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第1部 再会と出会いの章

1
「ユウナ!起きろ! 」
「……ん?……何!? 」
サイガが再び持ってきた情報に少し不安を感じながらも眠りについていたユウナは声と共に身体を揺すられ、目を覚ました。
起こしてきたのはコウで、彼の姿を見て目を丸くする。
まだ時間的にも夜中だと思うのだが、コウは日中ギルドの依頼をこなしに行く時と変わらない格好をしていた。
「何?どうしたの? 」
何だか外も騒がしい気がして、そう問い掛ける。
「……街が魔物に襲われてる。送っていくから、お前も避難所にいろ」
「う、うん」
緊迫した声で言われたら頷くしかない 。
急いで身支度をすると家を出た。
2
街の人達が避難している場所へ向かう途中、広場に差し掛かる。
その中央に立つ人物を見て、ユウナとコウは足を止めた。
「ジンお兄ちゃん……」
「兄貴」
大剣を地に突き刺し、その横で腕組みをし、目を閉じていたジンが二人の声を聞いて目を開けた。
「……やはりな。此処で待ってて正解だった」
「……この騒ぎ、お前達の仕業だな。何故、こんなことをする? 」
言いながらコウはユウナの前に出て、双剣を引き抜く。
それを見ていたジンは、横の大剣を抜くわけでもなく、ただふっと笑った。
「そうか。お前は知らないのか」
「何のことだ? 」
コウが聞き返した時、ジンの視線はユウナに向けられていた。
「……そいつは、俺達の妹じゃない」
「えっ!?」
ジンの言葉にユウナは声を上げた。
「何……、それ……、どういうこと? 」
「……俺も知ったのは、この世界に来てからだけどな。……ユウナ……、いやその名前もお前のものじゃない。… …まぁ、お前が悪いってわけでもないんだけどな」
そこでジンは一度息をついた。
「十四年前、この世界と俺達の世界は事故で繋がった。その時に入れ替わってしまったのさ」
「っ!!」
誰と誰がとは聞かなくてもわかった。
「だからって、命を狙う意味がわからないな。それに俺のことを狙う必要はないんじゃないか?」
「……コウを狙ったのはただ強くなってもらいたかっただけさ。リアフィースの住人に助けられ、親しくなっていたのはわかったからな。組織には入らないだろうから、一人でも生きていけるよう強くなってほしかった。……そいつを狙うのは……、俺達にとっては色んな意味で都合が悪いんだ。……さてと、そろそろ退いてくれ」
「……嫌だと言ったら? 」
そう返したコウに、ジンは顔を顰めた 。
「何っ!?」
「血の繋がりがなかったとして、それがなんだっていうんだよ。五年前に俺達はこの世界に来て離れてしまったけど、その前の九年間は家族として過ごしてきたんだ。その時間を否定するのか? 」
「……否定しないさ。確かに情が全くない訳じゃない。だから」
ジンが大剣の柄に手を掛ける。
「俺が此処に来たんだ。せめて、兄と思ってる俺の手で苦しませずに逝かせてやろうとな」
「このっ、……馬鹿兄貴っ! 」
怒声と共にコウが地を蹴る。
それを見て、ジンが大剣を引き抜いた直後、剣と剣が激しく切り結んだ。
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