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第1部 再会と出会いの章

1
「……終わった? 」
「ああ」
コウが剣を納め、溜息をついたのを確認し、ユウナは隠れていた木の影から顔を出す。
そして、彼の足下に倒れている魔物が動かないことを確認してから、コウへと近付いていった。
「いつもこんな感じなの? 」
「まあな」
「なら、街の中に住めばいいのに…… 」
頷くコウを見て、ユウナは家を出てから思っていたことをそう口にした。
コウが住んでいる家は森の中にあり、街からは少し離れている。
そして、その森の中には魔物がいる。
買い物に行く度に自分は隠れ、コウが魔物を倒すのを待たなくてはいけないのだろうか。
それとも、街中に住めない理由が何かあるのか。
そんなことを思っていると、前方に街の入り口であろう門が見えてきた。
2
街の中に入り、コウがいつも買い物にきているという市場へ向かう。
着いた市場は大きく、人で賑わっている。
幾つかの店を見たところで、ユウナは 大きく目を瞬いた。
「異世界って言っても、売ってる食べ物は変わらないんだね」
「ああ。此処、リアフィースはな。そのお陰で食べる物には困らないからいいけどな」
両手に林檎を持ち、品定めをしながらコウが言い、その様子を見てユウナは思わず、笑いを零した。
「何だよ? 」
「ふふ。だって、お兄ちゃん……、そうやってるの似合わない」
気付いて視線を向けてきたコウに、ユウナはそう返す。
「似合わないってお前な……」
「冗談だよ」
そう返して、ユウナは再び笑う。
五年前に失ったと思っていた家族の内 、まだコウとしか再会出来ていないが 、こうやって過ごす事が出来て嬉しかった。
3
「コウ」
買い物を終え、帰ろうとした所で呼び止める声がして、足を止める。
ユウナが視線を向けると、一人の少女が少し離れた所に立っていた。
「ちょっと此処で待ってろ」
そう言って、コウは少女へ駆け寄って行く。
ユウナが言われた通りにその場で待ちながら、二人を見ると何やら真剣な表情で話をしている。
それでもそんなに長い話ではなかったのか直ぐに別れて、コウは戻ってきたが、その表情は険しく何を話していたのか気になった。
「何かあったの? 」
「ああ。ちょっとな、仕事が入ったんだよ」
「仕事? 」
「まぁ、今日からって訳ではないからな。……そろそろ帰るぞ」
そう言って、コウは歩き出す。
彼の言う仕事が何なのか知りたかったが、今は話してくれないだろうと思い 、ユウナも後を追うように歩き出した 。
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