬したりするんだな」
「ダンテさんがカッコイイのが悪いんですよ、もう。」
「俺がイケメンなのは生まれついてからだから仕方ないとして、」
仕方ないのか。
「おっちゃん、悪いけどやっぱりアイスクリームは持ち帰りで。」
「あれ?そこのベンチで食べるんじゃ、」
「気になるんだろ?外野が。ならのんびり家で食べようぜ」
上機嫌でダンテがバラエティパックに入れるアイスを次々と選んでいく。
思いついたかのように気まぐれで選んでいく横顔は、悪魔を狩っている時よりも随分無邪気だ。
(あぁもう、本当にかなわないなぁ)
意外と気遣い上手な恋人を無遠慮に見上げて「ちゃんとバニラアイスも選んでくださいね」と私はささやかなリクエストをそっと添えた。
アイスブルーの瞳に、時折見せる人懐こい笑顔。
サラリと柔らかい猫毛のような銀髪は、四季折々の景色の中でも一際映える眩さだ。
06.視線
(あ、ほら。)
女の子二人がダンテを指さしながらはしゃいでいる。
凄くわかる。共感すら覚える。
けど、
(なんだかなぁ)
日本人の自分から見れば、街を行き交う欧米女性はみんな美人に見えて仕方がない。
だから時折思ってしまうのだ。
釣り合っていないのではないのか・と。
(そんなことを言ってもダンテさんを困らせるだけだしなぁ)
なんて子供じみた嫉妬だろうか。
なんだかそれが無性に恥ずかしくて、アイスクリーム屋さんの前で無邪気にアイスを選んでいるダンテの後ろで小さく息をついた。
「名無し。」
指先で軽く手招きされ、ショーケースの前まで案内されれば、
「わ、わっ!」
「何にされますか?お嬢様・ってな」
アイスのショーケースとダンテに挟まれ、私の頭上に影が落ちる。
とどのつまり私の背後からダンテが覆いかぶさっているような形になる・と言えばいいのだろうか。
私を何かから隠すような格好に、思わず目を白黒させてしまった。
「あの、ダンテさん?」
「何だよ」
「ち、近い、です」
涼しい季節柄だから別に暑いというわけではない。
ただ、頬が熱い。
嬉しい・恥ずかしい・照れくさいと三拍子が見事に揃い、頬に呆気なく血が上ってしまう始末だ。
「仕方ないだろ、お前の近くを通る野郎共がチラチラチラチラと名無しを見てるんだからよ」
「へ。」
それはアジア人が珍しいからでは。
言いかけた言葉。
それはダンテの「どいつもこいつも可愛い可愛いって、んなことは一番俺が知ってるんだよ」とボヤきに近い文句に掻き消された。
「あ、あの」
「ん?」
「……もしかして、嫉妬ですか?」
自意識過剰だったらどうしよう・と一抹の不安を抱えながらやんわり問えば、「そりゃそうだろ」と然もありなん、といった様子で返された。
「わ、私も、」
「ん?」
「…さっきからダンテさんを見た女の子達がはしゃいでて、ちょっとモヤモヤしてました…」
「すみません」と小さく頭を下げながら白状すれば、それはもう満面の笑みを浮かべるダンテ。
「名無しも嫉妬したりするんだな」
「ダンテさんがカッコイイのが悪いんですよ、もう。」
「俺がイケメンなのは生まれついてからだから仕方ないとして、」
仕方ないのか。
「おっちゃん、悪いけどやっぱりアイスクリームは持ち帰りで。」
「あれ?そこのベンチで食べるんじゃ、」
「気になるんだろ?外野が。ならのんびり家で食べようぜ」
上機嫌でダンテがバラエティパックに入れるアイスを次々と選んでいく。
思いついたかのように気まぐれで選んでいく横顔は、悪魔を狩っている時よりも随分無邪気だ。
(あぁもう、本当にかなわないなぁ)
意外と気遣い上手な恋人を無遠慮に見上げて「ちゃんとバニラアイスも選んでくださいね」と私はささやかなリクエストをそっと添えた。
10/11ページ