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第1部 再会と出会いの章

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レイドを通じて情報屋に依頼を出してから一週間、ユウナ達が雑談しているとギルドへ一人の少年が入ってきた。 中を見回し、誰かを探している少年にレイドが声を上げる。
「サイガ! 」
呼ばれた少年がユウナ達の方へ近付いてくると、フィアも彼を知っているらしく声を掛けた。
「今回は珍しく少し時間が掛かったね 」
「ああ。今、ちょっと依頼が多くてな 。忙しいんだ」
そう言って、少年はユウナ、コウ、リリアの方を見た。
「特殊な仕事をしてるから、本名を明かすことが出来なくてすまないが、サイガと呼んでくれ」
「……なら、レイドが言っていた情報屋っていうのは」
「こいつのことだ」
コウが言うと、レイドは頷いてサイガを指した。
「それで此処に来たってことは奴等のことわかったんだな」
「ああ、勿論だ」
レイドに返したサイガが話し始める。
「奴等はそもそもこの世界の住人ではなく、異世界研究による事故で飛ばされてきた連中らしい」
「!!それって……、私やお兄ちゃんと一緒……!! 」
「一緒って、お前達もなのか」
思わず声を上げたユウナに、サイガが問い掛けてきた。
「ああ。俺は五年前」
「私は数週間前に」
「……なるほど。……続けるぞ」
何か納得するように呟いてから、サイガは続けた。
「事故でこの世界へ飛ばされてきた奴等はその原因をつくった者を恨んでる
。そして、その研究を容認し、援助すらしている王族のこともな。実際に王子達も何度か狙われているらしい」
「それなら、どうしてユウナやコウが狙われるのよ?どちらかといえば、奴等の同志になるんじゃないの」
そこまで聞いて、リリアが口を挟む。
「そうだよね。寧ろ、仲間にしようとするんじゃない?断ったとしても命を狙うなんて……」
「その辺りはどうなんだ? 」
「……調べてはみた。だが」
「わからなかったのか? 」
「……情報的にはある。だが、確信がもてない。ただ」
サイガがユウナとコウを見た。
「今後は今まで以上に気をつけた方がいいと思うぞ。情報屋仲間から聞いたが、お前達二人を探っている奴等が多い」
「えっ? 」
「何っ? 」
その言葉にユウナは目を見開き、コウは眉を顰めた。
「具体的には? 」
「んー、本当は守秘義務が発生するんだが」
「……サイガ」
「……わかった。レイドとフィアは俺の常連客だからな」
レイドに催促され、サイガは肩を竦めた。
「俺が確認出来てるのは、お前達にも頼まれた仮面の奴等、暗殺組織、王族に異世界研究機関」
「って、やばいところばかりじゃない !? 」
「そう。だから、気をつけろと言ってるんだ。目的がはっきりとしない連中ばかりだからな。……忠告はしたぞ」
話は終わりだと続け、レイドへ視線を向ける。
それを受けて、レイドは報酬が入っているのだろう封筒を二つ取り出した。
「ん?多くないか? 」
「……追加分だ。今の話で少し事情が変わった」
「……了解。また少し時間をくれ」
最後にそう言うと、サイガはギルドから出て行った。
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