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第1部 再会と出会いの章

1
コウとジンが剣を交えてどの位時間が経ったのかはわからないが、ユウナはただその間、その場に座り込んでいた 。
正直、今までで一番混乱している。
(私……、お兄ちゃん達の妹じゃないんだ。私は……)
「ユウナ!」
「!!」
不意に近くから聞こえたコウの声、抱き抱えられ飛び退いた後、感じた異常な暑さに我に返る。
見ると、先程までユウナがいた場所で火柱が立っていた。
「今のはっ……!」
「……正直、これは使いたくなかったんだけどな」
ジンの声に彼を見る。
いつの間にか、彼の大剣は火に包まれていた。
「えっ?」
「どうなってるんだ?」
「これが気になるか? 」
ユウナとコウの視線に気付いたのか、自身の大剣へ目を向ける。
「これは術ではないさ。そもそも俺には使えない。だけどな」
そう言ってジンは剣を持つ手の手首を指した。
そこには赤い珠のはめられた腕輪がつけられていた。
「この珠の力で俺は炎が扱える。この珠も全員が使えるようではないみたいだが、幸い俺は適合者でな」
大剣の纏う炎が大きさを増す。
放たれた炎はユウナとコウの間に向かってきて、ユウナはコウに思いっきり突き飛ばされた。
「痛っ……」
突き飛ばされた際、受け身が上手くとれなくて思いきり地面に倒れこむ。
「……これで終わりだ」
身体を起こすのと同時にジンの声が聞こえ、自分に迫ってくる炎も見える。
「くそっ……」
その時、コウの声も聞こえ、目の前が暗くなる。
何かに無理矢理押し付けられているような感覚の後、呻き声が聞こえ、何かが焼けるような音と匂いがした。
2
「えっ? 」
押し付けられている感覚がなくなると同時に、何かが倒れる音がする。
それが何なのか視線を向けて、ユウナは目を見開いた。
「コウ……お兄ちゃん……」
地に倒れている彼を起こそうとして、その背が酷く焼けているのに気付く。
それを見て、自分が庇われたということがわかった。
「コウ、お前……」
ユウナ達の周囲を囲っている炎の外からジンの声が聞こえてくる。
そんな彼の声も、まだ消えていない火も今は気にならない。
ただ倒れているコウを見ていると、薄らと目を開いているのがわかった。
「お兄ちゃん! 」
「……無事……か?」
「うん。お兄ちゃんが助けてくれたから……」
「そう、か……」
ユウナが返した言葉にほっとしたように言い、周囲の炎へ視線を向ける。
「……いつまでも此処にいるのはまずいな。早く脱出しないと……」
そう言い、起き上がろうとしたようだったが、背中が痛むのか呻いて再び倒れ込んだ。
「……うっ」
「お兄ちゃん! 」
「……っ……、無理だな、動けそうにない。お前だけ行け」
その言葉にそんなこと出来るわけないとユウナは首を横に振った。
そして、炎の外にいるジンに向かって叫んだ。
「ジンお兄……、ううん、ジンさん!この炎、ジンさんが操っているんでしょう!早く消して! 」
「……無理だ」
「どうして? 」
返ってきた答えに、更に声を上げる。
「殺したいのは、私なんでしょう?このままじゃ、私じゃなくて……」
「……無理なものは無理なんだよ。… …消せないんだ。俺は術を使っているわけじゃないから」
「そんな……」
「……水の属性の術師か、雨でも降らないと……」
徐々にだが、迫ってくる炎と空を見上げる。
雨が降る気配はない。
水の術師にも心当たりはない。
(……誰か、誰でもいいから。お兄ちゃんを……助けて!それが無理なら、私に力を……!)
そう思った瞬間、自分の中で何かが目覚め、弾けた気がした。
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