恋唄 第2話
『お前の姫は預かった。返してほしくばシモンズ女史の課題レポートをうちに持って来い』
入学式の夜、ディアッカから届いたメールを見て
俺は勢いよく立ち上がった。
カガリ!?
なんでディアッカのアパートなんかに…!
昼間カガリを追いかけなかったことを
酷く後悔した。
【恋唄 第2話】
「はぁっ…はぁっ…」
「じ…実にお早いお着きで…;(レポートは…って、それどころじゃねーか)」
ディアッカのアパートに着くと、その部屋の主は汗をかきながら不自然に丁寧な言葉になっていた。
その態度になんだか嫌な予感がする。
「カガリは!?」
「いや、お前にメール送った直後に、その…彼女お酒飲んじゃって…」
「酒!?飲ませたのか!?」
畳み掛けるように俺が聞くと、横からルナマリアが答えた。
「ち、違うよアスラン。ジュース渡したんだけど、間違えてテーブルに置いてあったカクテル飲んじゃったみたい…」
「そうそう。一気飲みして、なんか…あんな感じに」
ディアッカが指差した先を見ると…
カガリはテーブルの一番端っこで、普通に座っていた。
なんだ、よかった…
寝たり酔いつぶれたりしてないな。
「カガリ…」
俺は近付いて声をかけたが、カガリに反応がない。
目線が全く動かないのだ。
「……カガリ?」
よく見ると、紅い顔をして、目はかろうじて開いているものの虚ろになっている。
周りの声も一切聞こえてないみたいだった。
「ちょ…っカガリ!?」
「酒が回ったらスイッチ切れたみたいに放心状態になっちゃってさ。これたぶん朝まで戻らねーぞ」