志摩スペイン村付近に何が?

バローのポテトコロッケは、ミックスベジタブルのみの簡素なものである。で、あるが美味。いつもたくさんフライアーで揚げられているこのコロッケは、遠い昔、このギルバート・ザックワーズが考え出したものである。あたし、ラディールは、イングラムとふたりで、通い詰め、食べ続けたこの野菜コロッケを、いとも簡単に頬張り、食べながら、志摩スペイン村特設会場で、レオンの、お別れの会をしている、不思議に、目を回していた。ああ。レオンは食い意地が張った人だった。特にたこ焼きを、愛していた。いつもたこ焼き製造機で、たくさんのたこ焼きを、自分と、妻りいくのために、焼き、きっとそれが夫妻にとって、幸福の象徴だったのに違いないだろうなと、あたしは思った。りいくは、いつも、花のようにうつくしい。負けないように、枯れないように、と、ミスチルの「花」が脳内再生し始めた。あたしらしいな、まったく。ギルくんの息子、アルバート・ザックワーズは、藤原新也さんのような、立派なカメラマンになるのが夢だと、いつも教えてくれた。もちろん、今は無敵のカメラマンである。
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