朔月転生 第3話
あの頃、俺が欲しかったものは一体何だったんだろう
意味もなく女遊びして
親友をないがしろにして
彼女をズタズタに傷つけて…
得たものなんて何もない
…記憶を失うことと生まれ変わることは同じじゃなかった
俺はアスラン・ザラなんだから
【朔月転生 -サクヅキテンセイ- 第3話】
「カガリは、君の恋人なんだよ…」
―――三日月が照らす街の片隅、キラは大学に入ってからのことを語り始めた。
大学に入って、君がカガリに一目ぼれしたんだよ。
よく3人で遊んで、カガリも君を好きになっていって…
1年の夏から付き合い始めたんだ。
仲良かったんだよ、ほんと…。
君は心からカガリを守ってるって感じで、見てるだけで想い合ってるのが分かって―――
今回のことで一番傷ついてるのはカガリなんだよ。
もうこれ以上カガリを苦しめるようなことはしないで…
お願いだよ、アスラン――――
キラの話を聞いて、俺は嘲笑った。
面白い。
絵に描いたような優等生男だった俺に、まさか彼女がいたなんて。
しかも相手は、自分の言葉も言えないような女…
こんな愉快なことがあるか…?
退屈しのぎに丁度いい。