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貴方が教えてくれる世界は、
どんな宝石よりもキラキラしてるんだ。
spectrum#05
そわそわ。そわそわ。あぁ、落ち着かない。
お昼ご飯として買ったホットドッグを公園のベンチに座って食べる。
公園といっても日本のような公園ではなく、芝生が敷かれた大きな広場のような感じだった。
遊具なども殆どなく、駆け回る子供たちはサッカー、大人は公園の外周をランニングしたりしていた。
そんなところでお昼を食べているから落ち着かない、というわけではなかった。
『どうせだからもらった服、着て出かけるか』
ダンテが放ったその一言が事の始まり。
レディから貰った服は古着とは思えないほど綺麗に使われていた。
『じゃあこれ、』と名無しが選んだドルマンシャツ。『じゃあ下はこれだな』と言い、ダンテが上機嫌で選んだボトムスは。
(足がスースーする、)
ホットパンツから伸びた足。
季節は初夏だから、別に寒いというわけではなく、むしろ季節柄によくあっていると思う。
ただこんな短いズボンを履くのが初めてだった。
ダンテは「やっぱ足りねぇからポテトも買ってくる」と先ほど立ち寄ったホットドッグ屋に行ってしまい、今はひとりだ。
木陰になっているベンチは薄暗く涼しい。
少し汗ばんだ前髪を耳にかければ、額にひんやりとした風が当たって心地よかった。
「Hi!How's it going?」
ネイティブの、早口でまくし立てられる英語。
ダンテより少し低い男の声が上から降ってくる。
公園のランナーだろうか。スポーティーな格好をした金髪ブロンドが眩しい青年だった。
突然声をかけられ、ネイティブイングリッシュを上手いこと聞き取れなくて、つい言葉に詰まってしまった。
「I can hardly believe we just met.」
…どうしよう、意味が分からない。
「えっ、と」
「Hey,I'm back,baby」
頬にヒヤリとした感触。
その冷たさに飛び上がるように驚き、後ろを振り返るとキンキンに冷えたコークを片手にダンテがベンチの後ろに立っていた。
声をかけてきた青年は苦笑いした後、軽く手を振って公園の外周へ消えていった。
「何ナンパされてんだ?」
「へ、今のナンパだったんですか?」
早口で捲し立てられた英語が聞き取れなかった、とダンテに言えば「そりゃそうだろ」と笑った。
「俺は結構ゆっくり喋ってるからな」
「…早く聞き取れるように、頑張ります」
気を遣わせてしまっていたのか。早く慣れるように頑張らねば。
「…It was a mistake to choose that hotpants」
「へ?」
ボソリと言われた、早口の英語。
知っている単語ばかりだが、つい油断していた。スラスラと流暢な言葉は聞き取れなかった。
「ほら、頑張るんだろ?聞き取れなかったのか?」
「え、えぇ!ズルいですよ、今のは」
いや、分からなかったらそれでいい。と言って、ベンチに座るダンテ。
ペプシコーラを開ければ、プルタブから炭酸の泡が噴き出した。
「うおっ」
「わあっ、大丈夫ですか?!」
ホットドッグを頼んだ時についていた紙ナプキンで拭きとれば、気まずそうにダンテがそっぽを向いた。
「あーさっき走ったからか…」
「走った?」
「今のは聞き取れたか」
「それくらいは聞き取れますよ」
抗議すれば「悪い悪い」と謝られ、髪をくしゃりと撫でられた。
「知らない男に話しかけられて困ってたら、慌てて戻ってくるに決まってるだろ?」
「あ…」
そういうことか。
この国では当たり前なのかもしれないが、こんな丁重な扱いをされ、なんだかむず痒くなった。
嬉しいような、こそばゆいような。けれど、いやな感じではなかった。
「ありがとう、ございます」
自然と頬が熱くなる。別に、気温が暑いわけではないのに。
なんだか恥ずかしくなって、隠すように耳にかけていた前髪をそっと元に戻した。
「あ。耳にかけてた方が似合ってんのに」
そう言ってダンテの指が帳のように落ちた前髪をとらえて、耳に触れる。
開けた視界に入るのは、アイスブルーの目。
近すぎる視線が恥ずかしくて爆発してしまいそうだった。
「ダンテ、さん、近いです…っ」
「お前すぐ赤くなるから面白くてな」
間違いない、からかわれている。
顔の火照りが冷めやらぬまま、むっとむくれると「怒んなよ」と頬をつつかれた。誰のせいだと。
どんな宝石よりもキラキラしてるんだ。
spectrum#05
そわそわ。そわそわ。あぁ、落ち着かない。
お昼ご飯として買ったホットドッグを公園のベンチに座って食べる。
公園といっても日本のような公園ではなく、芝生が敷かれた大きな広場のような感じだった。
遊具なども殆どなく、駆け回る子供たちはサッカー、大人は公園の外周をランニングしたりしていた。
そんなところでお昼を食べているから落ち着かない、というわけではなかった。
『どうせだからもらった服、着て出かけるか』
ダンテが放ったその一言が事の始まり。
レディから貰った服は古着とは思えないほど綺麗に使われていた。
『じゃあこれ、』と名無しが選んだドルマンシャツ。『じゃあ下はこれだな』と言い、ダンテが上機嫌で選んだボトムスは。
(足がスースーする、)
ホットパンツから伸びた足。
季節は初夏だから、別に寒いというわけではなく、むしろ季節柄によくあっていると思う。
ただこんな短いズボンを履くのが初めてだった。
ダンテは「やっぱ足りねぇからポテトも買ってくる」と先ほど立ち寄ったホットドッグ屋に行ってしまい、今はひとりだ。
木陰になっているベンチは薄暗く涼しい。
少し汗ばんだ前髪を耳にかければ、額にひんやりとした風が当たって心地よかった。
「Hi!How's it going?」
ネイティブの、早口でまくし立てられる英語。
ダンテより少し低い男の声が上から降ってくる。
公園のランナーだろうか。スポーティーな格好をした金髪ブロンドが眩しい青年だった。
突然声をかけられ、ネイティブイングリッシュを上手いこと聞き取れなくて、つい言葉に詰まってしまった。
「I can hardly believe we just met.」
…どうしよう、意味が分からない。
「えっ、と」
「Hey,I'm back,baby」
頬にヒヤリとした感触。
その冷たさに飛び上がるように驚き、後ろを振り返るとキンキンに冷えたコークを片手にダンテがベンチの後ろに立っていた。
声をかけてきた青年は苦笑いした後、軽く手を振って公園の外周へ消えていった。
「何ナンパされてんだ?」
「へ、今のナンパだったんですか?」
早口で捲し立てられた英語が聞き取れなかった、とダンテに言えば「そりゃそうだろ」と笑った。
「俺は結構ゆっくり喋ってるからな」
「…早く聞き取れるように、頑張ります」
気を遣わせてしまっていたのか。早く慣れるように頑張らねば。
「…It was a mistake to choose that hotpants」
「へ?」
ボソリと言われた、早口の英語。
知っている単語ばかりだが、つい油断していた。スラスラと流暢な言葉は聞き取れなかった。
「ほら、頑張るんだろ?聞き取れなかったのか?」
「え、えぇ!ズルいですよ、今のは」
いや、分からなかったらそれでいい。と言って、ベンチに座るダンテ。
ペプシコーラを開ければ、プルタブから炭酸の泡が噴き出した。
「うおっ」
「わあっ、大丈夫ですか?!」
ホットドッグを頼んだ時についていた紙ナプキンで拭きとれば、気まずそうにダンテがそっぽを向いた。
「あーさっき走ったからか…」
「走った?」
「今のは聞き取れたか」
「それくらいは聞き取れますよ」
抗議すれば「悪い悪い」と謝られ、髪をくしゃりと撫でられた。
「知らない男に話しかけられて困ってたら、慌てて戻ってくるに決まってるだろ?」
「あ…」
そういうことか。
この国では当たり前なのかもしれないが、こんな丁重な扱いをされ、なんだかむず痒くなった。
嬉しいような、こそばゆいような。けれど、いやな感じではなかった。
「ありがとう、ございます」
自然と頬が熱くなる。別に、気温が暑いわけではないのに。
なんだか恥ずかしくなって、隠すように耳にかけていた前髪をそっと元に戻した。
「あ。耳にかけてた方が似合ってんのに」
そう言ってダンテの指が帳のように落ちた前髪をとらえて、耳に触れる。
開けた視界に入るのは、アイスブルーの目。
近すぎる視線が恥ずかしくて爆発してしまいそうだった。
「ダンテ、さん、近いです…っ」
「お前すぐ赤くなるから面白くてな」
間違いない、からかわれている。
顔の火照りが冷めやらぬまま、むっとむくれると「怒んなよ」と頬をつつかれた。誰のせいだと。