海の向こう 後編
――――愛しいのに
どうすることもできない…想いがある。
あれから2年たった今でも。
【海の向こう 後編】
部屋に入ってカバンを放り投げると、アスランは乱暴にベッドに腰を下ろした。
拳に力が入る。
「っ……くそ…」
何より、情けない自分に腹が立った。
『…あんまり傷作るようなことするな。女なんだから…』
『私だって…っ好きで作ってるわけじゃ…ないっ……!』
先ほどカガリに言った言葉ばかりが、アスランの中で何度も繰り返されていた。
包帯が巻かれたカガリの手首に…とても平常心ではいられなかった。
カガリの声は震えていた…。
2年前、カガリの身体に消えない傷をつけたのは、俺なのに。
それを引っ張り出すような真似をして、心まで傷つけたんだ。