境界線



いつも一緒にいる俺と君。



“恋人”ではない。

“幼馴染”というほど、昔からの付き合いではない。

“友人”という、ありふれた浅いものでもない。




『…カガリみたいなやつ初めてだ。きっと俺、カガリ以上の友達はもうできないな。』

中学2年のとき、俺が彼女に言った言葉だった。



――――俺達の関係を言葉に表すなら、きっと・・・“親友”なんだろう。






【境界線】







「アスラン!ちょっとこれ提出してくるから、昇降口で待っててくれないか?」


カバンとプリントを抱えながら、カガリがとことこ近づいてきた。
なんでもない放課後の風景。
その仕草が可愛らしくて、自然と顔が緩んでしまう。

「ああ、わかった」

「クレープ食べて帰ろうな!」

「今日もか? ほんと好きだな、カガリは」

「いいだろ別に! じゃあ後でなっ」


そう言ってカガリが元気良く教室を出て行くと、自分も帰る支度を始めた。


一緒に帰るのはいつものこと。
カガリと出逢ってから3年、自然と毎日続いていることだった。


そこに、近くにいた同じクラスのカップルが声をかけてきた。

「なんかお前ら見てるとさー、男女間の友情って成り立つんだって思えてくるよ。」

「ほんと。いつも仲いいわよね」


中等部からの持ち上がりが多いこの高校では、
俺とカガリが固い友情で結ばれていることは皆が知っていた。

最初は恋人同士だと勘違いするが、カガリがあっさり「親友だ」と答えるため
そのサバサバした様子に恋人のような甘さが感じられず、みんな納得したらしい。


「…ああ」

思う処は色々あるものの、素直に微笑ましいと感じてくれているクラスメートに
当たり障りの無い笑顔で応えた。

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