1分間(糸師冴×夢主)

コンコン

「入れ」
奥から冴の声が聞こえたので夢主は恐る恐るドアを開けた。
「失礼します……」
部屋に入ると椅子に座っている冴が目の前にいた。
「遅い」
冴は不機嫌な表情で言った。
「す、すみません……道に迷いました」
(ここのホテルの入り口を教えてくれれば迷子にならずに済んだのに……何回ウロウロしたんだろう?)
「お前が迷子になったせいでオレとの面会時間が何分になった? 言ってみろ」
「……1分です」
「そうだ。あと30秒」
冴が肘置きをコンコンと叩く。
「えーっと、えっと、冴さんお誕生日おめでとうございます! これからも応援しています!」
「…………」
(えぇっ、無言!? ど、どうしよう……ほ、他に何か言わないと……!)
「おい」
「は、はい!?」
「そのキーホルダー。前は付いてなかったな」
冴は夢主のカバンに付いているキーホルダーを指差した。
「えっ? あ、あぁこれですか? 昨日ゲーセンで取ったやつです」
「……そのキーホルダーで許してやる」
「…………はい?」
「遅刻した罰だ。次遅刻したらどうなるか、考えて行動しろ」
冴は椅子から立ち上がり、夢主のカバンに付いているキーホルダーを外した。
(あぁ、天井5000円いったキーホルダーが……!)

「―お揃いにしろ。いいな?」

夢主の耳元で冴が囁く。
「さ、冴さん……?」
「時間だ。帰りは左のエレベーターで外に出れる」
「! ありがとうございます。お、お邪魔しました!」
夢主は一礼した後、急ぎ足で部屋を出た。


「…………コイツ何だ? クマか?」
夢主からもらった(?)キーホルダーを冴はつんつんとつつきながら呟いた。

*

「はぁ……はぁ……っ!」
(さ、冴さんにあんなこと言われたら……やらなくちゃいけないじゃん……!)
夢主は全速力で昨日寄ったゲームセンターへと向かって行った(終)
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