オチのない話(SSまとめ)
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鈴音と斉藤が斗南での再会を果たしてから数日後のこと。いつも通り勤めに戻っていた斉藤は、久々の労働で疲れ果てた身体を引きずりながら長屋へと戻って来た。この数日間は数年ぶりの再会ということもあり、相当好き放題してしまった自覚があった彼。相当身体を酷使した彼女は完全にへばっていた。
だが扉の隙間から温かい灯りや食欲をそそる匂いが漏れ出ているのを感じて、彼はようやく『日常』が戻ってきたのであろうことを実感する。新婚だというのに、『日常が戻った』とは表現がおかしいかもしれない。それではまるで京にいた時分から結婚していたと思っていたかのようだ。自分の心に一人突っ込みながらも彼は引き戸を開ける。するとちょうど煮炊きをしていたらしい鈴音が笑顔で口を開いた。
「ハジメさん、お帰りなさい!」
彼女からすればあまりに当たり前の声かけに、一瞬面食らう斉藤。新撰組として仲間たちと共同生活を送っていた頃は当たり前だった言葉も、斗南に来てからはすっかり馴染みの薄い言葉になっていた。
「……どうしたの?」
彼の反応に訝しげな表情を作る鈴音。ふと京にいた頃、原田が口にしていた『家に帰って妻がいるというのも悪くない』という言葉に少しだけ同意する。孤独に耐えられるタイプだと勝手に思っていたが、案外心は寂しがっていたのかもしれない。もちろん、そんな言葉を素直に口にするのは彼にとっては至難の業だった。
「いや?たでーま。俺がいねえ間、なんかおかしなことなかったかよ?」
「ええ。大丈夫だったわ。今日はご近所さんに挨拶して回ったの。皆さん、いい方ばかりね!」
あれだけ抱き潰してやったのに、元気に挨拶まわりする体力が残っているとは。もう少しいじめてやっても良さそうだ。彼女の体力と行動力に少しだけ関心しながらも、草履を抜いだ彼は荷物を置き、畳の上で楽な姿勢を作った。
「貴方は?久々のお勤めだったから疲れたんじゃない?」
「本当そうな。特に独身男が当たってくるのなんの。」
「ふふ、斉藤くんだったらそういうのはなさそうよね。一人のが楽だろ、くらいに構えてそうだわ!」
「へぇへぇ。こう見えて俺だって、家に誰かいるっつぅのも悪かねぇなと思ってたのによ〜。」
「……解釈違いだわ。」
そう言って振り向いた彼女は、京にいた頃、幾度と見た光を失った瞳を斉藤の方へ向ける。だがもちろん本気でそうは思っておらず、「冗談よ。」とすぐさま彼女は笑った。彼も呆れながらも、しばらくはこのやりとりをする度に感慨深くなりそうだ、と苦笑する。
「でも……なんだか、少し今のハジメさんの気持ちが、わかるような気がするのよ?」
そう言って茶碗に米をつぎ出した彼女の頬は少しだけ赤い。彼女がそういう顔をすると、自分の中にあった気恥ずかしい感覚もなくなるのだから不思議なものだ。そう思いつつ、ニヤけた顔を作った斉藤は続ける。
「へぇ。えらい大きく出たな。言ってみろよ。」
「なんだかそう言われると自信なくなって来ちゃったわぁ……」
「そういうのいーから。」
彼女の困った顔に満足した彼は続きを促す。お互いもうなんでも知ってる仲なのに。と彼女を追い込みそうな言葉は、今はつぐんだ。
「なんだか、本当に夫婦になったんだって実感したというか。さっきおかえりって言った時、私、貴方の帰る場所になったんだな、ってそう思って嬉しくなったの。」
「実感遅くね?」
「それは……ちょっと怒涛の毎日だったから……」
「ほー。どう怒涛だったんだよ?」
彼女の言葉に内心は同意しながらも、おそらくそれを口にするのは彼女にとって『解釈違い』だろう、と自分のいいように考えた彼。妙に突っ込まれても面倒だ、とすぐさま彼女を揶揄う方にシフトし始める。
「それは……貴方が一番分かってるんじゃないの?」
「口にしてもらわねぇとどれのことだかさっぱりわかんねぇな〜。」
十中八九、昼も夜も抱かれた時のことを指しているだろうが、そんなことはもちろん忘れたふりをした斉藤。彼女が素直なおかげでこうしてお互いの気持ちを確かめ合えることだけは感謝し、しばらくの間、懐かしいやりとりを続けたのだった。
こういう場面の夢主は素直なので、彼女の言葉を聞いてハジメちゃんが「だよな」と納得しているといいですね。言語化は全て夢主に任せていくハジメちゃんです。仲間と別れた後、斗南で一人過ごしていたらきっと人恋しくなっていたんじゃないでしょうか……史実は全く違うと思いますが。
だが扉の隙間から温かい灯りや食欲をそそる匂いが漏れ出ているのを感じて、彼はようやく『日常』が戻ってきたのであろうことを実感する。新婚だというのに、『日常が戻った』とは表現がおかしいかもしれない。それではまるで京にいた時分から結婚していたと思っていたかのようだ。自分の心に一人突っ込みながらも彼は引き戸を開ける。するとちょうど煮炊きをしていたらしい鈴音が笑顔で口を開いた。
「ハジメさん、お帰りなさい!」
彼女からすればあまりに当たり前の声かけに、一瞬面食らう斉藤。新撰組として仲間たちと共同生活を送っていた頃は当たり前だった言葉も、斗南に来てからはすっかり馴染みの薄い言葉になっていた。
「……どうしたの?」
彼の反応に訝しげな表情を作る鈴音。ふと京にいた頃、原田が口にしていた『家に帰って妻がいるというのも悪くない』という言葉に少しだけ同意する。孤独に耐えられるタイプだと勝手に思っていたが、案外心は寂しがっていたのかもしれない。もちろん、そんな言葉を素直に口にするのは彼にとっては至難の業だった。
「いや?たでーま。俺がいねえ間、なんかおかしなことなかったかよ?」
「ええ。大丈夫だったわ。今日はご近所さんに挨拶して回ったの。皆さん、いい方ばかりね!」
あれだけ抱き潰してやったのに、元気に挨拶まわりする体力が残っているとは。もう少しいじめてやっても良さそうだ。彼女の体力と行動力に少しだけ関心しながらも、草履を抜いだ彼は荷物を置き、畳の上で楽な姿勢を作った。
「貴方は?久々のお勤めだったから疲れたんじゃない?」
「本当そうな。特に独身男が当たってくるのなんの。」
「ふふ、斉藤くんだったらそういうのはなさそうよね。一人のが楽だろ、くらいに構えてそうだわ!」
「へぇへぇ。こう見えて俺だって、家に誰かいるっつぅのも悪かねぇなと思ってたのによ〜。」
「……解釈違いだわ。」
そう言って振り向いた彼女は、京にいた頃、幾度と見た光を失った瞳を斉藤の方へ向ける。だがもちろん本気でそうは思っておらず、「冗談よ。」とすぐさま彼女は笑った。彼も呆れながらも、しばらくはこのやりとりをする度に感慨深くなりそうだ、と苦笑する。
「でも……なんだか、少し今のハジメさんの気持ちが、わかるような気がするのよ?」
そう言って茶碗に米をつぎ出した彼女の頬は少しだけ赤い。彼女がそういう顔をすると、自分の中にあった気恥ずかしい感覚もなくなるのだから不思議なものだ。そう思いつつ、ニヤけた顔を作った斉藤は続ける。
「へぇ。えらい大きく出たな。言ってみろよ。」
「なんだかそう言われると自信なくなって来ちゃったわぁ……」
「そういうのいーから。」
彼女の困った顔に満足した彼は続きを促す。お互いもうなんでも知ってる仲なのに。と彼女を追い込みそうな言葉は、今はつぐんだ。
「なんだか、本当に夫婦になったんだって実感したというか。さっきおかえりって言った時、私、貴方の帰る場所になったんだな、ってそう思って嬉しくなったの。」
「実感遅くね?」
「それは……ちょっと怒涛の毎日だったから……」
「ほー。どう怒涛だったんだよ?」
彼女の言葉に内心は同意しながらも、おそらくそれを口にするのは彼女にとって『解釈違い』だろう、と自分のいいように考えた彼。妙に突っ込まれても面倒だ、とすぐさま彼女を揶揄う方にシフトし始める。
「それは……貴方が一番分かってるんじゃないの?」
「口にしてもらわねぇとどれのことだかさっぱりわかんねぇな〜。」
十中八九、昼も夜も抱かれた時のことを指しているだろうが、そんなことはもちろん忘れたふりをした斉藤。彼女が素直なおかげでこうしてお互いの気持ちを確かめ合えることだけは感謝し、しばらくの間、懐かしいやりとりを続けたのだった。
こういう場面の夢主は素直なので、彼女の言葉を聞いてハジメちゃんが「だよな」と納得しているといいですね。言語化は全て夢主に任せていくハジメちゃんです。仲間と別れた後、斗南で一人過ごしていたらきっと人恋しくなっていたんじゃないでしょうか……史実は全く違うと思いますが。
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