それは試練だ。

「ラファエ!」

 とその瞬間、俺ラファエルの前に現れたのは、伝説のマンガ家、スイーパー槙村香の大親友、マーク・ドゥエ・ローラスだった。たねがしまが得意な、愉快な発明家でもある。彼は、気の利く台詞が特技で、かつ、優しい物腰が真骨頂な、そうして、大切なこと、グンゼのももひきと、半ズボン(特製)が好きなひとである。

「ふふふひさしぶりだな、マーク」

 と、俺はひさしぶりにラファエル全開で威嚇した。すっかり見慣れたこのいとこは、実はうーんと背高のっぽなことで知られている。その白いももひきと、青い半ズボンが美しい(笑)。

「この彼岸花の直前に、君マークは何のようで、この伊勢志摩に現れたのかな?」

 すると、奴は答えた。

「もともとから、あたしの故郷はここだよ」

 石油コンビナートの街で、戦っていたりする。

「そうなのか。そうか、レオンといとこだったんだったな」
「いやきっと、ラファエ、レオンとお前もいとこなのだよ」
「な、なに? そうなのか」

 ラファエルは目が点になった。いない彼、レオンを思った。

「それはさておき、ラファエの大好きな赤福タイムは終わったかな?」
「いや、まだ今月は恒例の赤福ひとり食いキャンペーンをしていないな」

 そういえば、とマークは言った。

「最近はあのテッカマンブレードも現れたらしいよ」
「そうかね」

 繰り返しだが、白いももひきが美しい。眩しい。

「ラファエにお願いがあってな」

 マークは嬉しそうに言った。

「なんだね」
「今度二見の夫婦石へ、結婚願掛け付き合ってほしいんだけど」
「誰と?」
「すっごいめんこい女の子と」
「どんなん?」
「おかっぱの、かっこいいひとなんだ」

 ラファエルは、嬉しくなった。

「それはいいご縁だよ、付き合ってあげるよ」
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