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第22章

1
「…………! 」
はっと目を開けると、今度こそ魔王城のようだった。
「舞!気が付いたんだね? 」
すぐ近くから聞こえてきた声に、舞が視線を向けると、ほっとした表情の聖奈と目があった。
安堵しながらも何処か疲れている様子の聖奈に、何があったのかと不思議に思いながら身体を起こす。
今いるのは医務室のようで、舞以外に飛影、風夜、封魔がベッド上にいて、彼等の横にはそれぞれ煌破、風牙、白鬼の姿がある。
何故か彼等も聖奈と同じように疲れているように見え、舞は首を傾げた。
「何だか疲れてるみたいだね」
「……誰かさん達のお陰でな」
「えっ? 」
舞が言ったことが聞こえたのだろう、煌破が返してくる。
どういうことなのかと近くにいる聖奈を見ると、彼女は苦笑いしていた。
「四人共、かなり力を消耗していたみたいだからね。力を分け与えた方が回復が早いって緋皇が言ったから」
「……分けるというより……」
「容赦無く持っていかれたって方が正しい気がするがな」
聖奈に続いて白鬼と風牙が言ったことに舞は笑うしかなかった。
2
三時間後、回復した舞は医務室を出ていた。
部屋へ向かいながら、天華の言葉を思い出す。
ー『飛影をあまり信用しては駄目。… …気を許しすぎては駄目よ』ー
(天華は何であんなことを言ったんだろう? )
考えるが、何も思いつかない。
いずれ舞自身が思い出すと、彼女は何も教えてくれなかった為、もやもやしたものが残っている。
(……一体、私がまだ思い出せていないところで、飛影との間で何があったんだろう? )
そう心の中で呟いていると、中庭で花音と神蘭が話しているのが目に入った 。
「……私は、どうすればいいんだろうな? 」
「封魔さんのことですか? 」
聞こえてくる二人の声に舞は耳を澄ませる。
「……ああ。……正直、今はどう接すればいいか、わからなくなってしまった」
「……色々ありましたからね」
困惑した神蘭と苦笑いする花音の声が聞こえてくる。
「情けないとは思うがな。……もう向こうも私のことは何とも思ってない… …」
「そんなことないよ!! 」
そう言って飛び出した舞は、二人が視線を向けてきたことではっと我に返った。
「あっ……」
「舞ちゃん……」
「聞いてたのか? 」
神蘭に言われて、舞は苦笑する。
「あはは、聞いてたというか、聞こえてたっていうか……」
「……そうか。……さっきそんなことはないと言ってたけど、どういうことだ? 」
「だって……」
舞が思い出したのは、魔族の村に魔宝具の反応があったと知らされた時のことだった。
「神蘭達が襲撃を受けていた時、私達のところにも情報が入ってきたんだけど、止める間もなく先に行っちゃったんだ。詳しい情報はまだなくて、どんな状況かもわかっていなかった筈なのに……」
舞が言うと、それを聞いて花音がくすりと笑った。
「多分、神蘭さん達のことをずっと気にかけてたんですよ。……何とも思ってない人にそこまでする人じゃないと思いますけど」
「そうだよ!一人でさっさと行っちゃったから、私も慌てて皆に説明して、後を追い掛けたんだから! 」
「ちゃんと話をした方がいいと思いますよ。……私も一年前から色々あったけど、お互いに話をすることで、風夜とも光輝とも、そして神蘭さん達とも分かり合えたんだもの」
「……そうだな」
言って、花音が笑うと神蘭はそう呟いた。
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