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第25章

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次の日、朝から緋皇の呼び出しを受け舞達は謁見の間に集められていた。
真夜中の話を聞いていた為、これから何を話されるのか予想はついている。
その予想通りのことを話そうというように玉座に座る緋皇は入ってきた舞達を見ていて、その近くには天奏の姿もあった。
「……全員集まったか」
一度全員を見回した緋皇が天奏へと視線を向ける。
その視線を受けて、天奏は頷くと口を開いた。
「嘘よ! 」
天奏が話したのはやはり夜中に舞が盗み聞きしたものと同じことだった。
聞いたのは二度目だった為、舞自身への衝撃は少なかったが、今初めて聞いたばかりの者達は何を言われたのかと聞いた内容がわからないようだった。
そんな中で声を上げたのは聖姫で、彼女は天奏のことを睨み付け、更に指を突き付けた。
「嘘に決まってるわ!だって、この人は神界を裏切って、魔神族についたのよ!そんな人のいうことなんて、信じられる訳ないわ! 」
そう叫んだ言葉に、謁見の間は静まり返った。
静まり返っている中、天奏が目を閉じ 、そしてゆっくりと話し始める。
「私が魔神族の味方をしていたのも神帝の命令よ。……麗玲を煽り、神界軍とぶつける為にね」
「ちょっと待って!それじゃあ、あなたが聖鈴を手に掛けたのは」
「……それも神帝の命令。彼にとって神子達は邪魔だった」
「そんな筈ないわ! 」
それを否定したのは聖羅だった。
「だって、神帝は……」
彼女が言いたいことは舞にもわかる。
〈天華〉の記憶の中で、神帝はいつも自分達には優しかったのだから。
様子を伺えば、闘神達も花音達ですら戸惑いつつ、天奏に疑惑の目を向けている。
「……やっぱり、信じてもらえないのかしら」
天奏の目に諦めと悲しみの色が浮かぶ 。
「それでも、……この話は本当のことよ。……信じてもらえないかしら。あまり時間はないわ」
それでも天奏の話を信じるような者はいないように見える。
緋皇や風夜、莉鳳は口を挟むつもりはないようで、何か起きれば動けるようにはしているようだが静観している。
「……話はそれだけ? 」
「待って! 」
聖羅が踵を返したのに、闘神達もついていく。
それを見て何も起きなかったことに舞はほっとしたが、同時にこれでいいのかという気持ちも出てくる。
その時、動いたのは封魔だった。
早足で彼女達を追い越していき、謁見の間から出さないというように扉に寄りかかる。
「おい、封魔……! 」
それに少し慌てたような声を白鬼が上げたが、封魔はそれに構わず、対峙すると皮肉げに笑った。
「まぁ、待てよ。……強ち、出鱈目でもないぞ」
「……天奏の言うことを信じると言うの? 」
「……信じるというより、俺にも覚えがある。……俺を一番、駒として扱っていたのは神帝だからな。……お前達が知らない闇の部分も俺は知ってるからな、……俺からすれば、あの人は信用ならない」
そう言った封魔とは違うところからも声が上がる。
「……そうね。あの人はそういう人よ 。……あなた達には見せてなかっただけ」
そう言ったのは星蓮だった。
「そんなことは……!! 」
それでも納得出来ないというように聖姫が言う。
「お父様がそんな人なんて……」
「……残念だけど、神帝はそういう人なの。天奏の話は、私達を惑わせるものでなく真実なのよ」
星蓮が言ったのに合わせて、黙っていた天奏が再び口を開く。
「神帝は麗玲達や魔族を利用してきた 。でも、それにも既に見切りをつけてる。今は麗玲達を標的にしているでしょうけど、いつ、此方を狙ってくるか ……、それまでに色々整理しておくのね」
「…………」
それに返す言葉はなかった。
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