Vivid Colors 最終話



『そうですか! お2人とも仲直りされたのですね。』

「もう仲直りとかの次元じゃないよ、ラクス!信じられないくらいイチャついてくれちゃってさ!」

『あらあら…』

「まったく、あんなに心配した僕がバカみたいだよ」

『本当に…カガリさんが倒れられたと聞いたときはどうなるかと思いましたわ』

「ごめんね、ラクスにも心配かけちゃって…」

『いいえ、今お2人が笑い合ってらっしゃるのなら何よりですもの!』

「僕はなんか悔しいけどっ」

『ふふふ』




『…ですがキラ、あの例の話は……本当に…?』

「ああ、大丈夫だよ!ラクスは何も気にしなくていいからね」

『キラ…』

「アスランの考えてることくらい、僕もう丸分かりだもん。その辺をつつけば完璧♪ ぜーんぶ僕に任せて!」


そう言って、紫色の瞳は愉快そうに細められた。








【Vivid Colors 最終話】







季節はもうすっかり秋へと移り変わっていた。


アスランは長袖の制服を着て、だんだんと生活感の出てきた大きな邸宅を出て
いつものようにカガリを迎えに行く。
カガリも、いつものように「おはよう!」と朝から元気な笑顔で階段を降りてきて
微笑み合ってから手を繋いで学校へ向かう。

クラスも部活も違う2人が、一緒にいられる時間はそう多くはないので
お互いにこういう何気ない時間を大切にしようとしていた。

そんな風に登校する2人の雰囲気は、毎日全校生徒の顔を紅くさせたのだった。




――――以前と大きく変わったことと言えば、昼休みの過ごし方だった。

もう2人で非常階段で食べることはなくなった。
カガリはアスランのクラスに遊びに来て、ミリアリアと2人でお昼を食べるようになったのだ。
そして、残されたアスランとディアッカが一緒に食べることになって…

最初は4人で食べようと声をかけたのだが「女同士で話したいことがある」と言われて
男2人は拒否されてしまったのである。
アスランは少し寂しさを感じながらも
同じ教室の窓際で、楽しそうにミリアリアと談笑しているカガリを優しい瞳で見つめていた。



しかし、あの非常階段がアスランとカガリにとって特別な場所であることは変わらず…
放課後、部活が始まるまでの少しの時間を、そこでキスを重ねたりしながら過ごしていた。



「部活行きたくないな…」

立ったまま長めのキスを終えた後、アスランは金色の髪にもキスを贈って呟いた。
背中から壁にもたれかかって、カガリを引き寄せるように抱き締めながら。

これは、夏休み中に裏庭でキスしたとき以来の、アスランのお気に入りの体勢だった。

「バカ…キャプテンが何言ってるんだ」

「キャプテンって言っても…部活中もカガリのことで頭がいっぱいなんだけど」

「もう!そんなこと言ってると、試合でキラにこてんぱんにされるぞ…っ」

「…大丈夫、キラだけには絶対負けないよ。必然的にカガリが懸かった勝負になるしな…」

「ふえ??」

「なんでもない…」

くすくすと笑いながら、アスランは抱き締める腕を強くした。
そのまま目を閉じて…お互いに穏やかに流れる時間を感じて…


そこで、ふとカガリは思うところがあり、顔を上げてアスランの瞳を見つめた。

「…なぁ」

「ん?」

「アスランって…何か欲しいものとかあるか?」


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