令和の始まりを、祝して。

 と、みたらしを広げ、食べようとしたとき、現れたのは、ツバラーゼだった。あ、間悪いな、と、ツバちゃんは辛辣に反省した。

「フラさんのツバラーゼだ」

 いつも、フラさんの誇る大親友のツバート。お父さんのミハイルとも親しかったりする。何よりも、フラさんは、あのミハイルの眼差しが、眩しくて、薄い自分の頭より、尊いと、思う癖がある。

 昔、ツバートが生まれる前、最初に知り合ったのは、おじいさんのベルヴァーレだった。で、そのうちミハイルとも親しくなった。今は、親子3代の中で、いつもツバラーゼが、とりわけよく来てくれていたり、する。ツバラーゼは、楽しい剣士。風来坊で、ゲームを愛する。正義の番人とも言われる、なかなかの優れものである。

「フラさん、みたらしもらいたいけどいい?」

 フラさんは、バスを見た。

「一本あげてもいい?」

 バスは苦笑した。

「ちょうど3本で、よかったな、ツバちゃんお食べな」
「バス、ありがとう。フラさん、感謝」

 と、言いながら、嬉しそうにヤマザキのみたらしを食べる。

「嬉しい」

 ツバちゃんの笑顔は、特急品である。

「伊勢神宮のそばにいると、元気が出てくるね」

 バスはもう、嬉しいのを通り越した。

「俺もそう思うよ。さあ、ツバちゃん、フラさん、なんか食べに行こうか」
「何がいい?」

 バスは言った。

「本当はおかあさんにおこわを炊いてもらおうと、思っていたところだけど」

あら。どうしようね。

「じゃあ、へんば餅でも買おうか」
「あ、こないだのニュースで出ていたやつ?」

 ツバちゃん嬉しそう。おなかすいたのね。

「ふふふ、このフラさんに任せとけ」
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