恋唄 第4話
離れることでしか好きな人を守れないなんて
これほど情けないことはなかった
全ては、俺が弱いから
カガリに振り向いてもらえるような男じゃないから
無理矢理カガリを…なんて
浅ましいことを考える自分への戒めだった
【恋唄 第4話】
「それで彼女とはどうなったんだよー、アスラン」
講義室から出てディアッカと廊下を歩いていると、話題はいきなりある事へ向けられた。
「………」
カガリのことを言っていることは分かっていたが、正直、そのことに関して答える気は起きない。
それでもディアッカは話題を変える気はないようだった。
「…どうって何が」
「だってあれからずっと一緒にいるところ見かけないしさ、お前とカガリちゃん」
「………」
…あれからカガリと会うこともなく、5月に入った。
キャンパスは広いから、学部が違えばなかなか会うことはない。
遠目であの金色の髪を何度か見かけた程度で、もちろん俺は声をかけなかった。
カガリは本当に友達がたくさんできたみたいだった。
男女問わず、何人もの友人と歩いてるところを見た。
…嫉妬に狂いそうな自分を抑え、目を伏せるしかできなかった。
幸い、俺とカガリに関する噂は聞こえてこない。
これからもこの距離を保っていけば煙が立つことはないし、カガリは大学で過ごしやすくなる…。
「こんなこと聞くのもなんだけど…」
ディアッカがめずらしく質問を躊躇した。
「もしかして別れちまったのか?」
「…は!?」
意味のわからない言葉を投げられて、俺は思わず声をあげた。