その小さな手を
「どれだけ……」
キスの合間に熱い息がかかる。
「一体どれだけ待ったと思う…?カガリ…」
「アスラ…っ」
アスランの切なげな声でカガリは痺れるような感覚に陥った。
キスも愛撫も…ぜんぶが「今からカガリを抱く」と告げている。
「5年だ」
こんな一言じゃ足りない…
俺が待っていた、気の遠くなるような長い時間は…。
ずっと君を感じたくて
「気が狂いそうだった………」
【その小さな手を】
5年前…
宇宙最大の国家「プラント」――――
この広大な宇宙は、地球から辺境のコロニーまですべてプラントが支配していた。
背後にザフトと呼ばれる軍隊を擁し、他国を従属させることで戦争のない世界を作りあげていた・・
「では、以上で本日の議会は終了する。解散」
「………」
そのプラントで、若くして最高評議会議員となった男――アスラン・ザラは、今日の公務を終えて機械的に席を立った。
現在27歳。しかしその背には、歳に似合わないほどのものを背負っていた。
実質宇宙でトップ5ほどの力を持っているのだ。
最高評議会議長が自分の父ということもあるが、アスランがここまで上り詰めたのは本人の力である。
嫌でも将来を期待され、いずれ宇宙は彼のものになるとプラント国内では有名だった。
「…ダコスタ、これを持って先に戻っててくれないか」
アスランは自分の秘書官に持っていた資料をすべて渡した。
「アスラン様はどうなさるおつもりですか」
「少し、歩いてくる」
一人になりたいから、と言わなくても秘書には伝わった。
「では、お先に失礼致します」
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