禅院と桜蘭
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【変化】
月詠がそう唱えた瞬間、夜桜誘夜に取り憑いてる呪霊の姿が一瞬だけ晒された。透明な肌をした爬虫類のような容貌、姿は恐らくカメレオンに近い。
すると夜桜誘夜の姿がみるみる変化していく。柄が伸びていき、和傘の形はとうに無くなっていた。代わりに先端に剥き出しの刃が堂々と聳える。
妖刀・夜桜誘夜。その真の姿は死を象徴する巨大な大鎌であった。
止まない攻撃を仕掛ける玉犬から逃げて、一つ一つ意志を持つ呪霊の部位が中央に中央に集まってくる。
その無数の呪霊に向かって、月詠は夜桜誘夜を構えた。
「あんがとワンコちゃん!多分いけるわ、いや自信ないけど」
「そこは自信持って全部祓うッつってくれ!」
「いや多分恐らく無理です、とりあえずワンコちゃん達壊れないように片付けて」
「玉犬をオモチャみたいに言うな」
「そんで恵くんも下がって」
「わかってる、外すなよ」
伏黒がチッ、と鋭い舌打ちをして玉犬を解く。
月詠が、妖刀・夜桜誘夜に余すことなく自分の呪力を注ぎ込む。それを確認してから「オシ撃つわ」と呟いた。
「アタシの介護、今日もよろしく頼むわ!」
「……ッたく。了解相棒」
伏黒はそうして観念したように月詠をそう呼んだ。そして術式に巻き込まれない位置まで下がる。介護をする、準備だけはしておく。
【桜蘭家】相伝。
その術式が発動できるのは、精々数日に一度。呪力の多い腕のいい術師だろうが2日に一度が限度である。
何故ならその術式は、壮大すぎる故に【一太刀の攻撃で全ての呪力を使い果たす】。
使ったその後は、暫く呪霊が見えなくなる程に。
呪術師としての機能を、暫くの間一切失う程に。
その反動が大きすぎる、しかし絶大な祓除効果を有する術式の名は___。
妖刀・夜桜誘夜。
月詠の呪力を大量に吸ったその刃が繰り出す一太刀が、今無数の呪霊に放たれる。
呪力の太刀が放たれたその一瞬。
その一瞬だけ。彼女は正しく最強となる。
「必殺」