─ 初めての告白
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夜。
着替えを終えた主人公は、自室で一人、ベッドに腰掛け読書をしていた。
「……暑い」
昼間は何ともなかった。
それなのに、時間が経つにつれて身体が妙に熱くなっている。
頬も熱い。
頭がぼんやりする。
「なんだろ……これ」
体調を崩したのかと思い、窓を開けてみる。
冷たい夜風が頬を撫でる。
それでも。
「……暑い」
少しも楽にならない。
むしろ身体の奥に籠もった熱は、時間が経つほど強くなっているような気がした。
一人でいるのも、なぜか落ち着かない。
誰かに会いたい。
そんな気持ちが妙に強くなっていく。
「……外、行こう」
冷たい風に当たりながら歩けば、少しは楽になるかもしれない。
主人公は部屋を出た。
夜の廊下。
主人公は壁に手をつきながら、ゆっくり歩いていた。
身体が熱い。
頬が火照って、頭もぼんやりしている。
「……なんで、こんな……」
原因が分からない。
ただ、誰かに会いたい。
一人でいることが怖い。
そして角を曲がった瞬間──
「わっ」
『おっと!』
誰かとぶつかった。
倒れそうになった身体を、大きな手が咄嗟に支える。
「……ラビ?」
『主人公か。大丈夫さ?』
顔を上げる。
そこにいたのはラビだった。
けれどラビは、主人公の顔を見るなり表情を変えた。
赤くなった頬。
潤んだ緑色の瞳。
浅い呼吸。
明らかに昼間とは様子が違う。
『……お前、どうしたんさ?』
「ラビ……」
『顔、真っ赤さ』
「そう? なんか……暑くて……」
『熱でも──』
額へ手を伸ばしかけて。
ラビが止まる。
ふと、昼間の会話が頭をよぎった。
──《さっき科学班で、試作品の液体をかぶっちゃって》
『……待って』
「?」
『昼間のやつ』
「昼間……?」
『科学班で薬かぶったって言ってただろ』
主人公がぼんやり瞬きをする。
「あ……うん……」
ラビの顔つきが変わった。
『それからこうなった?』
「分かんない……。最初は、なんともなかったんだけど……」
『……やっぱあれじゃねーの』
ラビが小さく舌打ちする。
『だから科学班の《大丈夫》は信用ならねーって言ったさ……』
「ラビ……?」
『医務室行こう』
「でも……」
『原因分かんねーんだから診てもらった方がいい』
ラビが主人公の身体を支える。
その瞬間。
主人公が無意識にラビへ身体を寄せた。
『…………』
ラビの胸の奥が大きく鳴る。
──綺麗だ。
そう思ってしまった。
いつもなら絶対に見せないような、無防備な表情。
けれど。
今の主人公は正常じゃない。
ラビはすぐに視線を逸らした。
『……主人公。ちょっと離れるさ』
「やだ……」
『え?』
ラビの服を、主人公の指が掴む。
「行かないで」
『…………』
不安そうな緑色の瞳が、自分だけを見上げている。
ラビの胸が大きく鳴った。
──ずっと好きだった。
一人で歌う彼女を見つけた日から。
隣で歌を聞かせてもらった夜から。
仲間と笑っている彼女を見て、嬉しいと思った日から。
何度も何度も、自分に言い聞かせてきた。
──好きになってはいけない。
自分はブックマンだから。
だからこそ。
今の彼女につけ込むようなことだけは、したくなかった。
『……ごめん、主人公』
「……?」
『俺、科学班呼んでくるから。ここで待って──』
「いや」
服を掴む指に力が入る。
「ラビ……行かないで」
『…………っ』
縋るように名前を呼ばれて、ラビは苦しそうに目を閉じた。
振り払わなければならない。
頭では、そう分かっていた。
けれど。
「……ラビ」
もう一度名前を呼ばれた瞬間、ラビはその手を拒めなかった。
着替えを終えた主人公は、自室で一人、ベッドに腰掛け読書をしていた。
「……暑い」
昼間は何ともなかった。
それなのに、時間が経つにつれて身体が妙に熱くなっている。
頬も熱い。
頭がぼんやりする。
「なんだろ……これ」
体調を崩したのかと思い、窓を開けてみる。
冷たい夜風が頬を撫でる。
それでも。
「……暑い」
少しも楽にならない。
むしろ身体の奥に籠もった熱は、時間が経つほど強くなっているような気がした。
一人でいるのも、なぜか落ち着かない。
誰かに会いたい。
そんな気持ちが妙に強くなっていく。
「……外、行こう」
冷たい風に当たりながら歩けば、少しは楽になるかもしれない。
主人公は部屋を出た。
夜の廊下。
主人公は壁に手をつきながら、ゆっくり歩いていた。
身体が熱い。
頬が火照って、頭もぼんやりしている。
「……なんで、こんな……」
原因が分からない。
ただ、誰かに会いたい。
一人でいることが怖い。
そして角を曲がった瞬間──
「わっ」
『おっと!』
誰かとぶつかった。
倒れそうになった身体を、大きな手が咄嗟に支える。
「……ラビ?」
『主人公か。大丈夫さ?』
顔を上げる。
そこにいたのはラビだった。
けれどラビは、主人公の顔を見るなり表情を変えた。
赤くなった頬。
潤んだ緑色の瞳。
浅い呼吸。
明らかに昼間とは様子が違う。
『……お前、どうしたんさ?』
「ラビ……」
『顔、真っ赤さ』
「そう? なんか……暑くて……」
『熱でも──』
額へ手を伸ばしかけて。
ラビが止まる。
ふと、昼間の会話が頭をよぎった。
──《さっき科学班で、試作品の液体をかぶっちゃって》
『……待って』
「?」
『昼間のやつ』
「昼間……?」
『科学班で薬かぶったって言ってただろ』
主人公がぼんやり瞬きをする。
「あ……うん……」
ラビの顔つきが変わった。
『それからこうなった?』
「分かんない……。最初は、なんともなかったんだけど……」
『……やっぱあれじゃねーの』
ラビが小さく舌打ちする。
『だから科学班の《大丈夫》は信用ならねーって言ったさ……』
「ラビ……?」
『医務室行こう』
「でも……」
『原因分かんねーんだから診てもらった方がいい』
ラビが主人公の身体を支える。
その瞬間。
主人公が無意識にラビへ身体を寄せた。
『…………』
ラビの胸の奥が大きく鳴る。
──綺麗だ。
そう思ってしまった。
いつもなら絶対に見せないような、無防備な表情。
けれど。
今の主人公は正常じゃない。
ラビはすぐに視線を逸らした。
『……主人公。ちょっと離れるさ』
「やだ……」
『え?』
ラビの服を、主人公の指が掴む。
「行かないで」
『…………』
不安そうな緑色の瞳が、自分だけを見上げている。
ラビの胸が大きく鳴った。
──ずっと好きだった。
一人で歌う彼女を見つけた日から。
隣で歌を聞かせてもらった夜から。
仲間と笑っている彼女を見て、嬉しいと思った日から。
何度も何度も、自分に言い聞かせてきた。
──好きになってはいけない。
自分はブックマンだから。
だからこそ。
今の彼女につけ込むようなことだけは、したくなかった。
『……ごめん、主人公』
「……?」
『俺、科学班呼んでくるから。ここで待って──』
「いや」
服を掴む指に力が入る。
「ラビ……行かないで」
『…………っ』
縋るように名前を呼ばれて、ラビは苦しそうに目を閉じた。
振り払わなければならない。
頭では、そう分かっていた。
けれど。
「……ラビ」
もう一度名前を呼ばれた瞬間、ラビはその手を拒めなかった。
