恋唄 第11話



一人で泣いているカガリを抱きしめたくて


アパートを訪ねて
大学を隅から隅まで探して
街中探し回った


カガリは一番ありえない場所にいた

まさかそこにいるなんて、微塵も思わなかった場所



あまりのことに抱きしめることも忘れた






【恋唄 第11話】






「カガリ…?」

「聞いて…アスラン…」

カガリが突然涙をこぼして驚いた。

俺は泣かせるために言ったんじゃない。
カガリの味方でいたくて言った言葉なのに。



「確かに私は、キラが来たとき動揺した…。けど…」


カガリの口から久しぶりに“キラ”という名が出て、情けないけど胸に突き刺さった。
これからキラの話が始まると思うと正直耳を塞ぎたくなる。

でも、カガリは俺に一生懸命なにかを伝えようとしてくれているのが分かって
そんなことはできなかった。


「それはキラを忘れられないからじゃない。ただ…私…っ」



「ただ、アスランに知られたくなかっただけなんだ…!」

「え…?」


何の前触れもなく俺の名前が出てきて訳が分からなくなった。
キラの話に、なんで俺が出てくる…?


「もうとっくにキラのことは吹っ切れたのに…そうやって誤解されたくなかった」


吹っ…切れた……?

キラのことを…?


「まだ引きずってるとか…まだ、好きとか…っ。アスランだけには…」



「そればかり考えて…怖くて、あんなバカなことした…!本当にごめんなさい!」



じゃあ…

カガリが今泣いているのは…


「カ、ガ……」


泣いているのは――――



「……私が好きなのはキラじゃない。私は…」





―――もしも・・・



もしも俺が今

2年前と同じことを言ったなら・・



君はあのときと違う答えをくれるのだろうか

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