─ 初めての告白
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昼下がり。
主人公はいつものように、科学班の手伝いをしていた。
『主人公、それこっちに運んでもらっていい?』
「はい」
頼まれた箱を抱え、作業台の横へ運ぶ。
正式な科学班員というわけではない。
けれど人手が足りないときに顔を出しているうちに、いつの間にかこうして雑用を頼まれることが増えていた。
「次は?」
『んー、そこの瓶を棚に──』
科学班員が振り返った、そのときだった。
『あ』
誰かの肘が作業台に置かれていた容器に当たる。
ぐらり、と傾いた。
『主人公、危ない!』
「え?」
振り返った瞬間。
ばしゃっ。
「きゃっ……!」
中に入っていた液体が、主人公の肩から胸元にかけて降りかかった。
『うわっ、ごめん!』
『大丈夫!?』
慌てて科学班員たちが駆け寄ってくる。
「大丈夫です。ちょっとびっくりしただけで……」
主人公は濡れた服を摘まんだ。
わずかに甘いような、妙な匂いがする。
「これ、何ですか?」
『試作品。まだ成分調整中のやつなんだけど……』
「危ないものじゃないんですか?」
『たぶん……』
「たぶん?」
主人公がじっと見つめる。
『いや、毒物とかじゃない! それは大丈夫!』
「ならよかった」
『一応、洗い流した方がいいよ』
「……着替えなきゃ」
『今日はもう手伝い大丈夫だから、着替えてゆっくりしてね』
「分かりました」
『なにかあればすぐ連絡するように!』
「はい」
科学班を出たところで濡れたところを簡単に拭き取りながら、主人公は小さく息を吐いた。
『主人公?』
聞き慣れた声に振り返る。
「ラビ」
向こうから歩いてきたラビが、主人公を見るなり眉を上げた。
『なんか甘い匂いするさ』
「分かる?」
主人公は自分の服の袖を嗅いでみる。
「さっき科学班で、試作品の液体をかぶっちゃって」
『は?』
ラビの表情が変わった。
『お前、それ大丈夫なんさ?』
「大丈夫だよ。危ないものじゃないって」
『科学班の《大丈夫》ほど信用ならねー言葉もないと思うけど』
「ふふっ」
主人公が笑う。
「ちゃんと洗ってくるから」
『なんか変だったらすぐ医務室行けよ?』
「はーい」
軽く手を振り、主人公はそのまま自室へ戻っていった。
ラビはその背中を見送りながら、小さくため息をつく。
『……ほんと大丈夫なんだろうな』
けれど。
このときはラビも、それ以上深く考えなかった。
主人公はいつものように、科学班の手伝いをしていた。
『主人公、それこっちに運んでもらっていい?』
「はい」
頼まれた箱を抱え、作業台の横へ運ぶ。
正式な科学班員というわけではない。
けれど人手が足りないときに顔を出しているうちに、いつの間にかこうして雑用を頼まれることが増えていた。
「次は?」
『んー、そこの瓶を棚に──』
科学班員が振り返った、そのときだった。
『あ』
誰かの肘が作業台に置かれていた容器に当たる。
ぐらり、と傾いた。
『主人公、危ない!』
「え?」
振り返った瞬間。
ばしゃっ。
「きゃっ……!」
中に入っていた液体が、主人公の肩から胸元にかけて降りかかった。
『うわっ、ごめん!』
『大丈夫!?』
慌てて科学班員たちが駆け寄ってくる。
「大丈夫です。ちょっとびっくりしただけで……」
主人公は濡れた服を摘まんだ。
わずかに甘いような、妙な匂いがする。
「これ、何ですか?」
『試作品。まだ成分調整中のやつなんだけど……』
「危ないものじゃないんですか?」
『たぶん……』
「たぶん?」
主人公がじっと見つめる。
『いや、毒物とかじゃない! それは大丈夫!』
「ならよかった」
『一応、洗い流した方がいいよ』
「……着替えなきゃ」
『今日はもう手伝い大丈夫だから、着替えてゆっくりしてね』
「分かりました」
『なにかあればすぐ連絡するように!』
「はい」
科学班を出たところで濡れたところを簡単に拭き取りながら、主人公は小さく息を吐いた。
『主人公?』
聞き慣れた声に振り返る。
「ラビ」
向こうから歩いてきたラビが、主人公を見るなり眉を上げた。
『なんか甘い匂いするさ』
「分かる?」
主人公は自分の服の袖を嗅いでみる。
「さっき科学班で、試作品の液体をかぶっちゃって」
『は?』
ラビの表情が変わった。
『お前、それ大丈夫なんさ?』
「大丈夫だよ。危ないものじゃないって」
『科学班の《大丈夫》ほど信用ならねー言葉もないと思うけど』
「ふふっ」
主人公が笑う。
「ちゃんと洗ってくるから」
『なんか変だったらすぐ医務室行けよ?』
「はーい」
軽く手を振り、主人公はそのまま自室へ戻っていった。
ラビはその背中を見送りながら、小さくため息をつく。
『……ほんと大丈夫なんだろうな』
けれど。
このときはラビも、それ以上深く考えなかった。
