接続
サンダークラッカーはサウンドウェーブにはいらないとはいったが、接続の疑似体験ができるディスクのことが気になっていた。
接続の気持ちよさを知ってしまった今、やってみたいという欲求は誰よりもあると感じる。
しかし接続したらまた自分のせいでサウンドウェーブが不調になるのではという心配があるのだ。
それに好きだと気付いた今は接続という行為が特別なものと感じるようになってしまった。
向き合うのが恥ずかしいしなと一人言い訳をする。
その点疑似体験なら問題は様々なクリアできると考えていた。
とはいえ、今更サウンドウェーブにやはりディスクが欲しいとは言い出しにくかった。
サンダークラッカーが哨戒任務を終えてスカイワープとの2人部屋に戻ると、同居人はすでにスリープ台の上に寝そべりエネルゴンキューブを齧り付きながら報告書を作っていた。
欠片が部屋に散らかるぞと思いながらサンダークラッカーは机に座る。
ふと隣を見るとスカイワープの机に疑似体験のディスクが放り出されているのに気付いた。
「なあ、これ借りてもいいか?」
「貰わなかったのかよ。いいぜー、俺には必要ねぇから」
スカイワープは報告書を送信したのか、スリープモードに入りながら手をひらひらと振った。
サンダークラッカーは適当に一番上のディスクを手に取ると個人用のコンピューターに読み込ませる。
説明用のファイルを開くと、相手役の機体をパーツを組み合わせて自由にデザインできるらしい。
パーツを色々見てみたが、既存のデストロン兵士をモデルにしているようである。
試しに自分と同じようなパーツを組み上げると細部は異なるがかなりそっくりに作れた。
凄いなぁと思いつつも複雑な気分だ。
一応特定機体にはならないようにカラーリング等は配慮されてあるが。
しかしざっと見ていて気づいたが、メガトロンはもちろんサウンドウェーブやカセットロン達に近いパーツは組み込まれていない。
良かったという気持ち半分、がっかりという気持ち半分。
仕方なくサンダークラッカーはランダムにパーツを組み上げた。
設定を終えるとセンサー用のケーブルをコンピューターに繋ぎ早速試してみる。
現れたのは少しごつい体型の機体だ。
サウンドウェーブに似せようとしたのだが、雰囲気は出ている気がする。
ぼんやりとそう思っていると照れたように俯いていた機体がキスを強請るように擦り寄ってきた。
あれ?と何か引っかかりを覚えながらそっと唇を重ねる。
伝わってくるリアルな感覚にサンダークラッカーは驚いた。
さすがサウンドウェーブと感嘆していたが、なにか違和感を覚える。
機体の動きがどう見てもサウンドウェーブに見えるのだ。
もしかして感覚だけでなく俺達の動きをそのまま取り込んでるのか?
気付いた時にはサンダークラッカーは腕のケーブルを引き抜いていた。
サウンドウェーブの部屋の前に来ると、扉を叩いた。
部屋の主はすぐに出てきたがその腕にはジャガーが抱かれている。
サンダークラッカーはジャガーを引き剥がし彼を部屋の外に置いて、サウンドウェーブを室内に押し込んだ。
「どうしたんだ?」
「カセットロン達は他にいるのか? いるなら外に出してくれ」
外ではジャガーがカリカリと扉を掻いている。
可哀想かもしれないが今はそれどころではない。
「……いない」
「ならいいけど。あのディスクを使ったんだけどさ――」
言った瞬間、サウンドウェーブの体が固まった。
やっぱりそれで俺にだけ配らなかったんだなと納得する。
「あれ、サウンドウェーブそのものだろ。もうちょっと手を加えられなかったのか?」
「別に問題ないだろ……」
「俺が嫌なんだよ。偽物でもお前が誰かと接続するとか。それにもしも誰かに気づかれたら……」
急に不安になってサウンドウェーブを抱きしめた。
「安心しろ。俺が好きな変わり者なんてそうそういない」
確かにデストロン内部ではサウンドウェーブはよく思っていない者ばかりだ。
だがサンダークラッカーもその中の一人だったわけで、安心材料にはならない。
「でも、お前が嫌ならバージョンアップするといって少し手を加えてみる」
サウンドウェーブは甘えるように擦り寄ってくる。
そういえば擬似接続しようとしていたんだったとサンダークラッカーは思い出した。
中途半端に盛り上がった機体がもぞもぞとしてくる。
多分ここには接続用の機材がないし、部屋を飛び出してきたからスカイワープが訝しんでいるかもしれない。
しかし腕の中のサウンドウェーブは恐らく期待している。
ちょっと触るぐらいならという気持ちが沸き起こってきた。
サンダークラッカーがサウンドウェーブの首に腕を回すと、マスクを外してオプティックセンサーを閉じた。
「サウンドウェーブ-!!」
ガンガンと背後の扉が音を立て、サンダークラッカーは慌ててサウンドウェーブから離れた。
「何かあったのか!! サウンドウェーブ!!」
フレンジーのハンマーアームで壊してやるという声が聞こえ、サウンドウェーブが急いで扉を開けた。
開いた瞬間、フレンジーとジャガーはサウンドウェーブの胸に飛び込む。
「ジャガーから通信があってさー。サウンドウェーブの様子がおかしいみたいっていうからさー」
また壊れたのかと思ったと言いながらわんわんと泣いている。
「ジャガー、俺は大丈夫だ」
サウンドウェーブは困惑した顔でジャガーの頭を撫でる。
ぐるぐると喉を鳴らしながらジャガーはサウンドウェーブの腕に収まっていた。
「だって、サウンドウェーブの機体の熱が上がっているって警告が来たって言ってたぜ」
「……それは」
「……ちょっと待て。サウンドウェーブの機体がいつもと違うとジャガーに警告が行くようになってんのか?」
フレンジーは無言で頷いた。
「メガトロン様の命令だぜ」
心配されてるよなぁとフレンジーは嬉しそうに笑った。
「ずっとなのか?」
暫く接続できないのは覚悟していたがこれからずっとできないのだろうか。
落ち込むサンダークラッカーを見て、サウンドウェーブは小声でスマンと呟いた。
接続の気持ちよさを知ってしまった今、やってみたいという欲求は誰よりもあると感じる。
しかし接続したらまた自分のせいでサウンドウェーブが不調になるのではという心配があるのだ。
それに好きだと気付いた今は接続という行為が特別なものと感じるようになってしまった。
向き合うのが恥ずかしいしなと一人言い訳をする。
その点疑似体験なら問題は様々なクリアできると考えていた。
とはいえ、今更サウンドウェーブにやはりディスクが欲しいとは言い出しにくかった。
サンダークラッカーが哨戒任務を終えてスカイワープとの2人部屋に戻ると、同居人はすでにスリープ台の上に寝そべりエネルゴンキューブを齧り付きながら報告書を作っていた。
欠片が部屋に散らかるぞと思いながらサンダークラッカーは机に座る。
ふと隣を見るとスカイワープの机に疑似体験のディスクが放り出されているのに気付いた。
「なあ、これ借りてもいいか?」
「貰わなかったのかよ。いいぜー、俺には必要ねぇから」
スカイワープは報告書を送信したのか、スリープモードに入りながら手をひらひらと振った。
サンダークラッカーは適当に一番上のディスクを手に取ると個人用のコンピューターに読み込ませる。
説明用のファイルを開くと、相手役の機体をパーツを組み合わせて自由にデザインできるらしい。
パーツを色々見てみたが、既存のデストロン兵士をモデルにしているようである。
試しに自分と同じようなパーツを組み上げると細部は異なるがかなりそっくりに作れた。
凄いなぁと思いつつも複雑な気分だ。
一応特定機体にはならないようにカラーリング等は配慮されてあるが。
しかしざっと見ていて気づいたが、メガトロンはもちろんサウンドウェーブやカセットロン達に近いパーツは組み込まれていない。
良かったという気持ち半分、がっかりという気持ち半分。
仕方なくサンダークラッカーはランダムにパーツを組み上げた。
設定を終えるとセンサー用のケーブルをコンピューターに繋ぎ早速試してみる。
現れたのは少しごつい体型の機体だ。
サウンドウェーブに似せようとしたのだが、雰囲気は出ている気がする。
ぼんやりとそう思っていると照れたように俯いていた機体がキスを強請るように擦り寄ってきた。
あれ?と何か引っかかりを覚えながらそっと唇を重ねる。
伝わってくるリアルな感覚にサンダークラッカーは驚いた。
さすがサウンドウェーブと感嘆していたが、なにか違和感を覚える。
機体の動きがどう見てもサウンドウェーブに見えるのだ。
もしかして感覚だけでなく俺達の動きをそのまま取り込んでるのか?
気付いた時にはサンダークラッカーは腕のケーブルを引き抜いていた。
サウンドウェーブの部屋の前に来ると、扉を叩いた。
部屋の主はすぐに出てきたがその腕にはジャガーが抱かれている。
サンダークラッカーはジャガーを引き剥がし彼を部屋の外に置いて、サウンドウェーブを室内に押し込んだ。
「どうしたんだ?」
「カセットロン達は他にいるのか? いるなら外に出してくれ」
外ではジャガーがカリカリと扉を掻いている。
可哀想かもしれないが今はそれどころではない。
「……いない」
「ならいいけど。あのディスクを使ったんだけどさ――」
言った瞬間、サウンドウェーブの体が固まった。
やっぱりそれで俺にだけ配らなかったんだなと納得する。
「あれ、サウンドウェーブそのものだろ。もうちょっと手を加えられなかったのか?」
「別に問題ないだろ……」
「俺が嫌なんだよ。偽物でもお前が誰かと接続するとか。それにもしも誰かに気づかれたら……」
急に不安になってサウンドウェーブを抱きしめた。
「安心しろ。俺が好きな変わり者なんてそうそういない」
確かにデストロン内部ではサウンドウェーブはよく思っていない者ばかりだ。
だがサンダークラッカーもその中の一人だったわけで、安心材料にはならない。
「でも、お前が嫌ならバージョンアップするといって少し手を加えてみる」
サウンドウェーブは甘えるように擦り寄ってくる。
そういえば擬似接続しようとしていたんだったとサンダークラッカーは思い出した。
中途半端に盛り上がった機体がもぞもぞとしてくる。
多分ここには接続用の機材がないし、部屋を飛び出してきたからスカイワープが訝しんでいるかもしれない。
しかし腕の中のサウンドウェーブは恐らく期待している。
ちょっと触るぐらいならという気持ちが沸き起こってきた。
サンダークラッカーがサウンドウェーブの首に腕を回すと、マスクを外してオプティックセンサーを閉じた。
「サウンドウェーブ-!!」
ガンガンと背後の扉が音を立て、サンダークラッカーは慌ててサウンドウェーブから離れた。
「何かあったのか!! サウンドウェーブ!!」
フレンジーのハンマーアームで壊してやるという声が聞こえ、サウンドウェーブが急いで扉を開けた。
開いた瞬間、フレンジーとジャガーはサウンドウェーブの胸に飛び込む。
「ジャガーから通信があってさー。サウンドウェーブの様子がおかしいみたいっていうからさー」
また壊れたのかと思ったと言いながらわんわんと泣いている。
「ジャガー、俺は大丈夫だ」
サウンドウェーブは困惑した顔でジャガーの頭を撫でる。
ぐるぐると喉を鳴らしながらジャガーはサウンドウェーブの腕に収まっていた。
「だって、サウンドウェーブの機体の熱が上がっているって警告が来たって言ってたぜ」
「……それは」
「……ちょっと待て。サウンドウェーブの機体がいつもと違うとジャガーに警告が行くようになってんのか?」
フレンジーは無言で頷いた。
「メガトロン様の命令だぜ」
心配されてるよなぁとフレンジーは嬉しそうに笑った。
「ずっとなのか?」
暫く接続できないのは覚悟していたがこれからずっとできないのだろうか。
落ち込むサンダークラッカーを見て、サウンドウェーブは小声でスマンと呟いた。
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