恋唄 第8話
どうしたら俺を好きになってもらえるかなんて
もう嫌というほど考えた
結局答えなんて見つからないんだ
ただ俺は
カガリが笑うとたまらなく嬉しいから
その笑顔が翳らないようにするだけ
そんな日々を重ねていく
【恋唄 第8話】
帰国してからは、まるで高校時代のようだった。
校内で会ったら声をかけて
他愛ない話をして
仲間たちに囲まれて
笑い合って。
夏休みに入ればカガリが地元に帰ってしまうことも覚悟してたけど
帰らないって言ってくれて、かなり安心した。
離れたくないから…というより“あいつ”に会ってほしくないから…
もうカガリの心が揺さぶられるのはごめんだ。
『じゃあカガリ、明日な』
『うん、明日!』
打ち上げに行く約束をしたときのカガリの笑顔は
夏の日差しを浴びて、髪も目も輝いていて、カガリらしかった。
最初俺がカガリを誘おうとしたのに
先にディアッカに言われて少しムッとしたけれど。
(おまけにカガリの友達と付き合い始めるなんて油断ならない奴だ)
…明日はカガリとどんな話をしよう。
そんなことを思い描きながら、その夜は眠った。