4人目
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、虎杖くんだ。おはよう」
くあ、と無防備に大口開けて欠伸をひとつ零す美女が1人月詠誘夜。触り心地の良さそうなダボッとした黒のルームウェアを着て、足にはピカチュウのサンダルを引っ掛けてぺたぺたと歩いていた。
虎杖はちょっとドキッとして「おはよう月詠サン」と言った。まだちょっと彼女に対して緊張感が残っているのと、後単純に見た目が好みだったから。
月詠サン黒似合うな〜、肌白エからかな。黒好きなんかな。とボンヤリ思いながら。
寝起きで化粧をしていないからか、昨日よりか大分柔らかい印象を受ける。でも不機嫌そうに黙ってるとやっぱりまだ威圧的だ。五条先生が昨日『スッピンでもケバい』ッつってたけど、なるほどこれか。この人元から顔が派手なんだ。
スポーツウェアと運動用のブルートゥースイヤホンを首に提げた虎杖を見て、「あ?なにランニングとか?」と聞いてくる。そういう月詠はなにやら朝から巨大なダンボールを運んでいた。
「重そうなモン持ってんね。俺持つよ、部屋まで?」
「あーいいの?あんがと」
「これAmazon?届くの?」
「やーなんか結構ダルめな申請必要だけんね。なんかセキュリティ的な問題で。ココ結界とか張ってあんし」
「へー、そうなんだ。ゴメン俺突然入学したから高専のこととか呪いのとことか全然わかんなくて。結構質問攻めしちゃうかも」
「えーいいよ別に謝んなくて。悟くんに聞いたし虎杖くんのこと。まー言うてアタシも術師なったの最近だから、呪いのことは恵くんに聞いた方がいいよお。恵くんのが強いし頭いーもん」
そうダラダラ喋って、最後にもう一度欠伸した。まだだいぶ眠たそうだった。
「てかてか、俺も悠仁でいいよ!俺だけなんか壁感じる」
「じゃあアタシも月詠でいーよ。なんでアタシだけサン付けよ」
「あ、ゴメン。大人っぽかったからつい。じゃさ、俺はなんで苗字だったの?」
「あー母音が『ウ』の文字発音すんの苦手なんだわ。『オ』も若干。ごめんだけど苗字でいい?」
「へー、そーいうことなら全然!でもクン付けすんだね」
「イイトコ突くじゃん、なんででしょ」
月詠が眉をクイッと上にあげてハッと辛口に笑った。首がが右に傾き、線の細い髪が輪郭を沿って零れ落ちる。
この顔と仕草がとんでもよくカッコよくて虎杖は一瞬言葉を詰まらせた。そんで慌てて会話を思い出して、「えッ……と、ごめんわかんねえ」とヘラッと笑う。
そんな虎杖を見て、月詠は機嫌良さそうにふふん笑い、ピンと立てた人差し指で虎杖の心臓辺りを突いた。
「わかりやすい他との差があると惚れた男にアピールしやすい」
フ、と目が細まって、元々ツリ目がちな目尻が更に吊り上がったように見えた。長い睫毛が伏せがちに煌めいて、ファム・ファタールが如く微笑む。そんな歳不相応な顔で笑い、「ね、そうでしょ悠仁」と弾丸みたいなセリフでトドメ。
虎杖はブワッと汗をかいて顔を焼けたみたいに真っ赤にし、思わず持ってたダンボールをガンッと床に落とした。
「惚れッ……、え?俺?えッ、まってゴメン。えっと……。つ、付き合う?」
「ごめんて冗談」
「え、冗談……」
「ニャハハ、虎杖くんからかいがいあんね!カワイイカワイイ。それより足に落としたッしょ、怪我ない?」
「あ、うん平気!これ何入ってんの」
「コンプ」
コンプ。完全栄養食。
そう言えば昨日の親睦会でも結局ドリンクしか頼んでなかったしなこの人。だからそんな細いのか。つかやっぱりタッパあんなあ。
先を歩いていった月詠の華奢な背中を見てそう思った。体型の方は胸にも尻にも、もう少し肉がついてた方が好みなんだけど。いや如何せん顔がいい。
足に落ちたダンボールをヨイショと拾い直してから、月詠の後を追って歩く。はあ〜……、と熱っぽいため息がでてきた。
「都会美女怖え〜……」
*
「いやマジであんがと、そこ置いといて。なんか飲んでく?あー、ごめん冷蔵庫ン中カロリーメイトとゼリーしかねえ」
「うわマジだ。俺こんな固形物ない冷蔵庫初めて見た。後カロリーメイトのリキッドタイプも初めて見た、こんなんあったんだ……」
月詠がそう言って冷蔵庫を開けてウゲ〜ッと顔を顰める。そうして玄関前に荷物を置く虎杖に申し訳なさそうに謝った。
思わずそれを聞いて「えー、そんなことあんの?笑」と笑いながら冷蔵庫を覗くと、本当にドアポケットには大量のウィダーインゼリー、室内にはカロリーメイトの缶が大量に寝かせてあって笑顔が引き攣った。カロリーメイト缶のカフェオレを一本手に取って、はーッと眺める。
「ごめんこれ気になるわ。一本貰っていい?」
「おー、いいよいいよ貰って。お礼お礼。カフェオレでいーの?」
「他に何があんの?」
「ヨーグルトとフルーツ。アタシは一番カフェオレ好きだからカフェオレ多めに買うんけど」
「じゃあフルーツ貰っていい?」
「オケオケ、飲んでって」
そう言って持っていたカフェオレ缶を月詠に返す。月詠はそれをキッチンカウンターに置いてから、冷蔵庫室内の1段目に寝かせてあるフルーツミックス缶を虎杖に向かってホイとパスした。どうやら1段目がフルーツミックス、2段目がヨーグルト、3段目がカフェオレらしい。
カシュ、と早速缶を開けて一口。思ったより普通にジュースで美味い。でも毎日だと飽きない?って感じ。
そんなこと思って不躾にキッチンを見てみる。ゴールデンスタンダートのプロテインやら、コンプのパウダーやら。まあでもよく見てみたらバスケットの中にベースフードがあるし、コンプのグミやお馴染みのカロリーメイトのブロックタイプもある。固形物も食うには食うらしい。キッチンにあるの殆ど完全食だけど。
完全食愛用者なんて周りにいなかったので、この清々しい光景にいっそ感動を覚える。逆に不健康では?と思うほどに。
カロリーメイトのカフェオレ缶を飲みながら、バスケットからコンプのグミタイプを引っ張り出してた月詠が虎杖に話しかける。
「これからランニング?ごめんねそれなのに」
「あ、そーそー日課。ていうか気になってたんだけど、あそこでもっこりしてんの釘崎?」
「そよ」
ベッドの上でホワイトカバーの掛け布団がモゾモゾと動く。釘崎の声で、「ん〜〜ッ」という低い唸りが聞こえてきた。
昨日上京初日で、呪霊対峙が終わり親睦会が終わり。寮に着いたのがなんだかんだ21時過ぎだったもので、そんな時間から事前に送った荷物を解く余裕はない。だから月詠が部屋に誘ったそうだ。女子親睦会と称して。
虎杖はそれを聞いて「はー!そうなの」と、明るい声を出して心底安心した。昨日釘崎が「仲良くなれなそう」とボヤいてたのを聞いたから。なんだよかった、泊まるほど仲良くなってんじゃん。
月詠がカフェオレ缶をグッと飲み干して缶をゴミ箱に捨ててから、ベッドでふかふかの布団をかき集めるようにして丸まる釘崎に近付いた。
「おいブス起きろブス」
そう言ってバスッと布団ごと釘崎の胴体をブッ叩く。布団からくぐもった声で「なにすんだてめえ……」という釘崎の呻きが聞こえてきた。
虎杖は笑顔のまま固まって「あれッ?」と思った。なんかとんでもないのが聞こえてしまった。
「いつまで寝てんだ朝だブス」
「……ッッせえな貧乳ブス。朝からブスだなお前。そういう奇跡かと思ったわ」
「黙れデブ」
「骨」
釘崎がかったるそうに跳ねた前髪をかきあげながらモソモソと起き上がって、グッと背伸びした。「お腹減った、なんか食べんのないの?」「お前普段何食うの?コンクリ?」「ブッ飛ばすぞ完全食ブス」と攻撃力5万の会話がベッドで飛び交う。月詠が「これでも食ってろ」とさっき取り出したコンプのグミを釘崎に向かって放り投げた。
この2人が昨日のお泊まり会で3時間に渡る大乱闘スマッシュブラザーズ(Switch版)がこれでもかというくらい大白熱して罵詈雑言が当たり前の仲になってしまったのを、ポカンとその光景を眺めるしかできない虎杖は知らない。
釘崎がベッドから降りた。そしたらバチッと目が合って、虎杖は思わずギクッとした。とんでもなく嫌な予感がしたのだ。
「は?なんで虎杖いんのよ」
「あー……ッと。オハヨ釘崎……」
「荷物運んでくれたの」
「荷物を運びました……」
あ、これヤバいんじゃね。と。
虎杖は目に細めニコ……とカオナシみたいな顔をしてダラダラと汗をかいた。
瞬間、ガンッと凄い勢いで何かが顔面にブチ当たる。釘崎が一番手に取りやすい位置にあったグミの袋を田中将大さながらのフォームで虎杖の顔面目掛けて投げたのだ。
虎杖がドシャッとその場に頭から倒れる。月詠が「ストライッ」と右腕を上げた。
「美少女の寝起き謁見料5000万な」
「ワンクリック詐欺かよ」
「お前も私が寝てんのに入れてんじゃないわよッ」
「それはごめん」
釘崎はブッ倒れた虎杖を部屋の外に蹴り出し、とんでもない顔で見下してそう吐き捨てた。
虎杖はその後通りかかった伏黒に「お前なんで月詠の部屋の前で寝てんだよ」と言われるまで寮の廊下で魂を吐いて気絶していた。
乙女の制裁とはフィジカル無視で男に突き刺さる、ガード不能の最強攻撃なのだ。
くあ、と無防備に大口開けて欠伸をひとつ零す美女が1人月詠誘夜。触り心地の良さそうなダボッとした黒のルームウェアを着て、足にはピカチュウのサンダルを引っ掛けてぺたぺたと歩いていた。
虎杖はちょっとドキッとして「おはよう月詠サン」と言った。まだちょっと彼女に対して緊張感が残っているのと、後単純に見た目が好みだったから。
月詠サン黒似合うな〜、肌白エからかな。黒好きなんかな。とボンヤリ思いながら。
寝起きで化粧をしていないからか、昨日よりか大分柔らかい印象を受ける。でも不機嫌そうに黙ってるとやっぱりまだ威圧的だ。五条先生が昨日『スッピンでもケバい』ッつってたけど、なるほどこれか。この人元から顔が派手なんだ。
スポーツウェアと運動用のブルートゥースイヤホンを首に提げた虎杖を見て、「あ?なにランニングとか?」と聞いてくる。そういう月詠はなにやら朝から巨大なダンボールを運んでいた。
「重そうなモン持ってんね。俺持つよ、部屋まで?」
「あーいいの?あんがと」
「これAmazon?届くの?」
「やーなんか結構ダルめな申請必要だけんね。なんかセキュリティ的な問題で。ココ結界とか張ってあんし」
「へー、そうなんだ。ゴメン俺突然入学したから高専のこととか呪いのとことか全然わかんなくて。結構質問攻めしちゃうかも」
「えーいいよ別に謝んなくて。悟くんに聞いたし虎杖くんのこと。まー言うてアタシも術師なったの最近だから、呪いのことは恵くんに聞いた方がいいよお。恵くんのが強いし頭いーもん」
そうダラダラ喋って、最後にもう一度欠伸した。まだだいぶ眠たそうだった。
「てかてか、俺も悠仁でいいよ!俺だけなんか壁感じる」
「じゃあアタシも月詠でいーよ。なんでアタシだけサン付けよ」
「あ、ゴメン。大人っぽかったからつい。じゃさ、俺はなんで苗字だったの?」
「あー母音が『ウ』の文字発音すんの苦手なんだわ。『オ』も若干。ごめんだけど苗字でいい?」
「へー、そーいうことなら全然!でもクン付けすんだね」
「イイトコ突くじゃん、なんででしょ」
月詠が眉をクイッと上にあげてハッと辛口に笑った。首がが右に傾き、線の細い髪が輪郭を沿って零れ落ちる。
この顔と仕草がとんでもよくカッコよくて虎杖は一瞬言葉を詰まらせた。そんで慌てて会話を思い出して、「えッ……と、ごめんわかんねえ」とヘラッと笑う。
そんな虎杖を見て、月詠は機嫌良さそうにふふん笑い、ピンと立てた人差し指で虎杖の心臓辺りを突いた。
「わかりやすい他との差があると惚れた男にアピールしやすい」
フ、と目が細まって、元々ツリ目がちな目尻が更に吊り上がったように見えた。長い睫毛が伏せがちに煌めいて、ファム・ファタールが如く微笑む。そんな歳不相応な顔で笑い、「ね、そうでしょ悠仁」と弾丸みたいなセリフでトドメ。
虎杖はブワッと汗をかいて顔を焼けたみたいに真っ赤にし、思わず持ってたダンボールをガンッと床に落とした。
「惚れッ……、え?俺?えッ、まってゴメン。えっと……。つ、付き合う?」
「ごめんて冗談」
「え、冗談……」
「ニャハハ、虎杖くんからかいがいあんね!カワイイカワイイ。それより足に落としたッしょ、怪我ない?」
「あ、うん平気!これ何入ってんの」
「コンプ」
コンプ。完全栄養食。
そう言えば昨日の親睦会でも結局ドリンクしか頼んでなかったしなこの人。だからそんな細いのか。つかやっぱりタッパあんなあ。
先を歩いていった月詠の華奢な背中を見てそう思った。体型の方は胸にも尻にも、もう少し肉がついてた方が好みなんだけど。いや如何せん顔がいい。
足に落ちたダンボールをヨイショと拾い直してから、月詠の後を追って歩く。はあ〜……、と熱っぽいため息がでてきた。
「都会美女怖え〜……」
*
「いやマジであんがと、そこ置いといて。なんか飲んでく?あー、ごめん冷蔵庫ン中カロリーメイトとゼリーしかねえ」
「うわマジだ。俺こんな固形物ない冷蔵庫初めて見た。後カロリーメイトのリキッドタイプも初めて見た、こんなんあったんだ……」
月詠がそう言って冷蔵庫を開けてウゲ〜ッと顔を顰める。そうして玄関前に荷物を置く虎杖に申し訳なさそうに謝った。
思わずそれを聞いて「えー、そんなことあんの?笑」と笑いながら冷蔵庫を覗くと、本当にドアポケットには大量のウィダーインゼリー、室内にはカロリーメイトの缶が大量に寝かせてあって笑顔が引き攣った。カロリーメイト缶のカフェオレを一本手に取って、はーッと眺める。
「ごめんこれ気になるわ。一本貰っていい?」
「おー、いいよいいよ貰って。お礼お礼。カフェオレでいーの?」
「他に何があんの?」
「ヨーグルトとフルーツ。アタシは一番カフェオレ好きだからカフェオレ多めに買うんけど」
「じゃあフルーツ貰っていい?」
「オケオケ、飲んでって」
そう言って持っていたカフェオレ缶を月詠に返す。月詠はそれをキッチンカウンターに置いてから、冷蔵庫室内の1段目に寝かせてあるフルーツミックス缶を虎杖に向かってホイとパスした。どうやら1段目がフルーツミックス、2段目がヨーグルト、3段目がカフェオレらしい。
カシュ、と早速缶を開けて一口。思ったより普通にジュースで美味い。でも毎日だと飽きない?って感じ。
そんなこと思って不躾にキッチンを見てみる。ゴールデンスタンダートのプロテインやら、コンプのパウダーやら。まあでもよく見てみたらバスケットの中にベースフードがあるし、コンプのグミやお馴染みのカロリーメイトのブロックタイプもある。固形物も食うには食うらしい。キッチンにあるの殆ど完全食だけど。
完全食愛用者なんて周りにいなかったので、この清々しい光景にいっそ感動を覚える。逆に不健康では?と思うほどに。
カロリーメイトのカフェオレ缶を飲みながら、バスケットからコンプのグミタイプを引っ張り出してた月詠が虎杖に話しかける。
「これからランニング?ごめんねそれなのに」
「あ、そーそー日課。ていうか気になってたんだけど、あそこでもっこりしてんの釘崎?」
「そよ」
ベッドの上でホワイトカバーの掛け布団がモゾモゾと動く。釘崎の声で、「ん〜〜ッ」という低い唸りが聞こえてきた。
昨日上京初日で、呪霊対峙が終わり親睦会が終わり。寮に着いたのがなんだかんだ21時過ぎだったもので、そんな時間から事前に送った荷物を解く余裕はない。だから月詠が部屋に誘ったそうだ。女子親睦会と称して。
虎杖はそれを聞いて「はー!そうなの」と、明るい声を出して心底安心した。昨日釘崎が「仲良くなれなそう」とボヤいてたのを聞いたから。なんだよかった、泊まるほど仲良くなってんじゃん。
月詠がカフェオレ缶をグッと飲み干して缶をゴミ箱に捨ててから、ベッドでふかふかの布団をかき集めるようにして丸まる釘崎に近付いた。
「おいブス起きろブス」
そう言ってバスッと布団ごと釘崎の胴体をブッ叩く。布団からくぐもった声で「なにすんだてめえ……」という釘崎の呻きが聞こえてきた。
虎杖は笑顔のまま固まって「あれッ?」と思った。なんかとんでもないのが聞こえてしまった。
「いつまで寝てんだ朝だブス」
「……ッッせえな貧乳ブス。朝からブスだなお前。そういう奇跡かと思ったわ」
「黙れデブ」
「骨」
釘崎がかったるそうに跳ねた前髪をかきあげながらモソモソと起き上がって、グッと背伸びした。「お腹減った、なんか食べんのないの?」「お前普段何食うの?コンクリ?」「ブッ飛ばすぞ完全食ブス」と攻撃力5万の会話がベッドで飛び交う。月詠が「これでも食ってろ」とさっき取り出したコンプのグミを釘崎に向かって放り投げた。
この2人が昨日のお泊まり会で3時間に渡る大乱闘スマッシュブラザーズ(Switch版)がこれでもかというくらい大白熱して罵詈雑言が当たり前の仲になってしまったのを、ポカンとその光景を眺めるしかできない虎杖は知らない。
釘崎がベッドから降りた。そしたらバチッと目が合って、虎杖は思わずギクッとした。とんでもなく嫌な予感がしたのだ。
「は?なんで虎杖いんのよ」
「あー……ッと。オハヨ釘崎……」
「荷物運んでくれたの」
「荷物を運びました……」
あ、これヤバいんじゃね。と。
虎杖は目に細めニコ……とカオナシみたいな顔をしてダラダラと汗をかいた。
瞬間、ガンッと凄い勢いで何かが顔面にブチ当たる。釘崎が一番手に取りやすい位置にあったグミの袋を田中将大さながらのフォームで虎杖の顔面目掛けて投げたのだ。
虎杖がドシャッとその場に頭から倒れる。月詠が「ストライッ」と右腕を上げた。
「美少女の寝起き謁見料5000万な」
「ワンクリック詐欺かよ」
「お前も私が寝てんのに入れてんじゃないわよッ」
「それはごめん」
釘崎はブッ倒れた虎杖を部屋の外に蹴り出し、とんでもない顔で見下してそう吐き捨てた。
虎杖はその後通りかかった伏黒に「お前なんで月詠の部屋の前で寝てんだよ」と言われるまで寮の廊下で魂を吐いて気絶していた。
乙女の制裁とはフィジカル無視で男に突き刺さる、ガード不能の最強攻撃なのだ。