内緒の帰り道(氷織×夢主)
「―施錠よしっ」
サッカー部のマネージャーを務めている夢主は部室の扉を施錠した後、鍵を管理人室に返却しに向かった。
(……練習試合が明後日だからみんないつにも増して動きが凄かったなぁ。凪さんもやる気になってたし……)
部室の鍵を返却した後、夢主はポケットに入れていたスマホを取り出しメッセージアプリを開く。アプリを開くと未読欄に各選手のマネージャー達からの連絡事項が多数表示されていた。
(……めっちゃある。電車待ってる時に見よう)
スマホを見ながら夢主は校門へ向かって歩いていると「夢主、歩きスマホは危ないよ」と声をかけられた。
「! 氷織さん」
目の前ににこっと笑みを浮かべた氷織が立っていた。
「あれ? 皆さんと帰ったんじゃ……」
「ううん。夢主1人で帰らすのは危ないから待ってたんだ。一緒に帰ろう」
「えっ……あ、ありがとうございます……」
「いいって。夢主と2人きりで話したいって思ってたのもあるから」
氷織は言いながら夢主の隣に並ぶ。
「あー言われてみれば氷織さんと2人きりは初めてですね」
「うん。夢主が思っている以上にみんな夢主のこと気にしてるんだよ。まぁ、みんな口下手だから
気づかないと思うけど。
ところでさ、夢主は誰かの専属マネージャーにはならないの?」
氷織が歩みを止めて尋ねた。
夢主は1人の選手の専属マネージャーにならず、フリーのマネージャーとして動いている。
「そ、それは……その……私はサッカー知識が他のマネージャーよりもないし、運動も得意じゃないから……で、でも誰かの手助けはしたいんです。かと言って専属マネージャーになっても選手の力になれる自信がなくて……」
「それは夢主次第だよ。このまま現状維持するか、変わろうとするか。僕は変わろうとする夢主が見たいな」
氷織が夢主の手を握った。
「ひ、氷織さん……?」
「やってみない? 僕の専属マネージャー」
「えっ?」
「もちろん夢主の意思を尊重する。でも急かすようで申し訳ないけど明後日の練習試合で、みんな夢主のフォローの有り難さを知るきっかけになる。練習試合が終わったら専属マネージャーにならないか声かけられるよ。僕やみんなも夢主の頑張りは見てないようでちゃーんと見てるから」
ギュッと氷織の握る力が強くなった。
「ごめんね、急にあれこれ言っちゃって。でも僕なら夢主の力になれる。それだけは知ってほしくて帰りを待ってたのもあるんだ」
「氷織さん……」
「あっ、電車のこと忘れてた。今から走れば間に合いそう。走るけど大丈夫?」
「は、はい……大丈夫です」
「繋いだ手は離さないから安心して。じゃあ行くよ」
氷織は夢主の手を握りながら走り出した。
夢主も彼の手を離さないようギュッと握りながら一緒に走った。
*
翌日の練習後。
(……明日は練習試合。この調子なら問題ないね)
氷織は制服に着替えて部室を出た。
「あ、あの、氷織さん!」
夢主が後ろから声をかけてきた。
「あぁ、夢主。お疲れ様。今日もフォローありがとね」
「い、いえ……あの、氷織さん。お話したいことがあるんですけど……今大丈夫ですか?」
恥ずかしがる夢主を見て氷織は笑顔で答えた。
「いいよ」
(今日も可愛いなぁ、夢主。僕の傍にずっといてほしい)
(終)
サッカー部のマネージャーを務めている夢主は部室の扉を施錠した後、鍵を管理人室に返却しに向かった。
(……練習試合が明後日だからみんないつにも増して動きが凄かったなぁ。凪さんもやる気になってたし……)
部室の鍵を返却した後、夢主はポケットに入れていたスマホを取り出しメッセージアプリを開く。アプリを開くと未読欄に各選手のマネージャー達からの連絡事項が多数表示されていた。
(……めっちゃある。電車待ってる時に見よう)
スマホを見ながら夢主は校門へ向かって歩いていると「夢主、歩きスマホは危ないよ」と声をかけられた。
「! 氷織さん」
目の前ににこっと笑みを浮かべた氷織が立っていた。
「あれ? 皆さんと帰ったんじゃ……」
「ううん。夢主1人で帰らすのは危ないから待ってたんだ。一緒に帰ろう」
「えっ……あ、ありがとうございます……」
「いいって。夢主と2人きりで話したいって思ってたのもあるから」
氷織は言いながら夢主の隣に並ぶ。
「あー言われてみれば氷織さんと2人きりは初めてですね」
「うん。夢主が思っている以上にみんな夢主のこと気にしてるんだよ。まぁ、みんな口下手だから
気づかないと思うけど。
ところでさ、夢主は誰かの専属マネージャーにはならないの?」
氷織が歩みを止めて尋ねた。
夢主は1人の選手の専属マネージャーにならず、フリーのマネージャーとして動いている。
「そ、それは……その……私はサッカー知識が他のマネージャーよりもないし、運動も得意じゃないから……で、でも誰かの手助けはしたいんです。かと言って専属マネージャーになっても選手の力になれる自信がなくて……」
「それは夢主次第だよ。このまま現状維持するか、変わろうとするか。僕は変わろうとする夢主が見たいな」
氷織が夢主の手を握った。
「ひ、氷織さん……?」
「やってみない? 僕の専属マネージャー」
「えっ?」
「もちろん夢主の意思を尊重する。でも急かすようで申し訳ないけど明後日の練習試合で、みんな夢主のフォローの有り難さを知るきっかけになる。練習試合が終わったら専属マネージャーにならないか声かけられるよ。僕やみんなも夢主の頑張りは見てないようでちゃーんと見てるから」
ギュッと氷織の握る力が強くなった。
「ごめんね、急にあれこれ言っちゃって。でも僕なら夢主の力になれる。それだけは知ってほしくて帰りを待ってたのもあるんだ」
「氷織さん……」
「あっ、電車のこと忘れてた。今から走れば間に合いそう。走るけど大丈夫?」
「は、はい……大丈夫です」
「繋いだ手は離さないから安心して。じゃあ行くよ」
氷織は夢主の手を握りながら走り出した。
夢主も彼の手を離さないようギュッと握りながら一緒に走った。
*
翌日の練習後。
(……明日は練習試合。この調子なら問題ないね)
氷織は制服に着替えて部室を出た。
「あ、あの、氷織さん!」
夢主が後ろから声をかけてきた。
「あぁ、夢主。お疲れ様。今日もフォローありがとね」
「い、いえ……あの、氷織さん。お話したいことがあるんですけど……今大丈夫ですか?」
恥ずかしがる夢主を見て氷織は笑顔で答えた。
「いいよ」
(今日も可愛いなぁ、夢主。僕の傍にずっといてほしい)
(終)
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