ビール髪の騎士将軍

 頭を抱えるほどに、ライグンの説明は簡単だった。なんか、本当にきな臭い香りがしており、狙われている、ミシェルくんという男の子の生命線が、ちょっと細いという、そんな説明までされてしまった。ライグンは、立派な、ナイト(騎士)だった、今となっては、漁業組合の組合長がお似合いの、ビールの色に脱色したロン毛のブロンドのお似合いの、細くて背の高い、男の人である。

 いつも、カテドバルと、名前をつけた、素敵なステンレス製のブロードソードが、お似合いである。昔、射手座の黄金聖闘士だった。そんな裏設定も、あったりする。もうじき、この伊勢志摩(ちなみに前回から引き続き、伊勢内宮で、行われている)に、天皇、皇后両陛下が見える。そんな一ヶ月前だろう、内宮の、五十鈴川沿いには、あたしと、ライグン。そうして、あまたの参拝客のみなさんが、あるのだった。

 何が悲しくて、ライグンの義弟、レオンハルト・アッセンバッハは、弱ってイカバブラー如きと、交戦したぐらいで、消えなければならなかったのだろう。いや、死ぬんじゃなくて、消えたんだって。信じられない。けど、あのたこ焼きを、あたしにもしょっちゅう、せっせと焼いてくれたレオンが、ダメだからって、ぺいっと、消えてしまった事実が、むっちゃむかつくのが、事実である。

 そのあたしの説明のややこしいこと。そうしてレオンがいないのが、すーげえ、つらいこと。

 ミシェルくんは、だいじょうぶだろうか。今回起きている騒ぎは、彼の兄弟の、シグリアさんが、勘違いで、シンドロームに襲われている、という、そういうところから、来ているという。アヴリル・ラヴィーンさんの「ダム・ブロンド」が、お似合いそうな、頭のとってもいい、ブロンドのおっちゃん、ライグン・アレードが、立ち上がった。

「五十鈴川、ひさしぶりだけど、やっぱ好きだなあ」

 あたしの痛い一言。

「こないだのは痛かったもんね」

 ライグンは言った。

「本当、悲鳴あげるほど痛かったもん」

 そうだね。

「俺、痛かったし、レオンみたいに消えたらどうしよう、って、涙いっぱいだった」

「そうだね、普通、あれはもう人間の限界としか」

「大変、お世話に」

「いえいえ」

 みなさま、伊勢志摩へは、近鉄特急で。
18/22ページ