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第20章

1
「…………」
飛影、煌破と話した次の日、朝食が終わった後、やはり二人で出て行く神蘭と月夜を見送る。
「あの二人、今日出掛けるみたいだぞ 」
「そうなの!? 」
「……ああ」
近付いて来て言った飛影に舞は聞き返す。
「昨日もその話をしていたみたいだな 」
その言葉に神蘭と月夜が楽しそうに話していたのを思い出した。
「……だからって何で俺が追い掛けないといけないんだ? 」
腕組みをして溜息混じりに聞いてくる封魔に思わず言葉に詰まる。
「それは……」
何と言おうか迷っていると、そこに慌てたような足音が聞こえてくる。
誰かと視線を向けると、それは莉鳳だった。
「おい!大変だ! 」
「何?どうしたの? 」
「侵入者だ。街の方に一人だが、かなり強大な力を感知した」
それを聞いてすぐに思い付いたのは、魔宝具のことだった。
2
舞が知らせを受ける一時間程前、神蘭と月夜は魔族の街の中を散策していた 。
「……それにしても驚いたな。まさか神族である俺達が魔界の街をこんな風に歩けるようになってたなんて」
驚いたように言う月夜に、神蘭も頷く 。
「ああ。つい一年前まではこんなこと出来なかった」
「……俺の知らない内に色々なことが変わっていたんだな」
月夜がそう言った時、僅かだが殺気を感じた。
「……神蘭」
「……ああ。此処だとまずい。少し街の外に出よう」
神蘭が言えば、月夜は頷いた。
二人が街の外れまで来ると、先程は僅かにしか感じなかった殺気をはっきりと感じた。
(……来る! )
神蘭が心の中で呟いた時、目の前に現れたのは白羅だった。
「ふ、誰から始末しようかと考えていたが、別行動の奴がいるとは運がよかった」
ニヤリと笑った白羅が背から大剣を引き抜く。
それは以前見ていたものではなく、真っ黒い剣で禍々しい気配を感じた。
「……何だ?あの剣」
気配だけでなく、異常な位強い力を感じて神蘭は呟いた。
「……あれは」
それが何なのか知っているのだろう、月夜に視線を向ける。
だが、月夜が答える前に白羅が斬りかかってくる。
受け止めるのは危険な気がして、神蘭は躱したが、白羅が狙ったのは彼女ではなく、月夜の方だった。
「月夜! 」
それに気付いて月夜を助けようと動こうとした神蘭だったが、白羅の猛攻に隙を見付けることが出来ない。
「うわっ!? 」
弾かれた月夜が倒れこみ、白羅は大剣を振り上げる。
「やめ……! 」
神蘭はそう声を上げたが、白羅はそのまま剣を振り下ろした。
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