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1章

1
舞と麗玲が連れ戻される形で魔界へと戻ると、すぐに緋皇の元へと呼び出された。
「……成る程。その数百年前の実験が水面下でずっと行われていて、そいつらを使って神帝が動き出したか」
話を聞いて緋皇は呟く。
「だが、まだ本格的に動き出すには時間が掛かりそうだな」
「……少なくとも、一度は完全に止まっていた筈の実験だからな。……その時に、かつての実験の責任者は始末してある。……今は誰が引き継いでいるのか」
「心当たりはないのか?」
風夜の問い掛けに封魔は少し考えてから口を開いた。
「……全くないわけじゃない。あくまでその人物だけだがな」
「他の実験施設とかについてはわからないんだな」
「ああ」
飛影に頷いた封魔に、舞は一言も発さずにいる麗玲を見る。
隼刀と翔月は助けたものの、閻夜と世璃の行方はわからなくなってしまっているからか、表情は優れないように見えた。
2
「そういえば……」
緋皇の部屋を出て廊下を歩いていると 、何か思い出したように隼刀が口を開いた。
「俺達が捕まっている時、何度かデータを取られて何かと比べているような時があったな」
「……俺たち以外の奴等も実験はされていたみたいだが、俺たち四人は特に細かく調べられたな」
「だとしたら」
隼刀と翔月の言葉を聞いて、口を開いたのは封魔だった。
「比べられたのはおそらく数百年前の俺のデータだろうな。……多分、お前らが残され、あの二人が連れていかれたのは……、あの二人のデータが俺を上回ったからだ」
「って、それって放っておいていいの ?」
何でもないように言う封魔に、舞は思わずそう突っ込んだ。
「……放っておくのはまずいだろうな 」
そう言った封魔がチラリと神蘭を見てすぐに視線を逸らす。
「?」
その視線に気付いた神蘭が首を傾げていたが、封魔はそれに構わず続けた。
「……実験に関する資料があるかはわからないが、実験施設の場所くらいならわかるかもしれない場所がある。… …行ってみるか?」
「それがお前の言ってた心当たりか? 」
「ああ」
風夜に頷いて封魔が舞達の方を見てくるのに対し、舞は勿論付いていくというように頷いた。
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