Vivid Colors 第11話



もう一度
俺が望んでいることを、伝えたいと思った。
今は無理でも、少しずつカガリに分かってほしいと思った。

このどうしようもない想い

…君を抱きたいと。


けど…どんな風に伝えようとしても、きっとカガリは軽蔑する。
カガリの性に対する嫌悪は残ったままだ。
額に触れただけで、あんなにも張り詰めていた…。





身体を重ねることが全てじゃない・・そんなことは分かっている。
手を繋いで歩けるだけで、十分幸せだということも・・。


でもやっぱり…カガリの全部に触れたいんだ。
心も躰も、全部欲しい。


こんなことばかり考える俺は、間違っているのか―――







【Vivid Colors 第11話】







アスランの指にはまだ、さっきのカガリの髪の感触が残っていた。

額にキスしたとき、カガリの身体が大きく震えた振動さえも。


暗闇に包まれるアスランの自室。
電気が消えているのは、別に今から寝ようとしているわけではなくて
つける気にもなれなかったからだった。

カガリの部屋を離れてから、自分の部屋に来て
ベッドの上で、何をするわけでもなくただボーっと仰向けになっている。



眠れるわけがない。

カガリが同じ屋根の下にいるのだ。
明らかにサイズの合わない自分のTシャツを着て、今カガリは眠っている。


そんなことを考えるだけで、もう・・・ダメだ。
すごく情けないけれど――――






‘………ラン…’


「?」

ふと、どこかから何か聞こえたような気がして
アスランは意識を現実に戻した。


「……アスラン…」

「!!!」


それはカガリの声だった。
ドアの外からの声。

「カ…カガリッ!?」

思わずベッドから落ちそうになり、ガタンと大きな音を立てながらも
アスランはドアへ向かった。
しかし、

「ま…っ、待って!!!」

カガリの大きな静止の声によって、ドアノブにかけようとした手は止められた。



「お願い、待って…!! 開けないでこのまま…聞いて………っ」



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