黒子ギルドとは何か。

 小さい頃、姉のラディールさまに、驚かれそうなほど、大きな声で歌を歌うのが大好きな俺であった。今もそこも変わらないと言いたいが、もっと音量が大きくなったのだけが事実だと、性懲りもなく歌が好きな俺は思った。

 父母はおおらかで、「ラルちゃん、ごはんよ」が特技だった。姉も俺もどちらも縮めてラルと呼ばれる。なぜその時あの人は、俺たちの名を書き、大きく世に問う曲を願ったのだろうか。意味がない人生だったと思われたくなかったのだろうか、それは。

 昔<虹の影>と呼ばれるレイピア使いだった。途中で、女神セレンに巡り合った。紅茶が大好きな女神は、何故か大人になりたての俺のことが気に入ったのだった。

 セレンは素晴らしい羅針盤である。美しいところも何もかも変わらない。気に入っている。

 最初に二人で喫茶店に行ったときのことを覚えている。セレンはミルクティが特に好きである。最近は高じて色々なことをしているのだが、あの日力持ちそうにぐいっとついでくれたあの美味しい紅茶の味が忘れられない。

 <虹の影>という響きから、思う存分遠くへ来て。こんな目立ちたがり屋の自分で大丈夫かと、ときどき問いかけたくなる。もっと大きなことをしてみたいのだった。

 戦うだけの俺じゃないと、あの時とても強く思った。また巡り会えて、とても嬉しいと、やっと彼女にときめきを伝えることが出来るようになった。

 姉はいつもそうやって、気持ちを伝えることに長けている。俺とそこが違う。そこを直してみたいと、俺も思った。人には言葉で気持ちを伝えるものである。距離があっても、大丈夫だ。だからこそ、テレワークもリモートワークもある(笑)。

 いつの日か、父という大きな太陽に、感謝を伝えたいのである。<星の影>リファイン・ネメシス。また巡り会いたい。そう感じている。嘘偽りなく。
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