恋唄 第6話



『1年C組カガリ・アスハです。よろしくおねがいします!』



初めて生徒会室で会ったとき、カガリは目を輝かせながらそう言った。

あのときは、俺にとってこんなに大きな存在になるなんて思いもしなかった。




・・俺とカガリの関係は、あの頃から進んでいるのだろうか。


無邪気に笑い合うことが日常だった、ごく普通の先輩後輩。
そこからカガリを好きになって、近付いて、離れて、また近付いて・・

今は―――

同じ地にいることすら苦しい






【恋唄 第6話】






アメリカに降り立ってから、1カ月が過ぎた。

その間俺はラミアス教授の大学の研究室に通って、勉強に没頭した。
日本のこともカガリのことも思い出さないように。

少しでも気を抜けば自然とカガリの姿が頭に浮かんでしまうから、
その集中力は今までにないほどのものだった。


無我夢中で勉強してあとは泥のように眠る。
ひたすらその繰り返しで、日付の感覚もない。
カガリの夢を見ることも一度もなかった。


1カ月経ったと分かったのは、EIAの展示会の日がやってきたからだった。





「おつかれ、アスラン君」

展示会が終わり、会場の外にある芝生で俺が一息ついていると
ラミアス教授が缶ジュースを持ってきてくれた。

「ありがとうございます」

「キミをここに呼んで正解だったわ。うちの研究チームのメンバーも感心してた」


ジュースを開けながら、俺はこの1カ月間後回しにしていた問題に直面しなければいけないことを
実感していた。

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