ビール髪の騎士将軍

 マジで、本当に、危ない事件が、志摩スペイン村の近辺では起ころうとしている。ライグンとあたし、ラディールの気持ちはひとつだった。虹の後の二次災害は危険である。あたしたち二人は、手を取り合って、かつてのヘンゼルとグレーテル事件のときみたいに、戦うことを誓った。

 とにかく、近鉄特急で、あたしたちの地方、伊勢志摩へ来てくれる、旅人のためにも。なんとか安直だけど純粋さが胸を打つ、とか言いながらも。虹の後の二次災害を増やさないための、処置やら、工夫やらが、必要なのである。

 だからして、ライとあたしの掛け声が必要なのだ。合言葉は「エルのお姉ちゃん」それではいけない(笑)。なんとかして、謎を解こう。

 ねえ、ライ、どう思う?

 あら、ラファエだ。ラファエやあ。

「ラル、ラル」

「うん、アンちゃん、なに?」

「お腹がすいたから、ライとラルにご飯付き合ってもらいたいんだ」

「胡瓜スティックかい?」

「違う、僕とフェニは違うから(笑)。そうだね、なつかしいなあ、あの員弁川川下り選手権の頃が」

「そうだね、またフェニくんはカッパを発見したんでしょう」

「うん。また胡瓜が好きなんじゃないお父さんに会えるといいのにね」

「あのフェニくんのお父さんも、胡瓜好きそうだけどね」

「そうかな」

「あ、ラファエ、俺からひとことあるんだけど」

「なんだね、ライ」

「こないだ相葉ちゃん(@嵐)のテレビを見ていてさ、マーボー胡瓜を作っていたのが大変美味しそうだったんだ」

「相葉ちゃん、いいね」

「なんと言っても、俺とラディールさんは、中華料理が好きなことで知られとるやん」

 ラファエルは、きょとんとした。

「ああ、タンメンが好きなんだよね(笑)」

「パクチーは苦手なんだけどさ」

「そうかね、フェニと違うな(笑)」

「ラファエ、今パクチー流行ってるよね(爆笑)」

 ラファエルのいつも通りのセリフ。

「アタボーよー(笑)」

 あたし、ラディールの言葉。

「ラファエはああいう相葉くんみたいな、素敵なロマンチストが好きなのよね」

「アタボーよ。イルミナさんにまた会いたいんだ」

 あたしの目から、涙がころり。

「イルミナさん、素敵だもんね。太陽のように光り輝き」

「伊勢神宮が大好きなラファエ」

 うん。涙。

「イルミナさんに、また会いたいね」

 だからこそ。あたしは続けた。

「ラファエ、マーボー胡瓜作ろうね、一緒に」

 ラファエはうなずいてくれた。

「こんなラファエだけど、黙ってうなずいて」

 もちろんだよん。

「ラファエ、リエルちゃん元気かな」

 ラファエはぐずった。

「リエルちゃんにも、また会いたいんだ」

 そうだね。あ、ラファエは好きな人が多くていいね。あたしも、そうだけど。ラファエ、あたし、好きですか?

「ラルが一番好きだよ」

 ありがとう。
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