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1章

1
下へと階段を慎重に降りていく。
進めば進むほど、辺りは薄暗くなってきていて、これがどのくらい続くのかと舞が思い始めた頃、漸く光が見えてきた。
「……此処が一番下? 」
「……みたいだね」
最後の段を降りると、十畳位の広さの部屋に着く。
そこには大きな扉とその横にパネルのようなものがあり、封魔が近付いて何やら操作を始める。
少しして、機械音のような音がして、大きな扉はゆっくりと開いた。
扉の奥へと進むと、今度は先程より広い部屋で、昇降機が中央にあった。
「って、更に下へ行くってこと? 」
「でも、これ、今は下に降りてるよね 」
そう言って、舞は周囲を見回す。
昇降機を動かすようなスイッチは見当たらない。
「乗らないと動かせないタイプなのかな」
そう呟いた時だった。
機械音がして、昇降機が上がってくる 。
「おい!下がれ! 」
それに気付いて、昇降機を調べようと近付いていた舞と麗玲に飛影が叫んでくる。
声を聞いて、舞と麗玲が彼等のいる場所までいくより、昇降機が到達するほうが早い。
「わわっ!? 」
気付いた時には間近に神の使徒の無表情があった。
2
「舞ちゃん!! 」
「ちっ! 」
花音の悲鳴のような声と、風夜の舌打ちが聞こえ、彼の手から風の刃が続け様に放たれる。
それらは避けられて当たることこそなかったが、飛影と封魔が割って入る隙をつくるには十分だった。
舞と麗玲の前で、神の使徒達が槍に貫かれ、剣に斬り捨てられ、時折、二人を援護するように放たれる風の刃で倒れていく。
それをただ見ていた舞は、不意に腕を引かれて我に返る。
引いたのは神蘭で、彼女は舞の様子に溜息をついた後、
「危ないぞ」
とだけ言ってきた。
手を出すことも出来ず、ただ見ていて数分。
舞達の前に現れていた神の使徒達は倒れて動かなくなっていた。
「……行くぞ」
動く者がいなくなり、封魔はそう言って昇降機へと足を進める。
そのまま昇降機についていたパネルを操作し始めたのを見て、舞は慌てて昇降機へ乗る。
全員が乗ったところで、昇降機が下へと動き始める。
どのくらい下へ降りてきたのかはわからないが、数分後、舞達がいたのは薄暗い広い空間だった。
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